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過剰流動性相場「終わりの始まり」。日経平均の下値リスク高まる

トウシル / 2018年2月6日 7時43分

過剰流動性相場「終わりの始まり」。日経平均の下値リスク高まる

過剰流動性相場「終わりの始まり」。日経平均の下値リスク高まる

日経平均は、あっさり2万3,000円を割れる

 5日の日経平均株価は、592円下がり、2万2,682円となりました。節目の2万3,000円をあっさり割り込みました。年初からの急騰を、全て帳消しにした形です。ここからさらに下げが加速し、2万2,000円を割り込む可能性も出てきました。
 5日のNYダウは、1,175ドル安の2万4,345ドルと、大幅に続落しました。
為替市場では、リスクオフの円高が進みました。日本時間6日午前7時時点で、1ドル109.15ドルとなっています。

日経平均日足:2017年10月2日~2018年2月5日

 

米長期金利上昇が、世界株安のきっかけに

 今回の世界的な株安のきっかけは、米長期金利の上昇です。これまで世界景気は、世界の株高を支えるに十分なほど「温かい」が、金利が大きく上昇して株安を招くほど「熱く」はありませんでした。資産インフレを生むのに都合のいい「ほどよい湯かげん」が続いてきたことが、仮想通貨の急騰や、世界的な株高を生む、温床となっていました。

 ただ、米長期(10年)金利が、3%に近づいてきたことから、過剰流動性相場が、終わる懸念が生じました。

 2012~2018年は、アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)が、金融緩和からの出口戦略を着々と進めた時期でした。下のグラフで【1】~【5】で示したところは、出口戦略のイベントがあったところです。

米10年・1年金利推移

 

米FRBが実施した出口戦略上記【1】~【5】について

【1】2013年5月:バーナンキショック
当時FRB議長だったバーナンキ氏が、「将来、金融緩和の縮小が必要になる」と発言しただけで、世界中で金利が上昇し、株が急落しました。株は、その後、反発しましたが、米長期金利の上昇は、2013年末まで続きました。

【2】2014年1月:テーパリング(金融緩和の縮小)を開始
バーナンキ氏の後を継いで、FRB議長に着任したイエレン氏が、金融緩和の縮小を開始。米長期金利の上昇やテーパリング開始などを嫌気して、1月には、世界的に株が下落。その後、株は持ち直す。長期金利は、テーパリング実施中、下落が続く。

【3】2014年10月:QE3(量的緩和第3弾)終了
予定通り、テーパリングを10月に完了。量的緩和が終了することへの不安もあり、10月には世界的に株が下落。

【4】2015年12月:FRBが9年半ぶりに利上げ
FRBが、9年半ぶりに利上げ。FF金利(誘導水準)を0.25~0.5%へ引き上げ。これで、ゼロ金利政策が終了。2016年1月より、世界景気悪化を受けて、世界的に株安が加速。12月の米利上げも、株安の一因とみなされた。

【5】2016年12月:FRBが2回目の利上げ
世界景気回復を受け、FRBが2回目の利上げを実施。FF金利(誘導水準)を、0.5~0.75%とする。

【6】2017年中に、FRBがさらに3回利上げを実施
FF金利(誘導水準)を、1.25~1.5%まで引き上げ。
 

米長期(10年)金利3%乗せならば、株から債券への資金シフト起こる可能性も

 2013年12月に、米10年金利が一時3%台に乗せると、その直後に、世界的に株が売られました。米長期金利3%で、株から債券への、資金シフトが始まる可能性があります。今、長期金利が3%に迫ってきたため、世界的な過剰流動性相場「終わりの始まり」が懸念されています。

 ただし、このまま、米長期金利が上がり続けるか、不透明なところもあります。米利上げが続いても、短期金利だけが上がって、長期金利は上がらないことも、あり得ます。前回の利上げ局面(2004~2006年)がそうでした。利上げが続き、短期金利ばかり上がる中で、長期金利が上がらなかったため、最後は、長短金利逆転(短期金利が長期金利よりも高い状況)が起こりました。

 長短金利逆転も、株式市場に悪影響を及ぼします。長短金利逆転は、実体経済に悪影響を及ぼすからです。実際、2006年に長短金利逆転が起こった後、米景気は、リーマンショックにつながる下り坂に向かうこととなりました。

 そう考えると、米利上げが続く中で、長期金利は、上がっても上がらなくても、株式市場に良くない影響を及ぼします。株式市場にとって、米FRBが利上げを続けること自体が逆風と考えられます。
 どこまでが、株式市場にとって許容できる利上げか、どこからが、悪影響を及ぼす利上げになるか、判断することが、大切です。

景気サイクルと、金利・株価のサイクル

 景気・金利・株価には、一般的に、以下のような関係があります。すべての景気循環で成り立つわけではありませんが、株式運用を考える上で、頭に置いておく必要があります。

景気サイクルと、金利・株価サイクル

出所:筆者作成

  2017年に、世界景気は拡大中期に入っていると思います。拡大中期では、金利が上昇する中で、株価も上昇します。

 今、議論になっているのは、いつ、拡大中期から、過熱期に入るかです。過熱期では、景気は好調でも、金利上昇によって株価は下がります。私は、2018年の後半に過熱期に入ると予想していましたが、それが前倒しになる可能性も出てきました。

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