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あぶない遺言書。争族にしないための書き方とは?

トウシル / 2017年12月15日 18時0分

あぶない遺言書。争族にしないための書き方とは?

あぶない遺言書。争族にしないための書き方とは?

 遺言書の重要性は、今やさまざまなところで叫ばれるようになりました。でも、単に遺言書を残せばよいわけではありません。逆にトラブルの元になってしまう遺言書もあります。
 そうならないように、トラブルの芽は最低限摘んでおきましょう。

 

遺言書の最大のメリットとは?

遺言書は、自分の財産のうち何を誰に相続させるかを、自分の意思で決めることができるものです。

 通常、相続が起きた場合、相続人全員が集まって遺産分割協議を行い、誰にどの財産を相続させるかを決めて行きます。しかし、かなりの割合で、遺産分割協議が紛糾し、相続が「争族」になってしまっているのが現状です。

 でも、遺言書をしっかりと残しておけば、遺産分割協議を経ることなく、自分の財産を渡したい人に渡すことができます。遺産分割協議が必要でなくなる、これが遺言書を残しておくことの最大のメリットです。

 

(1)あぶない遺言書・割合だけしか示していない

 たとえば、こんな遺言書があります。「長男、次男、長女に財産の3分の1ずつを相続させる。」
 現金や預金など、簡単に分けることのできる財産ばかりであればこれでも問題ありません。しかし、不動産など、分けることが難しい財産が含まれている場合は、別途どのような形で3等分するのかについて、残された相続人の間で改めて遺産分割協議をしなければなりません。

 もし、この相続人が不仲であれば、遺産分割協議はまとまらず、さらなるトラブルのもとになりかねません。
 遺言書を書くのであれば、後々遺産分割協議をしなくても済むよう、具体的に「この土地は〇〇に相続させる」と渡す相手を指定しておくことが重要です。

 

(2)あぶない遺言書・全ての財産を網羅していない

 たとえば、不動産A、不動産B、上場株式Cを所有している人が、次のような遺言書を残したとしましょう。相続人は長男、次男、長女の3人です。
 「不動産Aは、長男に相続させる。」

 確かに、不動産Aは遺言書により、長男が相続することができますが、不動産Bと上場株式Cについては遺言による指定がありません。

 そのため、不動産Bと上場株式Cを誰が相続するか、長男、次男、長女により遺産分割協議を行って決めなければなりません。遺産分割協議が紛糾すれば、いつまでも誰が相続するか決まらず、無駄な時間とエネルギーを消費することになってしまいます。

 

(3)あぶない遺言書・手書きの遺言書である

 遺言書の種類として、主に「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」があります。

 このうち、「公正証書遺言」は、2人の立会人のもと、公証人が遺言を作成し、公証役場にて保管をするものです。公証人が作成に関与するため、遺言書が無効となってしまうリスクは小さくなります。

 一方、「自筆証書遺言」は、自分が手書きで遺言書を書き記して保管するものです。自筆証書遺言の場合、遺言書が有効となる要件を満たしていなければ、せっかく残しても無効になります。さらに、相続人に遺言書を見つけてもらえないリスクや、盗難、紛失、相続人の誰かが破棄してしまうリスクもあります。

 そして、遺言書の内容が他の相続人と比べて不利である相続人が、「この遺言書は無効だ」と訴訟を起こしてくる可能性もあります。

 トラブルを防ぐために遺言書を作成するのですから、しっかりと法的要件を満たすことのできる公正証書遺言の形で残しておくのが無難です。

 

トラブルを予防するためにどうすればよいか、の観点で残しておくことが重要

 上記の(1)~(3)のケースは、いずれも実際に相続が起こった後、相続人の間でトラブルになりやすい典型的なものです。

 そもそも、遺言書を残しておく大きな理由は、相続人の間でのトラブルを予防し、遺産をスムーズに分割できるようにするためです。しかし、遺言書の内容や形式によっては、その目的を達成することができません。

 最近、「遺言書」の重要性が叫ばれていますが、単に遺言書を残しさえすれば、内容や形式はどのようなものでもよい、というわけではないことを、ぜひご理解ください。

 トラブルを未然に防ぐため、専門家のアドバイスを受けながら、完璧な内容の遺言書を残しておきたいものです。それが、残される家族の幸せにもつながります。

(足立 武志)

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