海外勢はクリスマス休暇に入り、2万3,000円からは上値重く様子見へ
トウシル / 2017年12月12日 16時0分
海外勢はクリスマス休暇に入り、2万3,000円からは上値重く様子見へ
先週はエルサレム問題で2万2,119円まで急落後、すぐに反発して2万2,800円台で引ける
先週の予測
米国市場(税制改革法案やロシアゲート問題など)をみながら、週末にはメジャーSQ(特別清算指数)を控えていることもあり、2万2,400~2万3,000円の中での方向感のない展開を想定しました。
結果
週始めからは3日続落となり、特に6日(水)は、トランプ大統領のエルサレムをイスラエルの首都として認定すると発表した報道を受けて、日経平均は2万2,119円まで急落しました。しかし、エルサレム問題が米国市場に、ほとんど影響しなかったことで、日経平均もその後2日間で切り返し、週末の8日(金)は2万2,819円まで上昇し、+313円の2万2,811円で引けました。
振り返ると12月4日(月)は、米国発のロシアゲート疑惑への懸念から利益確定売りが優勢となり、▲111円の2万2,707円と4日ぶりで反落スタートしました。 5日(火)は前日の米国市場で半導体中心にテクノロジー株が大幅下落となったことで、一時▲184円の2万2522円まで下落し、引け値は▲84円の2万2,622円の続落となりました。
6日(水)は、前日の米国株式が3指標そろって下落したことで売り先行でスタート。午前11時頃にトランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認める発言が伝わると、中東の地政学的リスクが高まるとの見方から先物主導で売りが売りを呼ぶ展開となり、一時▲503円の2万2,119円まで下げ終値は▲445円の2万2,177円をつけました。
この日のチャート分析では「今週は週末のメジャーSQを控えSQの週、特有の売り仕掛けから大幅下落となり、早い段階で回復しなければ調整が長引くことになる」としました。
結局、7日(木)になると米国市場でのエルサレム問題はほとんど相場に影響しなかったことで日経平均は+320円の2万2,498円と大幅反発。週末の8日(金)は前日の米国市場で株式3指標がそろって上昇し、為替は1ドル=113円台の円安となり、さらに国内の7~9月GDP(国内総生産)が予想を上回ったことで先物主導で上げ幅を拡大し、+313円の2万2,811円と大幅続伸で引けました。
結局は、6日(水)の▲445円の2万2,177円という今年最大の下げ幅はSQの週、特有のその時点での好悪材料を利用した売り仕掛けによるものでした。
12月8日(金)の米国市場では、注目の11月雇用統計が非農業部門雇用者数は+22.8万人と市場予想の+20.0万人を上回り、失業率は4.1%と予想と変わらずだったことで3指標そろって続伸し、NYダウとS&Pは最高値更新。シカゴ日経先物は+55円の2万2,845円でした。
海外投資家は、クリスマス休暇に入り、FOMCや日銀短観を前に様子見へ
今週の予想
先週末にメジャーSQも終わり海外投資家はクリスマス休暇に入ります。市場参加者が減少するため、日経平均を引っ張る大型株はひと休みとなって個人主体の物色になる可能性が高いといえます。ただし、12~13日はFOMC(米連邦準備制度委員会)があり、12月利上げが確定的とみられているため、先取りしてドルが買われて円安が進めば日経平均は2万3,000円台を試す可能性はあります。また、日銀が15日に12月の企業短期経済観測調査(短観)を発表するため、予想を上回れば相場の追い風要因となります。
日本株式が米国株式に影響を受けるという観点からは、米国株式は今週は強弱対立する要因がいくつかあります。1つは、トランプ大統領のエルサレムをイスラエルの首都と認定する方針が中東情勢の混乱を招くようだと米国に対する世界各国の不信からドルは売られやすくなります。
また、FOMCで利上げ後の声明文やイエレン議長の会見で18年度の利上げの回数やペースが予想と違えば思惑からドル売りの可能性もあります。さらに、税制改革法案の一本化が年内に成立するのかも注目です。米国株式が方向感のない動きとなれば日本株式も同じような動きに可能性があります。
(指標)日経平均
先週の予測
ロシアゲート問題が深刻化すれば上値は重たいものの、前週に日経平均は三角保ち合いを上放れしたため、基本的には上値を試す動きを想定し2万2,400~2万3,000円のレンジとしました。
結果
週前半は、米国の税制改革法案やロシアゲートの懸念から利益確定売り優勢に。12月6日(水)にはトランプ大統領のエルサレムを首都して認める発言から中東の地政学的リスクが拡大。週末のSQを控えていたこともあり売り仕掛けが出て、▲445円の2万2,177円と今年最大の下げとなりました。その後は、エルサレムの問題は米国ではほとんど影響がなかったことで、日経平均は急速に値を戻し12月7日(木)は+320円の2万2,498円、12月8日(金)は+313円の2万2,811円で引けました。
今週の予想
海外投資家がクリスマス休暇に入って参加者が少なくなることで日経平均の上値は重くなると思われます。ただ12~13日のFOMCで12月利上げは確実視されており、先取りして円安が大きく進めば(すでに織り込んでいるとの見方も)輸出関連株が買われて2万3,000円を試すことも考えられます。15日の日銀短観が予想を上回れば相場のサポート要因となりますが、個人主体の物色となりそうです。
(指標)NYダウ
先週の予測
税制改革法案をめぐる上院と下院の一本化の動きとロシアゲート疑惑問題の動向が注目となるとし、最高値圏でのもみあいを想定しました。
結果
週始めは、上院でも税制改革法案が可決されたことで3指標そろって上昇しましたが、12月5日(火)は税制改革法案の上院と下院の早期一本化への懸念とロシアゲート疑惑の高まりで3指標そろって反落。12月6日(水)は、トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都として認める発言をしましたが、影響は限定的で指数はマチマチの動きでした。週後半は、税制改革法案の早期一本化の期待とテクノロジー株の反発が続いたことで2日連続で3指標が上昇。
週末の12月8日(金)は11月雇用統計が予想を上回ったこともあり、NYダウは+117ドルの2万4,329ドルと最高値を更新して引けました。
今週の予想
12~13日のFOMCに注目です。今月の利上げはほぼコンセンサスができており、声明文やイエレン議長の会見での今後の利上げの回数やペースへの言及が相場へ影響を与えることになります。税制改革を前提にして2018年度の景気動向に具体的示唆が得られるかどうかが注目されます。
税制改革法案は上下院の一本化の調整が議会閉会の15日までに成立するかどうかが焦点となります。成立しなければ目先の株価にはマイナス要因ですが、そうなっても来年早々には成立する見通しですので、それほどのマイナス要因とはならないと思われます。最高値圏での上下動が続くことになりそうです。
(指標)ドル/円
先週の予測
税制改革法案の年内実現期待や12月利上げへの期待からドルがやや強含む可能性があるとし、1ドル111~114円のレンジを想定しました。
結果
北朝鮮リスクとエルサレム問題での中東リスク、リスク回避のドル売りの局面もありましたが、債務上限問題での暫定予算案可決や税制改革法案の実現の期待からドルが買い戻されました。
週末の12月8日(金)の11月雇用統計非農業部門雇用者数が予想を上回ったことでドル買いが進行。ただし、平均時給が伸びなかったことで上昇は113.59円まで。
今週の予想
インフレ進行の思惑が後退したことから、ドルの上値は重たいものの、FOMCで0.25%の追加利上げが確実なため、これを見込んだドル買いを想定しています。その後は2018年の利上げペースや回数によって影響を受けることになります。エルサレム問題は国際的批判が高まればドル売り要因に。強弱材料がありますが、どちらかというとドルは底堅い動きが想定されます。
(出島 昇)
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