#3:2018年のグローバルリスクは?「I・C・B・M」に要注意!
トウシル / 2017年12月22日 10時10分
#3:2018年のグローバルリスクは?「I・C・B・M」に要注意!
経済のプロ「楽天証券研究所」と、国民のリアル「街角の声」、運用のプロ「ファンドマネージャー」に2017年の振り返りや2018年の見通しを大特集!
2017年振り返り
2017年は世界株式も日本株式も「強気相場」
2017年は世界株式も日本株式も「強気相場」を示現しました。年初来リターン(騰落率)で振り返ると、世界株式がMSCI(N.Yが本拠の金融サービス企業)世界株式指数で+19.1%、米国株式がS&P500指数で+19.5%、日本株式がTOPIX(東証株価指数)で+18.1%となっています(12月15日現在)。それぞれ、過去の長期平均暦年リターンの2倍超の株価上昇率です。
世界株高の背景としては、グローバルグロース(米国を中心とした世界経済)の堅調と業績拡大期待、「適温相場」とも称される低インフレ・低金利環境の長期化、「第4次産業革命」との言葉に象徴されるIT(ハイテク)業界の活況などが挙げられるでしょう。2018年の株式相場を占うには、こうしたファンダメンタルズ面のプラス要因が続くのか否かを見極めていく必要があります。
一方、「ブラックスワン」(まさかの黒い白鳥)が姿を現し、短期的にせよ世界株式を下落に追い込む可能性も否定できません。リスク要因の所在をイメージし、目配りをしていくことは、冷静な投資判断を実践する上で大切だと考えています。
図表1:日米株式市場と「ブラックスワン指数」の推移
2018年予想
「I・C・B・M」に注意!-2018年の世界株式を揺り動かす不透明要因
本稿では、2018年に警戒したいリスク要因として「I・C・B・M」を取り上げます。もちろん、北朝鮮が発射するICBM(大陸間弾道ミサイル)も引き続き憂慮すべきですが、それと同等に警戒するべき潜在的なリスク要因を略語(下記)にしたものです。
(1)I=Impeachment Risk(トランプ大統領の弾劾リスク)
トランプ大統領は、ロシアゲート疑惑にセクハラ疑惑が重なり、「大統領に不適格」との評価が広まっています。2018年11月の中間選挙を控え、民主党はネガティブキャンペーンを強化していくとみられます。上下両院議会での「共和党優位」が崩れる事態となれば、「大統領弾劾」の機運が高まるなか、政治が「レイムダック(統治力欠如)」におちいる可能性があります。政治の混迷や停滞は、米国株式やドル相場の下押し圧力となりそうです。
(2)C=China Risk (中国の景気悪化リスク)
10月の共産党大会で政治基盤を固めた習近平国家主席は、「痛みをともなう構造改革」に乗り出してきた印象があります。12月に不動産市況の高騰抑制を目的に実施された金融引き締めは、景気減速懸念を広め、上海総合指数、香港ハンセン指数、非鉄金属市況(銅やニッケル)が軟調となりました。GDP規模で世界第2位を占める中国景気を巡る不透明感は、グローバルグロース期待に水を差す事態に発展していく懸念があり要注意です。
(3)B=Bitcoin Crush(ビットコイン急落に派生するリスク)
「ビットコイン」(仮想通貨)は、2017年に年初来18.5倍に上昇しました(平均相場/12月15日)。ブロックチェーン技術や決済時の利便性を織り込んでも、その高騰は投機的と言われています。12月に米国でビットコイン先物が上場されたのを機に、投機筋のプロであるヘッジファンドが売買に参入。将来、短期筋が売り浴びせを重ね、ビットコインが急落すると、損失の穴埋めを目的に株式など他リスク資産が連鎖的に売られる事態も憂慮されます。
(4)M=Middle East Risk(中東での地政学リスク)
トランプ大統領は12月6日、「イスラエルの首都はエルサレム」と初めて認定。米国大使館をテルアビブからエルサレムに移転させる方針を発表しました。1995年に議会が決定した方針でしたが、中東和平を重視した歴代大統領は実行に移してきませんでした。今回の外交方針転換は、中東戦争の再発やイスラム系過激派による大規模テロを誘発する「暴走」と言われており、中東の地政学リスクと原油相場の高騰リスクが高まる危険がありそうです。
新年もファンダメンタルズが相場のトレンドを決める
国内株式は、2018年も世界株式の変動に影響を受ける外国人投資家の売買に揺らされる傾向に変化はないと思われます。本稿で取り上げた潜在的リスクが「警戒要因」で終わるのか、あるいはファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)と世界株式に多大な影響を与える事態となるのか。中長期の視野を重視した冷静な見極めと、投資姿勢が求められる新年となりそうです。
STOCKVOICE TV「東京マーケットワイド」で
「2018年の相場見通しと投資戦略」について香川が解説! 動画はコチラ
▼特集ページへ戻る
まだまだある!ゆく投資。くる投資!
「投資戦略」を考えたいあなたに↓
2018年半ばに日経平均がピークアウト!?注目はJ-REIT
楽天証券経済研究所 ストラジスト 窪田 真之
「政治の動きと投資リスク」を知りたいあなたに↓
楽天証券経済研究所 客員研究員 山崎 元
「世界動向とリスク」を知りたいあなたに↓
2018年のグローバルリスクは?「I・C・B・M」に要注意!
楽天証券経済研究所 ストラジスト 香川 睦
「おすすめテーマ株」を知りたいあなたに↓
楽天証券経済研究所 アナリスト 今中 能夫
「日本株の動き」を知りたいあなたに↓
日経平均は2万4,700円まで上昇可能性も、2018年はリスクに向き合う年か?
楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト 土信田 雅之
「つみたてNISA]や「iDeCo」が気になるあなたに↓
楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト 篠田 尚子
「投資信託」のポイントがわかり、「分散投資」をしたいあなたに↓
楽天証券経済研究所 客員研究員 ファンドアナリスト 吉井 崇裕
「原油」と「金」の動きを知りたいあなたに↓
楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲
「為替」の動きを知りたいあなたに↓
楽天証券 FXディーリング部 荒地 潤
街の人の「お財布事情」について知りたいあなたに↓
トウシル編集部
街の人の「投資経験」について知りたいあなたに↓
トウシル編集部
街の人が思う「経済の重要人物」について知りたいあなたに↓
トウシル編集部
「投資信託」の業界トレンドを知りたいあなたに↓
プロの分析を見習おう! ファンドマネージャーが見た2017年振り返り
ピクテ投信投資顧問 森岡 浩平氏
アセットマネジメントOne 酒井 義隆氏
三井住友アセットマネジメント 葛原 健吾氏
運用プロの「注目投資先」を知りたいあなたに↓
プロの視点を学ぼう! ファンドマネージャーが見る2018年注目投資先
ピクテ投信投資顧問 森岡 浩平氏
アセットマネジメントOne 酒井 義隆氏
三井住友アセットマネジメント 葛原 健吾氏
(香川 睦)
この記事に関連するニュース
-
日経平均:上値を重くする四つの強弱材料を分析(窪田真之)
トウシル / 2024年11月18日 8時0分
-
トランプトレードでビットコインが9万ドルを突破!何が起きている?
トウシル / 2024年11月14日 16時34分
-
米国株最高値の裏に、五つのトランプリスク。インフレ、米中摩擦、ロシアゲート…(窪田真之)
トウシル / 2024年11月12日 8時0分
-
トランプか?ハリスか?米大統領選、いよいよ投開票へ。エヌビディア祭、再開?(窪田真之)
トウシル / 2024年11月5日 8時0分
-
「投資をいつから始めればよいのか」「いつ終わりにすればよいのか」の疑問、投資の流れについてFPが解説します。
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月29日 9時30分
ランキング
-
1「トイレ流せない…」水道代にも値上げの波 千葉で水道代を2割“値上げ”方針 住民からは悲鳴も【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月25日 21時9分
-
2関西財界訪中団、邦人の安全確保に懸念 短期ビザ免除再開に期待も 投資意欲は持続
産経ニュース / 2024年11月25日 18時19分
-
3なぜ「モータースポーツ新会社」設立? GRとは違う「TGR-D」誕生!? トヨタ会長が語る会社分割の狙いとは
くるまのニュース / 2024年11月25日 23時10分
-
4為替相場 26日(日本時間 7時)
共同通信 / 2024年11月26日 7時0分
-
5災害に備えて家に食料を蓄えていますが、出先の対策が全くできていません…。普段から何を持ち歩けばよいでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月24日 3時50分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください