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「年利10%はキケン!?」株式投資の正しい目標設定とは

トウシル / 2017年11月30日 16時0分

「年利10%はキケン!?」株式投資の正しい目標設定とは

「年利10%はキケン!?」株式投資の正しい目標設定とは

 株式投資をするならば、できる限り高い目標設定をしたいもの。でもそこに「安定して」という要素を加えた途端、非常に危うい目標になってしまいます。それは一体なぜなのでしょうか?

 

目標の設定は重要!でも…

 筆者は、個人投資家の皆さんにヒアリングするとき、今後の目標について尋ねることとしています。その際、多くの方が答えるのが「1年で○%増やしたい」というように、パーセンテージでの目標設定です。

 もちろん、株式投資に限らず、目標を設定することは非常に重要です。目標を設定しなければ、なんとなくダラダラと行動してしまうことにつながり、成果をあげることが難しくなってしまうからです。

 しかしこの目標設定、特に株式投資では十分に気を付けないと、目標に縛られて逆に失敗につながってしまう危険性があります。

 

「安定して」利益を得ることができる?

 多くの個人投資家の方は、筆者が毎年安定して利益を得ることができていると誤解されているようです。そのため、「安定して毎年10%以上利益を上げることができる方法を教えてください」とよく言われます。

 でも筆者は、そうした要望に対し、「それは無理です」とはっきりと答えます。中にはいぶかしい顔をされる方もいます。なぜ無理なのかを理解できないと、株式投資で大きな失敗をしてしまうことになります。

 筆者の手法は、株価のトレンドに従って売買をしていきます。そのため、市場全体の株価の動きに大きく影響を受けます。

 たとえば、アベノミクス相場の初期のように、ほとんどの銘柄の株価が大きく上昇するようなときは、10%どころか資産を何倍にも増やすことも可能となります。

 逆に、〇〇ショックと呼ばれるような急落が起きたり、市場全体として軟調な値動きが続くようなときには、年間10%の利益を上げることは困難になります。株価が大きく下がるような局面では、利益を上げること自体がそもそも難しく、どれだけ損失を小さく抑えられるか、という話になります。

 このときに下手に「年間10%の利益」を狙いに行くと、本来は投資を控えて守りに徹するべき局面であるにもかかわらず逆に強気に攻めてしまい、結果として大きな損失を被ってしまう危険性が大いにあります。

 投資信託を運用するプロであるファンドマネージャーであっても、株価が大きく値下がりする局面では、年間ベースでマイナスの運用成績となることが当たり前です。マーケットの環境によっては、プロでさえマイナスの運用成績に甘んじているのに、個人投資家が毎年安定した利益をあげることは不可能に近いのです。

 

「短期売買」なら年間ベースで「安定した」利益も可能!?

 ただ、毎年安定して10%以上利益を上げる方法はないのか、といえばそんなことはありません。デイトレードをはじめとした短期売買であれば可能です。

 短期売買は、どのような相場環境であろうとも、短期的な株価の値動きを利用して、小さな利益を積み重ねていく手法です。この方法なら、実力があれば年間10%以上の利益を安定して確保することも可能です。

 しかし短期売買は、普段仕事をしているビジネスパーソンには不向きな手法ですし、短期売買自体、誰でも上手くいく方法ではありません。かなりハードルが高いと言わざるを得ません。

 結局、多くの個人投資家の方にとっては短期売買ではなく、中長期投資をするという選択肢となります。そして、中長期投資は必然的にマーケット全体の値動きの影響を大きく受けるため、安定的な利益を得ることは非常に難しくなるのです。

 

目標設定はあくまでも「マーケット全体」との比較で

では、具体的にどのような目標設定がよいでしょうか。それは「年間当たり〇%」とい
う形ではなく、「マーケット全体との比較」です。

 筆者であれば、月足ベースでみた長期的な上昇相場では日本株全体の値動きを示す指標であるTOPIX(東証株価指数)の1.5倍のパフォーマンスを達成することを1つの目標にしています。

 また、月足ベースでみた長期的な下落相場ではマイナス幅をTOPIXの2分の1以下に抑えることを目標にしています。この目標が達成できれば、例え長期的に見て日本株が横ばいの状態であったとしても、しっかりと利益を得ることが可能です。

 個別銘柄へ投資するのであれば、最低でもTOPIXを上回る必要があります。もしTOPIXを上回ることができないのであれば、TOPIXに連動するETFなどに投資した方が効率的だからです。

 ただ、TOPIXは東証1部の銘柄が対象になっています。最近は、短期間でみるとマザーズ上場銘柄など新興市場銘柄の値動きは東証1部銘柄と異なることもよくあります。
そのため、1年以上のある程度長い期間を取って目標設定するとよいと思います。

 たとえば、2012年11月にアベノミクス相場が始まってから現在までの5年間で、TOPIXはおよそ2.5倍になっています。ですから、筆者であればこの間に運用資産が2.5×1.5=3.75倍になっていれば目標達成、最低でも2.5倍になっている必要がある、ということになります。

 もしこの間にそこまでの成果が上がっていない場合、銘柄選び、売り時・買い時の取り方、ポジション管理(投資可能資金のうちどれだけを実際に投資するかのコントロール)などが原因となります。

 今一度ご自身のやり方を見直し、上手くいっている人からのアドバイスを求めることをお勧めします。

(足立 武志)

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