暴落は「怖い?」「安い?」市場にふりまわされない投資家のこころえ
トウシル / 2018年5月30日 8時53分
暴落は「怖い?」「安い?」市場にふりまわされない投資家のこころえ
2018年は年初から日本株が大きく下がる日が何度もありました。そのときにどのような感情が出てきましたか?
「怖い」ですか、それとも「安い」ですか?
一度や二度の急落は、「利益が減ってしまったな…」くらいのもので、「怖い」というまでにならなかった方も少なくないかもしれません。しかし、心理的に真に問われる局面は、資産が減っている状態で、さらに大きく下がったときです。
(あくまでも私見ですが、)うまくいく人とうまくいかない人の差は、株価が下がってきたときに、「怖い」という感情が出てきて、一喜一憂してしまうか否かの差です。
うまくいかない人は、株価の上下を見て「上がる株=良い会社」「下がる株=悪い会社」という捉え方をしているように見えます。うまくいく人は、株価ではなく、その会社の事業をきちんと見ています。
このため、株価の上下だけで良し悪しを判断するということはありません。たとえ株価が低迷していようが、事業がしっかりしていて本来価値と比べて割安であれば、「悪い会社」ではなく「安い会社」に見えるのです。
うまくいかない人は、保有株が下がると「悪い会社」に見えてしまうので、買い増すことができないどころか、逆に売りたい衝動に駆られます。うまくいく人は「安い会社」に見えるので、下がったところで買えるのです。うまくいくか、いかないかはこの差なのです。
どうやって一喜一憂しない心を手に入れるのか?
株式に投資をする上で、私たちが一喜一憂しない心を手に入れるためには、ひたすら事業を見ていくことです。私の経験も含めてお伝えすると、うまくいっている人の多くは、ウォーレン・バフェット氏、ピーター・リンチ氏ら、バリュー投資に関連する本を読み、決算短信などを読み込み、会社のホームページ等の情報もくまなく見てひたすら企業分析を行い、自らの資金を投じて経験を積んでいった結果、一喜一憂しない心の領域に到達したとみています。
まさに“職人”です。この職人たちは、きちんと事業を見ているので、下がったところで「怖い」ではなく「安い」と思える心になっているのです。
とはいえ、事業を見て調べていくこと自体、時間もかかり、大変根気のいる作業です。多くの人にとっては現実的ではないでしょう。では、どうしたらよいのでしょうか?
見通しは二の次。「悲観で買い、楽観で売る」に徹すること
それは、「悲観で買い、楽観で売る」に徹することです。見通しを第一優先にしないことです。
多くの人はうまくいかないときに、「今後のマーケットは?」と見通しを持とうとします。そして、さまざまな情報を入手して当てようとします。
しかし、情報を入手すればするほど、楽観の情報が多いときに自分も楽観になり、悲観の情報が多いときに自分も悲観になってしまい、真逆の「楽観で買い、悲観で売る」をしてしまいます。そして、見通しを当てようとすればするほど「なんで今日、株は下げたの?」「明日はどうなるの?」と、より一喜一憂してしまいがちです。
見通しを当てようとするのではなく、周りにいる多くの人が「悲観」なのか「楽観」なのかに耳を澄ませることです。そして、「悲観で買い、楽観で売る」を淡々としていくことです。極端に申し上げると、一喜一憂するくらいなら見通しを持たないことです。見通しが当たろうが外れようが、「悲観で買い、楽観で売る」をすることです。
これを繰り返していった先にある世界が、暴落時にマーケットに振り回されるどころか、暴落時ほど良い買いのタイミングに思える、一喜一憂しない世界です。その世界に到達できたとき、きっとあなたも暴落時であっても冷静に判断することができ、結果、パフォーマンスもともなっていることでしょう。
(白石 定之)
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