リバウンドした日経平均に試練:止まらぬ円高と米金利上昇
トウシル / 2018年2月19日 7時34分
![リバウンドした日経平均に試練:止まらぬ円高と米金利上昇](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_12158_0-small.jpg)
リバウンドした日経平均に試練:止まらぬ円高と米金利上昇
日経平均・NYダウともに反発。ただし日経平均は円高で上値重い
先週の日経平均株価は、1週間で338円上昇して、2万1,720円となりました。NYダウの反発が続いたことから、再び、世界的に株を買う流れが復活しました。
<日経平均日足:2017年10月2日~2018年2月16日>
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/6/f/-/img_6f204ef0e39ec1e284a9794fdd77987959271.png)
ただ、NYダウが勢いよく戻っているのに比べると、日経平均の戻りは鈍いと言えます。円高が止まらず、一時1ドル=105円台に入ったことが、日経平均の上値を重くしています。
<NYダウ日足:2017年10月2日~2018年2月16日>
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/b/2/-/img_b2a407be37eb24966d68269e99b8acbb56264.png)
<ドル/円為替レート推移:2017年10月2日~2018年2月16日>
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/7/8/-/img_786f3cfbaae6178bf5aa76c59538dde362499.png)
日経平均の上値を抑える懸念材料:円高と米金利上昇
日経平均日足チャ-トを見ると、2月からの下げの勢いが強いのに比べて、先週の反発には勢いがありません。日足チャートを見る限り、まだ下げの勢いが止まったとは言えません。
下値メドは、2万1,000円としていますが、2万円まで下がる可能性を、まだ完全には否定できません。
2つの懸念材料が残っています。1つは、今回の世界的な株安のきっかけとなった、米長期金利の上昇がまだ続いていること。もう1つは、円高が続いていることです。
<米10年・1年金利の推移:2012年1月~2018年2月(16日まで)>
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/5/8/-/img_58aa9c22e7cbca9904b2153b849906ea32250.png)
今年、米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)は、3回利上げすると予想されています。3月にも、追加で利上げする可能性があります。3月利上げで、米10年金利が3%に乗ったとき、米国株が改めて売られないか要注意です。
もう1つの懸念材料は、円高です。2017年度(2018年3月期)の平均為替レート(2017年4月1日から2018年2月16日まで)は、1ドル=111.42円です。為替が、このまま1ドル=106円前後で推移すると、来期(2019年3月期)業績にはマイナス要因となります。日本の企業業績は、来期も今期に続き増益と考えられますが、その増益率が、円高によって縮小することになります。
なぜ円高、止まらない?
ドル/円を動かす、最も重要なファクターは、日米金利差です。日米金利差が拡大する中で、円高が進んでいるのは、奇妙と言えます。
今後、日米金利差は、さらに拡大する見込みです。米国の中央銀行であるFRB議長となったパウエル氏は、今後、さらなる利上げを続ける見通しです。一方、日本銀行は、10年金利をゼロに固定する金融緩和を続ける見通しです。4月に任期を迎える黒田日銀総裁の続投が確実となり、日銀の金融緩和政策は、変わらない見通しです。
米国の金利が上がり、日本の金利が変わらなければ、日米金利差は拡大します。それが予想される中で、円高が進んでいくのは、不思議ですこれについては2つの解釈が可能です。
(1)3月の米利上げが視野に入るころから、円安に転じる。
(2)購買力平価(企業物価ベース)にサヤ寄せする形で、円高が進んでいる。
ドル/円は、長期的には、購買力平価(企業物価ベース)に沿って、円高が進んできています。
<ドル/円、購買力平価(企業物価)と、実際の為替レートの推移:1973年12月~2018年2月(16日)>
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/0/3/-/img_0314d092a311b1173291832428619b7c34537.png)
購買力平価について、さらに詳しい解説は、以下の1月30日のレポートをご参照ください。
▼著者お勧めのバックナンバー3本:
2018年2月13日:日経平均のトレード戦略 リバウンド狙いで買い増しも
2018年1月30日:ドル/円為替は、どう決まる?日米金利差・購買力平価が与える影響を解説
2018年1月25日:ジリジリ進む不気味な円高。どこまで続く?
▼他の新着オススメ連載
今日のマーケット・キーワード:米商業銀行の『融資基準』は引き続き緩和的
(窪田 真之)
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