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英パイプライン停止が長引く懸念から、原油は反発

トウシル / 2017年12月15日 11時35分

英パイプライン停止が長引く懸念から、原油は反発

英パイプライン停止が長引く懸念から、原油は反発

売られすぎの反動で戻す金の動き

 金相場は続伸。堅調な米小売売上高を受けてドルが上昇したことで、上値が重くなる場面もあった。しかし、その後は米税制改革の成立への懸念からドルが売られたことで金相場は上昇した。

 11月の米小売売上高は市場予想を上回ったが、それだけでドルを支えることはできなかった。13日まで開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)では利上げが決定され、2018年と2019年にそれぞれ3回の利上げ見通しが示されたものの、これらは織り込まれていたこともあり、むしろよりハト派的だったとの解釈になっている。そのため、ドルの上値が重くなりやすい地合いにある。

 一方でECB(欧州中央銀行)理事会では政策がすべて据え置かれたことで、ユーロの上値も重くなっている。

 いまの金相場はテクニカル的に売られすぎた反動で戻しやすいものの、一段の上昇にはもう少し時間がかかる可能性がある。現在の状況では金相場が上げるとすれば、株安による安全資産としての買いということになるだろう。目先は1,262ドルにあるレジスタンスを超えるかが重要である。超えると今度はテクニカル主導での買い戻しも入りやすいだろう。

 

非鉄は総じて堅調

 非鉄相場は総じて堅調に推移。LME(ロンドン金属取引所)在庫はアルミと鉛が増加したが、その他のメタルは減少した。

 アルミは急上昇。2,000ドルを維持して上放れてきた。これで2,065ドルを超えるとより明確に上値を試しやすくなる。銅は続伸したが、上値が6,785ドルで押さえられた。これを上抜けないと、次の上昇には向かえない。材料待ちの状態だ。

 ニッケルは反発。ただし、1万1,500ドルを超えないと、再び売られる可能性がある。1万1,000ドルがサポートとなる。亜鉛は続伸。やはり3,180ドルを明確に上抜けないと再び売られることになるだろう。鉛は反落。2,500ドルを超えられずに下げており、目先の高値をつけた可能性がある。この動きが他の非鉄銘柄にどのような影響を与えているかを注視したい。

 一方、中国の11月のアルミ生産は235万トンと、前月の255万トンから7.8%減少し、2015年2月以来の低水準となった。減少は5カ月連続。冬季の生産規制を受けて、製錬所の生産が減少している。前年同月比では16.8%減だった。1~11月の生産は2,954万トンとなり、前年同期比1.7%増となっている。2016年通年のアルミ生産は3,187万トンだった。

 11月の中国の非鉄金属全体の生産は432万トンと、2016年4月以来の低水準。10月の446万トンから3.1%減少し、前年同月比では6.9%減少した。1~11月の非鉄金属の生産は4,934万トンで、前年同期比2.5%増。2017年通年では過去最高を記録する見込みである。2016年通年の非鉄金属の生産は5,280万トンだった。

 

英パイプライン操業停止長引く懸念から、原油は反発

 原油は反発。IEA(国際エネルギー機関)が2018年上半期の供給過剰を予想したものの、英国のフォーティーズ原油パイプラインの停止が長期化する見通しが支援材料となった。

 フォーティーズ原油パイプラインの運営業者であるイネオスが、原油とガス、コンデンセートの受け渡しに不可抗力条項を発動したことが、買い材料視されているもよう。

 一方でIEAは2018年上半期に日量20万バレルの供給過剰となり、下半期には約20万バレルの供給不足になるとの見通しを示している。

 また、米国が2025年まで世界の産油量の伸びで、最大80%寄与するとの予想も示している。米国でシェールオイルの増産を見込んでいることになる。しかし、実際にはOPEC(石油輸出国機構)とロシアなどの非加盟産油国の協調減産の継続と、世界の石油需要の伸びを考慮すれば、需給バランス自体は改善すると考えるのが妥当である。今の水準はまだ相当割安である。

(江守 哲)

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