ゴールド強し6日連続伸。原油はようやく上昇
トウシル / 2017年12月29日 14時0分
ゴールド強し6日連続伸。原油はようやく上昇
金は強いままさらに加速の可能性
金相場は6 日続伸し、1 カ月ぶりの高値を更新した。ユーロドルの上昇が材料視されている。ドルの下落でドル建て金相場の割安感が強まっている。米国株は堅調で、米長期金利も上昇しているが、それでも金は買われた。投機筋のショートの巻き戻しやテクニカル要因による買いが入っている可能性が高いものの、基本的な強さを確認できるといえる。
これで1,300 ドルを明確に超えてくると、さらに投機筋の買い戻しが加速し、いったんは高値を目指すことになると考えている。
アルミ急伸、引き続き銅が高値更新
非鉄相場は堅調。LME(ロンドン金属取引所)在庫は銅と鉛が増加したが、その他は減少した。アルミはさらに急伸し、2,277 ドルまで上昇している。自動車のEV 化の動きに伴う需要増が今後もテーマになりそうだ。
銅も高値を更新し、7,286 ドルまで上げてきた。同様にEV 化は銅市場に恩恵がある。ニッケルも上昇し、1万2,000 ドルから上放れた。これで1万3,000ドルを試す動きに入るだろう。亜鉛も高値を更新。3,300 ドルを明確に超えると、さらに上値追いとなる。鉛は小幅上昇。やや上値が重いものの、基調が強い。2,560 ドルを超えると上昇に勢いがつく。
中国がNEV(新エネルギー車)の購入免税を2020年末まで延長を発表するなど、今後はEV 化が加速する。非鉄金属市場には大きな恩恵がある。来年以降も強気相場が続くことになるだろう。
原油はようやく上昇。リビアのパイプライン爆破事件
原油は反発。ユーロドルの上昇が支援材料だった。EIA(米エネルギー情報局)が発表した石油在庫統計では、最新週の原油在 庫は前週比 460 万バレル減と、市場予想の 400 万バレル減を上回った。またガソリン在庫も市場予想の130 万バレル増に対して、60 万バレル増にとどまった。
一方、ディスティレート在庫は110 万バレル増と、市場予想の60 万バレル減に反して増加した。この内容を受けて、一時は売り買いが交錯し、軟調に推移する場面があったが、産油量は日量975 万バレルとなり、前週比3 万バレル減少。また製油所稼動率が95.74%と、前週から1.68%上昇。1998年12月以来、19年ぶりの高水準に達したことから、米国内の石油製品需要は底堅いとの見方が強まったことが上昇につながっている。
ガソリン相場は8 日続伸し、ヒーティングオイル相場も8 日続伸で、15年2月以来の高値を付けている。一方、リビアのパイプラインが26日爆破されたが、NOC(リビア国営石油会社)傘下で送油管運営に当たるワハ・オイルは、「数日内には修理が可能」との見通しを示している。ワハ・オイルは今回の件について「テロ行為」と非難したが、詳細は明らかにしていない。
爆発はエスシデル港から約130 キロ南の地点で起きたが、周辺は過去には過激派組織「IS(イスラム国)」の活動地域として知られていた。NOC によると、爆発により産油量が日量7万~10 万バレル減少しているもよう。これらの材料に加え、世界的な需給バランスの改善などから、原油相場はようやく上昇して始めている。今年は想定よりも上げ幅は小さかったが、来年は需給面をより正確に反映する形で堅調に推移することになるだろう。
[連載終了のお知らせ]
当連載を2017年末にて終了させていただきます。長期にわたり、ご愛読いただき誠にありがとうございました。
(江守 哲)
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