誰が買い、誰が売っているのか?日本株の需給分析
トウシル / 2018年2月14日 7時40分
誰が買い、誰が売っているのか?日本株の需給分析
外国人が買えば上がり、売れば下がる日本株
1月後半から日経平均株価が急落しましたが、「外国人の売り」で下がったことがわかっています。足元、まだ外国人の売りは続いていると、考えられます。
いつもお伝えしている通り、外国人は、買う時は上値を追って買い、売る時は下値を叩いて売る傾向があるので、短期的な日経平均の動きはほとんど外国人によって決まります。
日経平均と外国人の売買動向(買い越しまたは売り越し額、株式現物と日経平均先物の合計):2016年1月4日~2018年2月13日(外国人売買動向は2月2日まで)
このように外国人が日本株を動かす状態が、28年間、続いています。言い換えると、1990年以降は、外国人が日本株を動かすようになりました。1989年12月に日経平均が史上最高値3万8,915円をつけるまでの上昇相場では、日本人が日本株を動かしていました。
買い手として、日本銀行の存在がどんどん大きくなっている
日経平均の短期的な動きを決めているのは外国人ですが、1年間を通じて、大量に買い越しているのは、日本銀行です。以下、2017年1月以降の主体別売買動向です。
主体別の日本株売買動向(買い越し・売り越しが大きい上位3主体):2017年1月~2018年1月(日銀のみ2月13日まで)
2017年以降で、最大の買い手は、日本銀行(ETF買い付け)です。毎月約5,000億円、年間で約6兆円を買い越しています。次が、事業法人(主に自社株買い)です。外国人は、月間で2兆円超、買い越して日経平均を急騰させたり、月間で1兆円超、売り越して日経平均を急落させたりしていますが、年間トータルでは、それほど大きな買い主体ではありません。
日本銀行は、日経平均が上昇した日は買わず、下落した日に買う傾向がきわめて顕著です。日経平均を動かしてはいませんが、集計すると、今年最大の買い主体となっています。事業法人の自社株買いは、日経平均の動きにあまり関係なく安定的に出ますが、日経平均が大きく上昇した10月は、売り越しになっていることからもわかる通り、マーケットを積極的に動かす買い方はしていません。
結果的に、買い越し額は小さくても、外国人が日経平均の動きを決めていたことに、変わりありません。最大の売り手は、個人投資家です。東証の統計では、2017年に5兆7,934億円売り越しています【注1】。
投資信託も売り越しが大きいですが、主に個人投資家の解約売りです。金融法人は、法人間の株式持合いを解消する売りが続いています。
【注1】個人投資家の売り越し額
実際の売り越し額は、ここまで大きくはありません。個人投資家が、新規公開株を引き受けて、上場後に売却した場合、統計上買いはカウントされず、売りだけがカウントされます。5兆7,934億円から、個人投資家が新規公開株を引き受けた金額を差し引いたものが、本当の売り越し額となります。ただし、それでも、個人が最大の売り越し主体であることには、変わりありません。
引き続き、外国人売買に注目。日銀の買いを減らす話が出るとネガティブ
結論として、日経平均を動かすのは、これからも外国人で変わりないと思います。引き続き、外国人の売買動向を注意深く見ていく必要があります。
日銀のETF買いは、日経平均の下支え役として、きわめて大きな存在です。黒田総裁は、当分、買付額を減らす議論はしないと思われますが、将来、これを減らす議論が出ると、ネガティブにとらえられる可能性があります。
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