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人気株と値上がり株を研究!新興株ランキング TOP20 2018年1月

トウシル / 2018年2月14日 18時0分

人気株と値上がり株を研究!新興株ランキング TOP20 2018年1月

人気株と値上がり株を研究!新興株ランキング TOP20 2018年1月

1月の新興株<マザーズ、ジャスダック>マーケットまとめ

 新興株市場も、1年の最初となる1月は好スタートを切りました。東証マザーズ指数は月間で6.6%の上昇と、月間では昨年11月から4カ月連続の上昇に。また、日経ジャスダック平均は月間で7.3%上昇、これは月間としては2014年7月以来の大幅な上昇率です。1月の新興株市場の地合いがここまで良かったのは、アベノミクスの初動、2013年1月以来ですね。一方、年始にロケットスタートを切った日経平均株価は月間で1.5%の上昇。月前半の上昇分を、月後半にほぼ全部吐き出す“ブーメラン現象”となりました。

 昨年、1年かけて株を大量に売り越した(=現金化していた)個人投資家が、年が替わって気分一新、新興株市場に資金を向けたといえそうです。また、昨年末にかけて、節税目的で含み損を抱えたままの塩漬け株を売った投資家が多かったですよね。税制上でも年が替わったことで、“売り圧力が少なくなっていた”ことも影響したといえます。また、1月はIPOがないことも、IPOに資金が向かわない分、上場している新興株に資金が入りやすかったといえます。

 新興株は地合い良好でしたが、1月はビットコインなど仮想通貨が急落。仮想通貨の下落が新興株に負の影響を及ぼすのでは?と心配する声もありましたが、波及した影響は仮想通貨の関連株が売られる程度でした。株と仮想通貨では、売買する投資家層が根本的に違うことも確認できたと思います。

1月の売買代金ランキング(人気株)

 売買代金ダントツは、ジャスダックのラクオリア創薬でした。相次ぐ材料で12月に急騰、1月も会社発のプレスリリースで何度も人気化しました。このコラムを昨年10月から執筆していますが、売買代金ランキングでジャスダック銘柄がトップになったのは今回が初。また、ジャスダック銘柄で売買代金25日移動平均が100億円を超えたのも初めてでした。

 そのほか、1月はIPOがない時期ということもあって、昨年後半に上場したPKSHA、ViSCOTEC、サインポスト、みらいWKなど直近IPO株も活発に売買されていました。ただ、上場直後に急騰したIPO株が多かったこともあり、全体の地合いが良かった1月に月間でマイナスになる銘柄が大半でした。「直近IPOだから」という理由だけで人気化するのはよくある現象ですが…時間の経過とともに、熱がどんどん冷めてくるのもよくあることです。

市場 銘柄コード
銘柄名
1月末終値 時価総額
(億円)
売買代金
25日移動
平均値(億円)
月間騰落率
(%)
ジャスダック 4579
ラクオリア
2,756 559 132.7 17.3
東証マザーズ 3993
PKSHA
15,300 1,958 87.4 13.8
ジャスダック 6698
ViSCOTEC
32,350 240 81.6 -10.4
ジャスダック 3323
レカム
369 226 80.2 106.1
ジャスダック 6324
ハーモニック
7,510 7,233 58.1 14.0
東証マザーズ 4565
そーせい
11,780 2,245 58.0 7.7
東証マザーズ 3996
サインポスト
18,100 449 50.8 -5.0
東証マザーズ 4594
ブライトパス
812 305 49.8 27.7
東証マザーズ 6563
みらいWK
10,170 123 49.4 -23.0
東証マザーズ 3652
DMP
9,090 252 48.0 -40.5
東証マザーズ 2160
ジーエヌアイ
718 967 41.6 21.1
東証マザーズ 4571
ナノキャリア
1,030 445 40.1 59.7
東証マザーズ 7779
サイバダイン
1,888 2,593 37.3 -2.7
東証マザーズ 2497
UNITED
3,450 817 35.1 -6.1
東証マザーズ 3267
フィルカンパニ
8,580 464 32.9 117.2
ジャスダック 3758
アエリア
2,044 393 32.3 38.2
東証マザーズ ブランジスタ 1,626 234 30.7 -2.3
東証マザーズ 2121
ミクシィ
4,815 3,767 27.1 -4.8
東証マザーズ 4592
サンバイオ
4,025 1,831 23.2 24.8
ジャスダック 3540
Ciメディカル
8,930 893 23.2 84.1

 

売買代金ランキング(5銘柄)

1 ラクオリア創薬(4579・ジャスダック)

昨年末にかけて相次いだ好材料、そして畳み掛けるように年始から相次いだ好材料。1月4日に、「COX-2阻害薬」が中国当局に承認されたと発表。12日には、「EP4拮抗薬」が欧州委員会から動物薬製造販売承認を取得したと発表。30日には中国ZTE傘下の企業と医薬品開発で合弁会社を設立すると発表…。好材料のミルフィーユ攻撃で、株価も2,000円台を維持しました。
ラクオリアに限らず、上場バイオベンチャー株が1月に幅広く物色されました。その中でも同社が目立つのは…数多く上場するバイオベンチャー株の中でも数少ない、1月の“上場来高値”更新銘柄(=買い方の全員が含み益状態)という側面もありそうです。
 

2 レカム(3323・ジャスダック)

 昨年12月18日に光通信との資本業務提携を発表(光通信の子会社IEエコの株式51%取得し、LED照明や業務用エアコン等の環境関連事業の拡大を目指す)。この材料で買いが集まったわけですが、発表直前の株価は110円、時価総額で67億円だった小型株。発表前は流動性も低く、浮動株が出回っていないなかで極端な買いが入って生じた需給ギャップと、投資額が小さい低位株であったことなど、デイトレ妙味が相まって買われ過ぎた側面もありそうです。
 

3 ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324・ジャスダック)

 年明け早々の5日、公募増資などで約400億円を調達すると発表。調達資金の使い道も、需要が拡大している「産業ロボット向け減速機の増産」という前向きな内容でした。この時期、東証1部でファナックなどFA関連が買われていたこともあって、増資で1株当たり利益が薄まる=「売り」という短絡的な反応にはなりませんでした。
このハーモニック株、新興株(ジャスダックとマザーズ)の中で、時価総額トップ銘柄です(2月5日時点ではマクドナルドの6,461億円を上回る7,021億円)。海外投資家や国内の機関投資家も多く保有しており、東証1部の大型のFA関連株と似たような動き方をします。決算発表後にファナックなどが調整に転じると、タイミングを合わせてツレ安。今回の公募増資における公募価格は7,322円で決まりましたので、多くの投資家が購入したこの価格が当面の上値の重石になりそうです。
 

4 そーせいグループ(4565・東証マザーズ)

 1月も出足だけ大きく上昇したものの、その後は戻り売りに押される展開でした。空気を一変させたのが、22日のドイツ証券による投資判断「Buy」、目標株価1万6,050円での新規カバレッジ開始。1万1,000円前後だった株価に、1万6,000円台の目標株価は魅力に映ってか、出来高を膨らませながら強い買いで反応しました。外資系証券の買い推奨で上がったため、「外国人が買ったのでは?」なる憶測も市場で流れていたりします。
ちなみに、そーせいはレーティングを付与している国内外の証券会社6社(ドイツ証券含め)のすべてが買い推奨しています。これだけ買い推奨に傾く新興株も珍しいうえ、6社の目標株価も平均すると約1万8,000円。それでも上がらない(むしろ下がる)というのは、そーせいの塩漬け株を持つ個人投資家が相当多いとしか言いようがありません。
 

5 ブランジスタ(6176・東証マザーズ)

 2016年に大ブレイク(その後に大暴落)したマザーズ株が、2018年に入って再ブレイクしました。あの株は今・・・的な存在から、一躍新興市場のスターになりかけたきっかけは、スマホ向けクレーンゲームアプリ「神の手」のダウンロードが急増したからでした。
 年末年始にテレビCMを大掛かりに行い、企業とのタイアップによる豪華景品を投入。この成果で、iOSの無料ダウンロードランキングで首位になる日も出てきます。株価もわかりやすく急騰したのですが・・・無料ダウンロード数はすごかったものの、この時も課金を示すトップセールスランキングは常に「圏外(200位以下)」。ソシャゲ株は課金が命です。
 

1月の株価値上がり率ランキング

 1月の値上がり率上位20は、マザーズ銘柄が6、ジャスダック銘柄が14。「急騰株は意外にジャスダックのほうが多い」、この事実は投資家にも定着してきたといえますね。ただ、これも需給ギャップ(少ない売り注文に見合わない買い注文が入ること)が理由の場合が大半です。流動性が低く、人気の乏しい銘柄がジャスダックには数多くあります。そういった銘柄に、材料を吟味せず群がるイナゴ投資家が日本には多過ぎるためといえます。

 なお、値上がり率上位には、東証1部でも業種別の上昇率が高かった不動産株が複数ランクイン(ロードスター、コスモスイニシア、グローバルリンクなど)。また、株式分割を発表した銘柄(ハイアス・アンド・カンパニーなど)が異様に上がっていたのも印象に残りました。余談ですが、ビットコインが昨年3回分裂しましたよね。仮想通貨の分裂の場合、誕生した新しい仮想通貨がもらえます。株式分割は、3分割したからといって、2つ新しくもらえるわけでないのですが、「ビットコインの分裂と同じだと思っている投資家が今結構いるんじゃないの?」なる声も市場参加者の中から聞かれました。

 

市場 銘柄コード
銘柄名
月間騰落率
(%)
1月末終値 前月末
終値価格
時価総額
(億円)
ジャスダック 3953
大村紙業
309.9 2,865 699 140
ジャスダック 6467
ニチダイ
127.7 1,437 631 130
ジャスダック 3358
ワイエスフード
125.4 613 272 24
東証マザーズ 3267
フィルカンパニ
117.2 8,580 3,950 464
ジャスダック 5279
日興業
115.2 2,027 942 62
ジャスダック 3323
レカム
106.1 369 179 226
ジャスダック 6907
ジオマテック
88.9 1,606 850 147
ジャスダック 3540
Ciメディカル
84.1 8,930 4,850 893
ジャスダック 6867
リーダー電
80.6 1,303 721 55
東証マザーズ 6192
HyAS&Co.
75.3 2,210 1,261 165
ジャスダック 6494
NFK-HD
75.0 217 124 67
東証マザーズ 3482
ロードスター
73.3 2,601 1,501 272
ジャスダック 3054
ハイパー
67.9 1,780 1,060 77
東証マザーズ 3939
カナミックN
66.4 5,550 3,335 445
ジャスダック 2471
エスプール
62.3 4,740 2,920 149
東証マザーズ 4571
ナノキャリア
59.7 1,030 645 445
東証マザーズ 3479
TKP
56.8 4,305 2,746 1425
ジャスダック 6433
ヒーハイスト
55.5 897 577 56
ジャスダック 8844
コスモスイニシア
54.8 943 609 320
東証マザーズ 3486
グロバルリン
51.9 10,100 6,650 186


値上がり率ランキング(5銘柄)

1 大村紙業(3953・ジャスダック)

 思惑というか、妄想で驚くほど買われました。同社は段ボールメーカーなのですが、知名度は非常に低い銘柄です。その同社株にこんな妄想が・・・。18日に任天堂が、大ヒット中のゲーム機「ニンテンドースイッチ」と組み合わせて遊ぶ段ボール製キット「ニンテンドーラボ」を発表。任天堂がファブレスメーカーということもあり、「段ボールメーカーのどこかが作るのでは?」「事業規模が小さいだけに大村紙業だったら業績に大きく影響するのでは?」と妄想が飛躍します。
 株価は年始から16営業日下げなしで、昨年末の699円が2月2日高値時点では3,895円に大変貌。今期予想PERは57倍と、業界最大手レンゴーの同20倍をはるかに上回るバリュエーション水準に。
 

2 ワイエスフード(3358・ジャスダック)

 22日に、餃子専門店などを手掛ける餃子計画と業務提携をすると発表。豚骨ラーメンチェーンの同社と相性抜群との判断か、発表直後から買い殺到で4日連続ストップ高に。発表直前が280円だった株価は、29日高値833円までわずか5営業日で約3倍になりました。
 餃子計画との提携を発表する直前の時価総額は、わずか9億円強という超小型株。その規模に見合わない買いが入ったことが急騰の理由で、それ以上でもそれ以下でもなさそう。餃子計画との提携で業績が上向くかどうかは、まだまったくわかりません。ちなみに、31日から東証が信用規制をかけたことで大暴落。これもある意味「需給ギャップ」で説明できます(直前で買った投資家の売りに見合うだけの買いが入らなくなった)。

※信用規制・・・信用取引を使った買い注文の急増などで生じた株価の過熱を冷ますため、東証が信用取引の委託保証金率を50%以上(うち現金20%以上)に引き上げる措置。
 

3 フィルカンパニー(3267・東証マザーズ)

 業績拡大期待から買いを集めた割と理想的な事例といえます。12日に本決算を発表、今18年11月期見通しは売上高が前期比59%増の47億円、営業利益が同72%増の5.1億円でした。高い成長性を会社が示したことに加えて、市場が注目する日本郵政グループ等との連携による効果は「現時点で織り込んでいない」としたことも期待感を膨らませました。
 さらには、東証1部への市場変更の基準を満たしたことで、「今期の東証1部への市場変更を目指す」とも。今年どこかで上方修正がありそう、東証1部に昇格しそう、なる期待もあってか、高値圏を維持したまま2月に入っています。
 

4 ハイアス・アンド・カンパニー(6192・東証マザーズ)

 19日に2月末時点の株主を対象にした「1対3」の株式分割を発表。その手前で株式分割を発表した銘柄から、ストップ高銘柄が連発していたこともあって、なりふり構わず買い向かう投資家の力で急騰しました。
 株式分割の理由として、「株式の流動性向上と投資家層の拡大を図る」とあります。これは常套句ではあるのですが、実際に株式分割した銘柄は、株式分割後に流動性が落ちる(流動性が上がるのは株式分割発表直後だけ)パターンが大半です。
 

5 TKP(3479・東証マザーズ)

 おそらくですが、機関投資家が買って大きく上昇した新興株が同社だと思われます。急激に上昇し始めたきっかけは、15日に発表した第3四半期の決算発表(売上高は29%増、営業利益17%増)。通期予想に対する第3四半期までの進ちょく率は営業利益で93%に達した一方で、通期予想は据え置きでした。「上方修正は確実」との読み筋から決算発表後に買いが殺到し、ここでストップ高に。さらに、翌週の24日に上方修正を発表・・・決算発表のタイミングとずらした上方修正がサプライズにもなり、追撃買いも集めました。
 機関投資家が買っていたと予想する理由は、信用買い残の推移です。通常、新興株が大きく値上がりする過程では、売買の6割を占める個人投資家の信用買い残が株価に比例して増加します。ただ、同社株の信用買い残を見ると、昨年末の42万1,600株に対し、1月26日時点で30万2,800株に減少しています。つまり、個人投資家は上昇局面で利益確定の売り手であって、それ以外の投資家の買いで月間56%も値上がりしたのだと推測できます。

(岡村 友哉)

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