金は買い戻しの動き。ブレント原油は2015年夏場以来の高値
トウシル / 2017年12月22日 16時0分
金は買い戻しの動き。ブレント原油は2015年夏場以来の高値
金は買い戻しの動き
金相場は続伸。2週間ぶりの高値をつけている。
21日発表された米実質GDP(国内総生産)や失業保険申請件数が米国経済の堅調さを示す内容となったものの、金市場では買い戻しの動きがみられている。ただし、買われすぎ感が強まっており、これが目先の上値を押さえる可能性がある。これで1,265ドルを割り込むと、テクニカル的には売りが出やすくなるだろう。安値でのショート筋の買い戻しが一巡したとすれば、目先はいったん調整に向かうと考えるのが妥当だろう。
目先の材料はおおむね織り込まれており、クリスマス休暇に入ることから、動きづらくなる可能性がある。ただし、繰り返すように、この時期の金は下げにくくなる。この点を忘れてはならないだろう。
一方で米長期金利の上昇が続くかを注視することになりそうだ。また、銀やプラチナも戻してきたが、目先の高値付近にあるように見える。一方で、今年一押しだったパラジウムは、依然として堅調である。
2,150ドルまで上げ、アルミは直近高値を更新
非鉄相場は総じて堅調に推移。LME(ロンドン金属取引所)在庫は銅が増加し、その他のメタルは減少した。
アルミは続伸。直近高値の2,140ドルを超え、2,150ドルまで上げてきた。かなり強い動きであり、この動きの持続性を確認したい。銅も続伸。7,000ドル台を維持しており、高値の7,177ドルを目指す動きにある。ニッケルも続伸。1万2,000ドル台を維持する強い動き。亜鉛も続伸で、3,270ドルを超えるとさらに強い動きになる。鉛は続落。2,500ドルは維持しており、下げに転じているわけではない。ただし、先行指標のようになっているだけに、さらに値を下げる場合には要注意だ。
ブレント原油は2015年夏場以来の高値
原油は続伸。ブレント原油は2015年夏場以来の高値で引けた。
WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油も58ドル台を維持。OPEC(石油輸出国機構)が協調減産合意からの出口戦略の策定に着手したとの報道で、供給削減が突然終了することはないという期待が強まったようだ。OPEC関係者は、OPEC事務局がさまざまな出口戦略の策定に取り組んでいることを明らかしたものの、内容について語るのは時期尚早としている。
亀裂発見で停止している北海フォーティーズ原油パイプラインの運営業者イネオスは、クリスマス休暇中に修理を行い、来年1月初旬に再稼働するとの見通しを示し、これが材料視される形で、原油相場はいったん下落。しかし下値は堅く、上昇して引けた。
OPECは非加盟国と実施している協調減産について、将来的な出口戦略の策定に着手したとされているが、この点については明確ではない。OPEC加盟国とロシアなどの非加盟国は11月30日の総会で、供給過多の解消に向けて、現行の協調減産を2018年末まで延長することで合意した。市場では供給過多が解消された際の産油国の出口戦略に関心が高まっている。
これに対し、サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は、OPEC主導の減産政策の変更について協議するのは時期尚早との認識を示した。さらにファリハ氏は、フォーティーズ・パイプラインが稼働を停止しているが、石油市場は2018年下半期まで再均衡しないとの認識を示したうえで、減産終了の可能性について、「市場が均衡を取り戻せば、段階的に進めていくが、原油在庫の減少はさらに時間がかかるだろう。大幅な在庫減少は確認されていない。先月説明した通り、約1億5,000万バレルの過剰状態にある。減少するのは2018年下半期までかかるだろう。2018年の初めの数カ月は、特に石油市場で需要が増える季節的な要因から、在庫水準は横ばいか増加するだろう」との認識を示し、「減産政策変更の可能性について、協議するのは時期尚早であり、最短でも来年6月の総会になるだろう」としている。
IEA(国際エネルギー機関)やEIA(米エネルギー省)は、2018年の供給過剰予測を出しているが、OPEC加盟・非加盟国の減産は徐々に効果を発揮し、これ原油相場を押し上げることになるだろう。
(江守 哲)
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