米政府機関閉鎖で円高、ビットコイン急落。日本株に2つの試練
トウシル / 2018年1月22日 7時43分
米政府機関閉鎖で円高、ビットコイン急落。日本株に2つの試練
日経平均は、心理的な節目、2万4,000円手前で足踏み
先週の日経平均株価は1週間で154円上がり、2万3,808円となりました。18日(木)に、一時2万4,084円まで上昇しましたが、そこで利益確定売りが増え、2万4,000円以下へ戻されました。2万4,000円が心理的な節目として意識されているようです。円高トライが続いていること、ビットコインが急落したことも、日経平均の上値を重くする要因となりました。
<日経平均日足:2017年9月1日~2018年1月19日>
日足チャートをご覧いただくとわかる通り、日経平均は昨年10月に急騰した後、11~12月は、スピード調整で保ち合いとなりました。その間、2万3,000円が上値抵抗線として意識されました。
1月に入り、2万3,000円を抜けると、一気に2万4,000円に迫りました。ただし、2万4,000円が近づくと、戻り売りが増えます。2万3,000円に続き、2万4,000円が「心理的な節目」となっているようです。
ドル安(円高)を嫌気。米連邦予算の失効響く
為替市場で、ドル安(円高)が進み、1ドル110円台を試す動きとなっていることも、日経平均の上値を重くしています。
<ドル円為替レート推移:2017年9月1日~2018年1月19日>
円高が進んだ背景として、2つあります。先週、特に話題になったのは、米連邦予算が失効し、政府機関が一部閉鎖に追い込まれたことです。
米連邦予算失効で、米政府機関が一部閉鎖に
何回も繰り返してきた米国の政治ショ-がまた繰り返されました。19日が期限だった米連邦予算が失効し、20日には、一部政府機関が閉鎖しました。トランプ大統領は、議会を説得し、暫定予算を成立させる必要がありましたが、大統領の人種差別発言や移民締め出しに反発する野党(民主党)や、一部与党(共和党)議員の離反もあって、成立させることができませんでした。これで、政府機関が一部閉鎖になりました。この状態が長引くと、米経済を一時的に麻痺させることになります。そうした不安もあり、為替市場でドル安(円高)が進みました。
実は、予算失効で政府機関が閉鎖される危機は、昨年9月にもありました。大統領の支持率低下を受け、大統領の求める予算が議会を通らない可能性がありました。ただし、このときは、政府機関閉鎖に至りませんでした。8月に米国を襲った大型ハリケーン被害からの復興を急がなければならない状態となったからです。「こんなときに政府機関閉鎖を起こしてはならない」という意識が広がり、議会が予算を通しました。
大統領と議会が対立し、予算が通らずに政府機関が一時的に閉鎖される事態は、米国で過去何回も起こっています。政府機関の閉鎖は通常は、数日で終わりますが、一時的に米経済にショックが広がります。前回、政府機関が一時的に閉鎖されたのは、オバマ大統領のときの2013年10月です。医療改革法案オバマケアをめぐる対立で、共和党が支配する議会が、民主党大統領の予算案を通しませんでした。
日本の長期金利が少し上昇
世界的な金利上昇の流れを受けて、1月に入り、日本の長期金利が少し上昇しました。これが、一部で、日本の量的緩和が出口に向かう兆しと見なされ、円高が進む理由となりました。日銀黒田総裁は、量的緩和の出口を議論する段階にないことを改めて強調しましたが、一部には、「日銀は金融政策の出口を議論せざるを得なくなる」との考えもあり、円高を試す材料となっています。
先週のNYダウは、最高値更新が続いた
一方、米国株(NYダウ)の最高値更新が続いていることは、引き続き、日本株にとっても追い風となっています。
<NYダウ日足:2017年9月1日~2018年1月12日>
米景気・企業業績が好調にもかかわらず、金利上昇がゆるやかであることが、株価の上昇に「都合の良い」状況を生み出しています。
ただし、こうした「都合の良い」状況の中で、投機筋の買いで急騰してきた仮想通貨ビットコインが急落したことが、心理的に株式市場に悪影響を及ぼす可能性には注意が必要です。
今週の日経平均は、2万4,000円前後の値固めか
今週の日経平均は、2万4,000円の値固めと予想します。
米政府の閉鎖が数日で解決することを前提とすると、これ以上の円高は進まず、日経平均は2万4,000円前後で底堅く推移すると予想します。
ただし、米政府機関の閉鎖が長期化し、ドル安(円高)が一段と進むと、日経平均が2万3,000円台前半まで売られるリスクも生じます。
1月後半から、10~12月決算の発表が本格化します。会社計画を上ブレする好調な決算を発表する企業が増え、日本株にとって追い風になると予想しています。
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(窪田 真之)
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