「日経平均株価とマザーズ指数の動きの違い」で銘柄選び
トウシル / 2017年12月7日 18時0分
「日経平均株価とマザーズ指数の動きの違い」で銘柄選び
一時2万3,000円を突破した日経平均株価。でも個別銘柄をみると、その間同じように上昇したものもあれば、逆に下落したものもあります。
今回は、個別銘柄による値動きの違いと、それを銘柄選びに活かす方法を考えてみたいと思います。
日経平均株価4,000円上昇!でも個別銘柄は?
今年9月上旬から11月上旬にかけて、日経平均株価は短期間で4000円も上昇しました。日経平均株価がこんなに上昇したのだから、個別銘柄もさぞすごいことになっているだろう、と思いきや、実態はそうでもありませんでした。
たとえば、内需系の中小型株はあまり上昇せず、逆に株価が下落してしまったものも少なくなかったのです。
では、内需系の中小型株は日経平均株価ではなく何に連動しているかと言えば、「マザーズ指数」です。
今年4月中旬から今までの動きを見ると、日経平均株価は6月にかけ上昇した後9月上旬に少し下がりますが下げ幅は限定的でした。そしてそこから大きく上昇し、6月の高値を大きく上回っています。
一方のマザーズ指数は、4月から6月にかけて大きく上昇しましたが、そこから9月上旬にかけて大きく下落、そこから反発したものの6月の高値をいまだ超えることができていません。内需系・中小型株のうち成長株については、長い目で見れば順調に上昇しているものが多いですが、6~9月のマザーズ指数の下落に連動するように、株価が大きく値下がりするものが目立ちました。しかし11月下旬以降は日経平均株価が足踏みをする中、マザーズ指数は上昇し、同時に内需系中小型成長株も高値更新となっています。
「内需系中小型成長株」とは?
ところで、筆者は「内需系中小型成長株」という分類をよくしますが、これがどのような銘柄を表しているかわからない方も多いと思いますので説明します。
まず、内需系とは、国内のマーケットを中心に事業展開しているという意味です。海外での売上げがほとんどありませんので、業績が為替レートの変動により影響を受けにくいという特徴があります。
中小型とは、端的に言えば時価総額があまり大きくないものです。明確な定義はありませんが、個人的には4000億円以下を1つの目安にしています。中小型株のほうが、大型株よりも株価の変動が大きくなる傾向にあるので、リスクも高まりますがより大きな利益を目指すことができます。
成長株とは、毎年売上と利益が伸びていて、今後もそれらが伸びるであろうと予想されている会社のことです。
日経平均株価とマザーズ指数が同時に大幅高することはほとんどない
そして最近顕著に感じるのが、「日経平均株価とマザーズ指数が同時に大きく上昇することはほとんどない」ということです。
たとえば、日経平均株価が300円を超える大幅上昇をみせる日であっても、マザーズ指数は逆にマイナスになっていたりします。
こんな日は、値上がり銘柄よりも値下がり銘柄のほうが多い、というケースも珍しくありません。
日経平均株価のみが大きく上昇している日は、内需系中小型株にはあまり投資資金が入っていないということが言えます。
逆に、マザーズ指数が大きく上昇し、日経平均株価があまり上昇しないような日は、内需系中小型株に投資資金が集中し、東証1部の大型株には資金が入っていないことを表しているのです。
そして、今年9~10月のように、日経平均株価が連続して大きく上昇するときは東証1部の大型株に資金が向かうため、銀行株や証券株、鉄鋼株などが上昇する一方、内需系中小型株の動きは相対的に悪くなってしまいます。
日経平均株価は円高に弱いが、マザーズ指数は?
また、日経平均株価が大きく上昇する日には、ある特徴があります。それは、為替レートも円安に振れているということです。
逆に、為替レートが円高に向かうと、日経平均株価は軟調な動きとなります。これは、日経平均の採用銘柄の多くは輸出関連株のため、円安は業績にプラス、円高は業績にマイナスとなるからです。
その一方、為替レートが円高に振れ、日経平均株価が大幅安となる日であっても、逆にマザーズ指数や内需系中小型株は上昇することも珍しくありません。
マザーズ市場に上場する銘柄の多くは内需系の企業のため、為替レートが円高になっても、業績へのマイナスインパクトは小さいからです。
もし日経平均株価とマザーズ指数がともに大きく上昇するなら?
現状は、日経平均株価とマザーズ指数が同時に大きく上昇するような局面はあまり見かけません。これは日本株のマーケットに流入している資金が、東証1部大型株と内需系中小型株の両方を買うだけの規模に至っていないためと思われます。
でも、もし今後海外などから日本株マーケットに大量の資金が入って来たら、大型株も中小型株もそろって上昇し、全面高の展開となるでしょう。これが「大相場」の状態です。
こうなれば、どの銘柄を持っていても、株に投資さえできていれば利益を得られるという動きになります。
思えば、アベノミクス相場の初期である2013年前半は、日経平均株価もマザーズ指数も大きく上昇する展開になりました。この間、外国人投資家は怒とうの勢いで日本株を買い越していました。
日経平均株価が強いのか、マザーズ指数が強いのか、それともどちらも力強く上昇しているのか…各指数の動きを見ながら、どの銘柄を中心的に投資していくかの戦略をたてていきましょう。
(足立 武志)
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