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日本株は戻り基調だが、「灰色のサイ」は大人しいままか?

トウシル / 2017年12月4日 16時0分

日本株は戻り基調だが、「灰色のサイ」は大人しいままか?

日本株は戻り基調だが、「灰色のサイ」は大人しいままか?

 11月から12月への月またぎとなった先週の国内株市場ですが、週末12月1日(金)の日経平均終値は2万2,819円となりました。週間ベースでは2週連続の上昇し、その上げ幅は269円です。そして、「月初の日経平均は前日比で高い」という傾向も、18カ月連続の記録を更新しています。

 先週は、これまでの相場の牽引役だった半導体関連株が売られる場面が多かった割には、金融株などに買い資金が向かったこともあり、値動きはしっかりだった印象です。

■図1 日経平均(日足)の動き:2017年12月1日取引終了時点

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 いつもの通り、上の図1で足元の状況を確認して見ます。

 11月9日以降の日経平均のローソク足を見ると、陰線が多めの状況に変化はありません。特に先週は陰線と陽線が交互に訪れる「鯨幕(くじらまく)相場」となっていました。結果的に株価は上昇してはいるものの、「買われては売られ、売られては買われ」ながらの動きであるため、様子を伺いながら下値を切り上げている印象です。

 そのため、積極的な上値追いはあまり感じられない格好ですが、それでも、月初である12月1日(日)のローソク足は陰線でありながらも、高値が節目の2万3,000円台目前にまで迫る場面がありました。前週に達成できなかった戻り高値を更新する動きですので、良いニュースと言えます。また、移動平均線も3本の線(5日・25日・75日)がほぼ平行な形で上向きになっており、株価の戻り基調は順調に継続していると判断して良さそうです。今週は再び2万3,000円をトライできるか、終値ベースでの年初来高値(11月7日の2万2,937円)を超えられるかなどが焦点になると思われます。

 また、中長期的には、以前より11月9日から始まった調整局面が、「大きな上昇トレンドの中の小休止」なのか、もしくは「天井から下落トレンド入りの序章」なのかを見極めている最中であることを指摘してきました。その中で目安となるのは、11月9日の高値である2万3,382円と、11月16日の2万1,972円です。この範囲を上抜けると、上昇トレンドへの復帰、反対に下抜けてしまうと下落トレンド入りが警戒されます。

■図2 日経平均(日足)の動き その2:2017年12月1日取引終了時点

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 先週末の水準(2万2,819円)からは、上抜けまで560円ちょっと、下抜けまでには850円ぐらい日経平均が動く必要があります。先週の鯨幕相場が示すように、様子を見ながらの動きが継続するのであれば、上下共に比較的距離感がありますので、今週も引き続き方向感を探る展開がメインシナリオになります。

 メインシナリオ通りの展開となれば、前回も紹介したMACD(移動平均収束発散法)が意識されそうです。下の図3を見ると、MACDが下向きから上向きに転じ始めていますが、このままシグナルを上抜けられるかがポイントになります。調整局面の終了を感じさせるサインになるためです。

■図3 日経平均とMACD:2017年12月1日取引終了時点

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

  しかし、今週末に株価指数先物取引のメジャーSQ(精算日)が控えていますし、突如として値動きが荒くなる展開には注意しておく必要があります。また、今週は注目すべき相場の材料が多く控えています。とりわけ米国の動向が相場を左右しそうです。

 雇用統計など米国の経済指標はもちろん、先週末(12月2日)に米国上院で法人税率を引き下げる税制改革法案が可決されましたが、これで安心というわけではありません。今後は先に可決された下院の法案と一本化する調整を行い、その法案を再度両院で採決する必要があり、先行きは依然として不透明です。9月に先延ばしされた債務上限についても期限(12月8日)が迫っているほか、ティラーソン国務長官の更迭観測など、トランプ政権の運営体制についても警戒感が高まっています。さらに、金融市場ではあまり反応が見られなかった先週の北朝鮮のミサイル発射実験についても、米韓の合同軍事演習が今週実施される予定です。

 最近、「灰色のサイ」という言葉を耳にするようになりました。リスク要因を動物のサイに例えた表現で、普段はおとなしいが、いざ暴れ出すと手がつけられないという意味です。SQへの思惑、多く控える相場材料などのサイが活動を始めてしまうと、図2にあるトレンド判断の目安の範囲をあっさりと抜けてくる可能性も出てきますので、警戒は怠るべきではないでしょう。


 

(土信田 雅之)

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