新年の急上昇で「買いたい弱気」は禁物?
トウシル / 2018年1月9日 11時26分
新年の急上昇で「買いたい弱気」は禁物?
2018年の相場が始まりました。干支にちなんだ相場格言は「戌(いぬ)笑う」とされていますが、そのスタートは力強いものとなりました。大発会である1月4日(木)の日経平均終値は2万3,506円となり、2017年末の終値(2万2,764円)から741円高の大幅上昇を見せたほか、節目の2万3,000円台乗せも達成しています。国内株市場がお休みだった期間の米国株市場が上昇した流れを引き継ぐ格好になっています。
図1:日経平均(日足)の動き (2018年1月5日取引終了時点)
早速、上の図1で足元の相場状況を確認していきます。
先週はわずか2日間の取引でしたが、日経平均は大発会翌日の5日(金)も上値を伸ばし、前日比で208円高を見せました。大発会と合わせると949円の上昇幅です。ローソク足の形も大発会に出現した「窓空けの大陽線」が印象的です。
これにより、昨年末に形成した「三角保ち合い」も大きく上放れしました。これまで上値を抑えてきた2万3,000円台の節目はもちろん、昨年11月9日につけた、取引時間中の高値(2万3,382円)もあっさり突破しています。
以前から指摘した通り、この11月9日を境にした日経平均のもみ合いは、中長期的に見て、「今後も続く上昇トレンドにおける小休止」なのか、それとも「天井から下落トレンド入りとなる転換期」なのかを見極めるという重要な意味合いを持っていました。これが11月9日の高値を超える値動きとなったことで、前者である上昇トレンド再開のほうに軍配が上がりつつあるように見えます。となると、リクツ的にはトレンド転換の兆しに注意しつつ、この強気相場に乗っかるというのが、今後の基本的な投資スタンスとなります。
とはいえ、「さすがに年初の上げは強すぎるのでないか?」と思われる方も少なくないと思います。しかも、今週は国内株価指数のmini先物取引やオプション取引のいわゆるミニSQが週末に控えていて、値動きが荒くなる展開も想定しなければなりません。
また、年初の株価上昇は米株市場にけん引されている面が強いです。その米株市場は、1月2日にNASDAQ総合指数が初の7,000ポイント台乗せ、翌3日にはS&P500指数が初の2,700ポイント台に乗せ、さらに4日にはNYダウが初の2万5,000ドル台乗せと、主要株価指数が連日で史上初の節目に乗せるほどの勢いと強さです。いつ相場の過熱感が意識されてもおかしくはなく、少なくとも利益確定売りに押される場面が訪れそうなことは予想できます。
となると、株価が下がるのを待ってから買いを入れたいところです。ただし、相場が大きな局面を迎えていた場合には、その流れに付いて行くことができなかったりします。昨年9月からの上昇相場に乗り切れなかった方が多いのも、こうした「買いたい弱気」という投資家心理が少なからず影響していると思われます。また、「押し目待ちに押し目なし」という相場格言もあります。
足元の相場上昇の勢いに乗るか、それとも押し目を待つのかについては、正直言って迷うところ。普通に考えれば、押し目待ちでも悪くはないのですが、昨年末の時点では日経平均が11月9日の高値を超えるのはもうしばらく先になるという見方が多かったのが、意外とあっさり上抜けたことや、未踏の水準に足を踏み入れた米株市場の強さなどを踏まえると、相場が大きな局面を迎えている可能性も捨て切れません。
相場に勢いがあるときは、株価水準が割高感であろうと、過熱感が指摘されようと、とりあえず行けるところまで行ってみるという動きを見せることが多いです。「たとえ株価が行き過ぎたとしても、その後の調整局面で帳尻を合わせるから別にいいじゃん」というわけです。指をくわえて株価の上昇継続を眺めることになるのであれば、思い切って相場の勢いに乗ってみるのもアリと言えます。もちろん、ロスカットと押し目待ちへのすばやい方針転換の準備は欠かせません。
では、最後に年初の上昇の勢いについて簡単に整理してみます。一般的に、相場が行き過ぎていると言われている状況は、「時間」と「振れ幅」に対する感覚で見る必要があります。今回の場合は、「2日間で949円上昇」したことをどう捉えるかです。
まずは振れ幅についてです。下の図2は、日経平均と移動平均線カイ離(25日)です。
図2:日経平均(日足)と移動平均線カイ離(25日)の動き (2018年1月5日取引終了時点)
相場が急上昇した時の移動平均線カイ離をみると、5〜6%辺りで天井をつけることが多く、目先の目安として意識されそうです。5日(金)取引終了時点でのカイ離は3.88%となっています。また、この日の25日移動平均線の値は2万2,828円ですので、仮に5%までのカイ離を計算すると2万3,969円になります。となると、先週末の勢いが続くのであれば、2万4,000円へのトライもシナリオとして十分に描けられるわけですが、逆にこの水準が売りの目安となる可能性も浮上してきます。
また、時間についてですが、こちらは昨年、日経平均が16連騰したときと比べてみたいと思います。その期間は昨年の9月29日から10月24日までになります。
終値ベースでは、この期間に2万356円から2万1,805円まで上昇し、上げ幅は1,449円です。当時の上昇期間や上昇幅と比べると、年初からの上昇ピッチ(2日で949円の上げ幅)はかなり早く、ジワリと買いが継続した昨年とは異なり、一気に買いが入った印象が強いと言えます。従って、勢いに乗る投資手法の時間的な賞味期限は短くなるかもしれません。
(土信田 雅之)
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