船舶の『環境規制』強化の影響は?
トウシル / 2017年12月1日 6時0分
船舶の『環境規制』強化の影響は?
<今日のキーワード>
船舶の『環境規制』が強化される方向にあります。「船舶バラスト水規制管理条約」が今年9月8日に発効しました。また2020年には船舶が排出するガスに含まれる硫黄分の規制も強化されます。こうした『環境規制』強化は、コスト増要因となる一方、新たなビジネスチャンスをもたらします。ここでは関連する海運、造船業界などへの影響などをみていきたいと思います。
【ポイント1】「船舶バラスト水規制管理条約」が発効
目的は生態系の破壊の防止
■「船舶バラスト水規制管理条約」は2004年に国際海事機関により採択され、昨年9月8日に発効要件を満たしたため、今年9月8日に発効しました(既存船については最終対応期限は条約発効後7年以内)。
■バラスト水とは、船舶の船底に積む重しとして用いられる水です。船舶が空荷で出港する時、海水などが積み込まれ、貨物を搭載すると排出されます。バラスト水に含まれる生物が本来の生息地でない場所で排出されることによる生態系の破壊を防止することが目的です。
【ポイント2】『環境規制』は老齢船の廃棄を促す
市況の回復や受注増要因に
■海運業界は、鉄鉱石などを運搬する不定期船の運賃指数であるバルチック海運指数が高値から一時90%以上下落するなど、船腹過剰が問題となっています。『環境規制』強化は、バラスト水処理装置の設置や排ガスの硫黄分規制強化への対応など一時的には費用増となります。一方で費用が回収できない老齢船のスクラップが進み船腹過剰の解消要因となり、中長期的には海運各社の業績改善要因になるとみられます。
■造船業界は、世界的な造船不況から深刻な受注の減少と低船価に悩まされてきました。今回の『環境規制』強化により、バラスト水浄化装置を搭載する工事の受注拡大に加えて、中長期的には、船舶のスクラップが進み、受注船価の回復や新造船の受注が増加することが期待されています。
【今後の展開】『環境規制』は更に強化される方向
■『環境規制』は今後更に強化される方向にあり、中長期的に運賃や船価の市況改善を促していくとみられます。国内の造船企業は、受注低迷に加えて韓国、中国企業に比べると事業規模が小さく、企業再編機運が高まっていました。今後の『環境規制』に伴う受注回復予測に楽観せず再編が進み、企業収益や競争力改善につながっていくことが期待されます。
(三井住友アセットマネジメント)
この記事に関連するニュース
-
常石造船、世界初のメタノール燃料ウルトラマックスを進水
PR TIMES / 2024年11月25日 11時15分
-
「クラウン3000台積み」トヨタの巨大LNG自動車運搬船が2隻体制へ “次の燃料”も決定済み!? どんどん進む“車輸送の脱炭素”
乗りものニュース / 2024年11月25日 8時12分
-
【記者会見のご案内】11月26日(火) StormGeo ×日本海事協会「海運の脱炭素化への道:CIIからFuelEU Maritimeまで」概要説明
@Press / 2024年11月20日 12時20分
-
【プレスリリース】オーシャンウィングス、革新的な風力推進システムでDNVの原則承認を取得
@Press / 2024年10月30日 8時0分
-
LNGタンカー運賃が大幅下落、新造船追加に対してスポット需要低迷
ロイター / 2024年10月29日 12時48分
ランキング
-
1関西財界訪中団、邦人の安全確保に懸念 短期ビザ免除再開に期待も 投資意欲は持続
産経ニュース / 2024年11月25日 18時19分
-
2「トイレ流せない…」水道代にも値上げの波 千葉で水道代を2割“値上げ”方針 住民からは悲鳴も【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月25日 21時9分
-
3トヨタ、北京の営業拠点閉鎖 中国合弁、天津に集約へ
共同通信 / 2024年11月25日 20時22分
-
4災害に備えて家に食料を蓄えていますが、出先の対策が全くできていません…。普段から何を持ち歩けばよいでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月24日 3時50分
-
5〈サイゼリヤのメニューに異変?〉「値上げして良いからメニューを充実させて」との不満投稿に広報の回答は?
集英社オンライン / 2024年11月25日 17時44分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください