急落後の日経平均。NYダウ反発で戻りを試す展開へ
トウシル / 2018年2月7日 7時58分
急落後の日経平均。NYダウ反発で戻りを試す展開へ
NYダウ・日経平均とも暴落
2月6日の日経平均株価は、1,071円安の2万1,610円となりました。一時、1,603円安の2万1,078円まで下がりましたが、大引けにかけて、下げ幅を縮小しました。日足(1日の値動き)を見ると、長い下ひげ【注】が出ています。
【注】長い下ひげ:日足の下についている線:最安値2万1,078円よりも終値2万1,610円が532円も高いために、下についている線が長くなっている。長い下ひげは、テクニカル分析で、大底圏で出ることが多い。下のグラフをご参照ください。
日本の景気・企業業績が好調で、日経平均がPER(株価収益率)、配当利回りなどの株価指標で見て割安であることも勘案すると、2万1,078円が今回の急落の大底となる可能性が高いと考えます。
<日経平均日足:2017年10月2日~2018年2月6日>
日経平均はこれからどう動く?鍵を握るのは、外国人投資家
株は、短期は需給、長期はファンダメンタル(景気・企業業績)で動きます。言い換えれば、短期は、ファンダメンタルを無視して、需給主導で動くということです。
今回の乱暴な売り方は、明らかに外国人投資家です。「景気・企業業績が好調なとき、日経平均が急落するのはおかしい」といくら言ってみても、外国人投資家が問答無用の売りを浴びせてくる間は、日経平均は下げます。
本コラムで何度も指摘している通り、日本株の値動きを支配しているのは、外国人です。外国人が「なぜ売っているのか?」「いつ買いに転換するか?」考えることが、今後の日経平均の動きを考える上で重要です。
外国人投資家から見ると、日本株は「世界景気敏感株」
グローバル運用を行う外国人投資家は、世界景気、あるいは、世界の株式市場に、何らかの異変が起こる気配を感じると、まず日本株のウエイト(組入比率)を引き下げる傾向があります。
今回、米国の長期金利上昇をきっかけに、世界的な株高が株安に転換するかもしれない不安が生じました。不安に反応して、外国人投資家は、まず日経平均先物を大量に売ってきたと、推定されます。
海外ヘッジファンドは、世界中のあらゆる不安に反応して、日本株を売り、「円」を買う傾向があります。世界的な株安局面では、「円高・株安」で日経平均の下げが大きくなります。
逆に、世界景気が好調で、グローバルマネーがリスクを取りに行くとき、海外ヘッジファンドは、日本株を買い、「円」を売ります。「円安株高」で、日経平均の上昇率は高くなります。
日経平均先物は、このように、グローバル・ポートフォリオのリスク調整に使われる傾向があります。その結果、日経平均は、以下の通り、NYダウよりも、ボラティリティ(変動性)が大きくなります。
<日経平均とNYダウの値動き比較:2012年末~2018年2月6日>
上記のグラフは、アベノミクスがスタートした2013年以降の、日経平均とNYダウの値動きを比較したものです。
ご覧いただくとわかる通り、トータルでは、日経平均のほうが大きく上昇しています。ただし、下落局面(青い四角で囲み、青い矢印で示した部分)だけ見ると、NYダウより、日経平均の方が、下落率が高いことがわかります。
たとえば、2013年5月の下げ局面(グラフで一番左側にある青い矢印の下)を見てください。このときの世界株安は、バーナンキショックと呼ばれています。当時FRB(米連邦準備制度理事会)議長だったバーナンキ氏が、「将来、金融緩和の縮小が必要になる」と発言しただけで、世界中の株が急落しました。このとき、NYダウの下落率はさほど大きくなかったにもかかわらず、日経平均は、高値から安値まで20%以上下げました。このときの悪材料は、世界中見渡しても「バーナンキ発言」以外は特にありません。それでも、日経平均は、震源地のNYダウよりも、大きく下がったのでした。
今回も、米国の不安によって、日経平均が一時的に過剰に売られた可能性もあります。
NYダウが下げ止まれば、日経平均への外国人の売りも収まると考えられる
今回の急落の震源地は、米国株です。米長期金利上昇で、適温相場が崩れる懸念が、NYダウの急落につながりました。
今のところ、日本の景気が好調という状況に変わりはなく、発表中の10~12月決算も好調であることを考えると、NYダウが下げ止まれば、日経平均はもう一度、上値トライする可能性もあります。
6日のNYダウは567ドル高の2万4,912ドルと、反発しました。今日の日経平均は、急反発が予想されます。
目先は、2万1,610円を下値、2万3,000円を上値とするボックス推移か
日経平均は、企業業績が好調な中かなり乱暴な売りで急落したので、今日は大きく反発する見込みです。ただし、2万2,000円を超え、2万3,000円が近づくと、戻り売りが増える可能性もあります。日経平均は、目先、2万1,610円を下値、2万3,000円を上値とするボックスで推移すると考えられます。
最終的に、日経平均が再度、上値をトライできるか否かは、需給だけではなく、ファンダメンタルで決まります。今、発表になっている10~12月決算は好調です。決算については後日報告します。
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