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株高続くが、引き続き「金」も上昇。減産延長合意で「原油」上昇

トウシル / 2017年12月4日 12時50分

株高続くが、引き続き「金」も上昇。減産延長合意で「原油」上昇

株高続くが、引き続き「金」も上昇。減産延長合意で「原油」上昇

株高続くが、引き続き金も上昇

 金相場は急伸。ロシア疑惑をめぐる報道で、米国債が買われて米長期金利が低下し、ドルや米国株が下落したことで、安全資産としての買いが入った。

 マイケル・フリン前米大統領補佐官(国家安全保障担当)が、昨年の大統領選挙中にトランプ米大統領からロシア側と接触するよう指示されたと、議会証言するとの報道が材料になった。この結果、重要なサポートである1,270ドルを維持した。

 世界最大の金ETF(上場投資信託)であるSPDRゴールドトラストの保有高は、24日の843.39トンから、12月1日には848.11トンに増加。リスク資産である米国株が高値更新を続ける中でも、投資家は安全資産である金の保有を増やしていることが確認された格好だ。

 COMEX(ニューヨーク商品取引所)金先物市場での大口投機筋のポジションは、11月28日時点で22万4,417枚の買い越しとなり、前週から2万2,590枚増加した。買いポジションが1万4,450枚増加する一方、売りポジションが8,140枚減少。11月28日までは金相場が1,297ドルまで上昇しており、その過程で買いポジションが増加したと考えられる。しかし、その後に急落していることから、ポジションが大きく縮小しているものと思われ、来週発表分で確認したい。

 11月の金相場は月間ベースでは12年ぶりとなる狭いレンジでの取引となった。

 米国の景気指標は引き続き堅調であり、投資家は株式への資金移動を進めている可能性が高いものの、それでも金相場は下げていない。

 12月の米利上げが織り込まれる中、金利も底堅く推移しているものの、ユーロ/ドルが堅調であることがドル建て金相場を支えている面もある。現在の金融市場の環境において、レンジ下限である1,270ドル前後の水準を維持していることは、非常に大きな意味がある。

 世界の株式市場が13カ月連続の上昇で11月の取引を終えたが、それでも金相場の堅調さが続いていることを理解しておく必要がある。12月の米利上げはすでに市場に織り込まれており、市場の関心は来年の利上げペースに移ることになるだろう。しかし、インフレ率の上昇が抑制されている中では、利上げペースがゆっくりとしたものになる可能性が高く、これが株価の下値を支える一方、金相場にとってネガティブな材料にはならないだろう。さらに、ここにきて原油価格の上昇が顕著になっている。

 インフレ基調が強まるようであれば、利上げ圧力が高まる可能性があるものの、一方でインフレヘッジとしての金の魅力が高まることが想定される。したがって、原油価格の上昇は金相場にはポジティブな材料になると考えられる。現在は1,270ドルが堅いサポートとして機能しており、これを割り込まなければ、反発から上昇の可能性がある。

 また繰り返すように、11月から2月は金相場のパフォーマンスが最も高い時期に相当する。

 

非鉄は全般的に上昇

 非鉄相場は総じて上昇。LME(ロンドン金属取引所)在庫はすべての銘柄で減少した。

 11月の中国の製造業PMI(購買担当者景況指数)は50.8と、10月の51.0を下回り、6月以来5カ月ぶりの低水準だった。しかし、非鉄相場は全般的に堅調である。さすがに最近の下げで調整が済んだ可能性があり、これで反発に向かえば、再び上値を試しやすいといえるだろう。中国経済の先行きを懸念する声も聞かれるが、懸念には及ばないだろう。

 アルミは2,050ドルを維持し、反発している。銅も6,770ドルのサポートを維持して反発している。また、ニッケルも1万880ドルのサポートを割り込まずに反発している。亜鉛は急伸し、直近高値を更新。鉛は急騰して2,540ドル超え。この値動きを見れば、底打ちから再び上値を試す展開にあることがわかるだろう。

 

減産延長合意で原油は上昇

 原油は上昇。OPEC(石油輸出国機構)と非加盟産油国が協調減産の延長で合意したのを好感した買いが入っている。ただし、ロシアとトランプ大統領の関係をめぐる疑惑に関する一部報道を受けて、米国株が下落したことから上げ幅が縮小した。

 一方で、ロシアの当局者は、減産延長が「米国のシェールオイル増産を促すのではないか」との不安を表明。米国の増産はOPEC側の不安材料であり、今後の産油量の動向に注目せざるを得ない。最新週の米国内の石油掘削リグ(装置)稼働数は前週比2基増の749基と、9月以来の高水準となった。増加は2週連続。前年同週は477基だった。石油掘削リグ稼働数の増加は8〜10月に停滞したものの、11月は原油相場の上昇に伴い、再び増加傾向となっている。

 そして、投機筋のNY・ロンドン市場でのWTI (ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物・オプションのポジションは、28日までの週で5万1,853枚増の45万1,877枚の買い越しとなった。これは、2009年の統計開始以降で過去最高の記録であり、投機筋の買いの勢いが増している。協調減産の延長を協議するOPEC総会を11月30日に控えていたことや、カナダ〜米国間の主要パイプライン「キーストーン」の一時閉鎖などで、強気姿勢が増したことが背景とみられている。

 一方で、NYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)市場での売りポジションは4万146枚で、2月以降で最低水準となり、買いポジションは43万6,630枚で、2月末以降で最高水準にある。したがって、目先は上値が重くなると手仕舞い売りが出やすくなる。高値を更新できるかに注目だ。

 また、イラク国営石油会社バスラ・オイルのアブドゥル・ジャバー総裁は、11月の南部諸港からの原油輸出量は平均で日量350万バレルと、10月の日量335万バレルを上回ったと述べた。イラク中央政府軍が北部からクルド自治区政府の治安部隊ペシュメルガを撤退させたことを受けて、キルクーク油田からの輸出は10月中旬に停止した。そのため、同国政府はこれを補うため南部からの輸出を増やしているもようだ。

(江守 哲)

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