2017年相場の反省と2018年はじめのざっくり見通し
トウシル / 2017年12月30日 17時0分
2017年相場の反省と2018年はじめのざっくり見通し
2017年の相場もついに大納会(12月29日)を残すのみとなりました。前日28日(木)の日経平均終値は2万2,783円で、前日比では127円安となっています。まだ大納会の取引は終わっていませんが、2017年相場の反省と、ざっくりとした2018年の想定シナリオを考えてみたいと思います。
早速、いつもの通り、足元の状況の確認です。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2017年12月28日取引終了時点)
今週の日経平均は、薄商いの中で「わかりやすすぎる」ほどの小動きが続いていましたが、木曜日(28日)の取引でやや下げ幅が拡大してしまいました。そして、「三角保ち合い(その2)」を下抜ける格好になっています。保ち合いの範囲を抜けると、抜けた方向に株価が動くことが多いため、少し注意が必要になってきました。
まずは、「どこで下げ止まるか?」といった具合に下値のメドを探ることになります。28日(木)は25日移動平均線がサポートとなりましたが、さらにここから下げた場合には、①12月15日の安値(2万2,478円)、②三角保ち合い(その1)の下限の線、③12月6日の安値(2万2,119円)、④11月16日の安値(2万1,972円)、⑤75日移動平均線、などが意識されます。
反対に、すぐさま株価が持ち直して上方向に切り返すことができれば、節目の2万3,000円台乗せや、11月9日のローソク足の上ヒゲ、つまり「上方向に揺らいだ気持ち」のゾーンに突入することができるかが焦点になります。
やや慌しいスタートになるかもしれない2018年相場ですが、個人的にはこの年末年始の動きが中長期的なシナリオを描く上でとても重要になると考えています。その理由を説明する前に、あらためて2017年相場について反省してみたいと思います。
■(図2)日経平均(日足)の動き(2016年11月~2017年12月28日)
日経平均が2017年にたどった軌跡は上の図2の通りですが、おおまかに3つの局面に分けると整理しやすいです。
まず、最初は「膠着感は強いが株価水準は切り上がっている」局面です。株価の急上昇が一服してから高値圏でのもみ合いが数カ月間にわたって続き、いったん大きく調整した後に急反発し、株価水準を一段切り上げるという展開が繰り返されています。
次の局面にあたるのが「株価急上昇」です。9月8日を底にして、11月9日までの約2カ月間にわたって株価が駆け上がって行ったのは、今さら説明するまでもありません。日経平均は2万1,000円や2万2,000円といった節目を次々にクリアし、取引時間中には2万3,000円台に乗せる場面もありました。気が付けば日経平均は26年ぶりという歴史的な高値水準となったことで、これまでの相場とは違う雰囲気が醸し出され、この頃から2018年相場の強気な見通しが増え始めました。
※それと同時に、昨年末のレポートで想定していた日経平均の上値メド(2万1,000円台)をあっさり上抜けた時期でもあり、見事に予想を外してしまいました。そのため、今回のレポートでは2017年の「振り返り」ではなく、「反省」という言葉を用いています。
そして、最後は「上昇一服後のもみ合い」局面です。これには、11月9日に出現した上下のヒゲが長いローソク足が絡んできます。一般的に、ヒゲの長さは揺らいだ気持ちを表すとされていますが、この日は上下ともヒゲが長く、上方向にも下方向のどちらに株価が動いてもおかしくない形となりました。結局、株価は下方向に動いたのですが、その後はもみ合いながら下値を切り上げているため、今のところ相場が崩れた印象はありません。
とはいえ、このもみ合いは中長期的な視点で捉えると、「大きな上昇トレンド内の小休止」なのか、それとも、最初の局面の繰り返しである「天井から下落局面入りの序章」なのかを見極めようとしている大事な局面でもあります。
トレンドは、上値や下値を切り上げ(切り下げ)ながら描かれていくため、再び上昇トレンドに復帰するのであれば、図1にもある通り、直近高値の2万3,382円を超える必要がある一方、直近安値の2万1,972円を下抜けてしまうと、下落トレンドに転じる可能性が高くなります。
つまり、2017年は次の展開待ちの状況で年末を迎えたということになります。では、2018年相場をどのように捉えたら良いのかを整理していきます。
まずは上昇シナリオです。楽天証券の投資情報サイト『トウシル』の年末特集記事でも触れましたが、2018年の株式相場は強気の見方が優勢となっています。その背景にあるのは、拡大が続く国内外の景気と企業業績への期待です。
足元の日経平均株価ベースの予想EPS(1株あたり利益)は、12月22日時点で1,510円ほどでしたので、ここから9%利益を伸ばせば約1,646円になります。これに平均的なPER(株価収益率)の値である15倍を掛ければ、日経平均は2万4,700円ぐらいまでの上昇はあり得るということになります。
■(図3)日経平均(週足)の推移(2015年11月~2017年12月28日)
上の図3のチャートのように、2016年に出現した「トリプルボトム崩れ」の底打ちから描けるトレンドラインを挟みながら推移するイメージです。このトレンドラインから上は強気、下は弱気の場面となりますが、このラインのペースが崩れない限り、2018年内の達成は無理のないシナリオと言えます。
また、2017年中に日経平均が26年ぶりの高値水準をつけたこともあり、超長期のチャートでも確認してみます。下の図4は月足ベースの日経平均の動きを表したものです。
■(図4)日経平均(月足)の推移(1985年1月~2017年12月28日)
1989年12月29日につけた史上最高値(3万8,915円)から、2009年3月につけた安値(7,054円)の下げ幅における半値戻しにあたるのが2万2,984円です。この半値戻しの価格は取引時間中では達成しているものの、終値ベースでは2017年12月28日現在でまだ達成していません。相場格言に「半値戻しは全値戻し」というのがあるため、超長期のチャートでも「何はともあれ、まずは2万3,000円台乗せが大事」であることを示しています。
次に、下落シナリオについてですが、こちらは2つに分けて考える必要がありそうです。ひとつは「本格的な下落トレンド入りシナリオ」、もうひとつは「下落トレンド終了後に再浮上シナリオ」です。現時点で意識しておく必要があるのは後者のほうです。
その場合、参考になりそうなのが、先ほど3つに分けた2017年相場における最初の局面の値動きです。
繰り返しになりますが、この局面では「株価の急上昇が一服してから高値圏でのもみ合いが数カ月間にわたって続き、いったん大きく調整した後に急反発し、株価水準を一段切り上げる」という展開となっていました。
下の図5を見ると、調整の場面では、株価が75日移動平均線を下抜けてから下げが加速し、前の急上昇が小休止したところで下げ渋るという傾向が読み取れます。また、もみ合いが長期化するに伴って75日移動平均線が株価にキャッチアップしてから下抜けていました。
■(図5)日経平均(日足)の動き(2016年11月~2017年12月28日)
そのため、足元の相場状況をこのパターンに当て嵌めてみますと、もみ合いがまだまだ続くかもしれないということと、もみ合いから外れて調整入りした際には、急上昇が小休止した水準(2万1,000円台半ばや2万0,500円辺り)が下げ止まりの目安になりそうということがわかります。
以上を踏まえると、ざっくりとした2018年の想定レンジは2万4,700円~2万0,000円ぐらいになりそうです。また、基本的な相場展開としては、景気拡大と企業業績期待によって上方向が意識されやすいものの、足元がもみ合い相場であることがネックとなり、このまますんなりと高値をつけに行くというよりも、こう着感が思ったよりも長期化したり、大きな調整を経てからトライする可能性のほうが高そうです。今後、状況に変化があった際には、随時こちらのレポートでご報告します。
最後になりましたが、引き続き2018年も何卒よろしくお願いいたします。
(土信田 雅之)
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