「イーサリアム」が世界の契約手続きを変える!?
トウシル / 2018年2月21日 15時10分
「イーサリアム」が世界の契約手続きを変える!?
ビットコインとの出会いから生まれた仮想通貨
2月8日時点でビットコインに次ぐ8兆円の時価総額を持つ仮想通貨がイーサリアム(Ethereum)です。※データはCoinmarketcapより
開発者のヴィタリック・ブテリン氏はビットコインの根幹技術であるブロックチェーンの持つポテンシャルに強く惹かれてその仕組みについて研究を重ね、2014年に若干19歳でイーサリアムを生み出しました。
柔軟性と多用性
仮想通貨=価値を持ったデジタルデータ(取引記録)=決済手段と思いがちですが、イーサリアムはブロックチェーン技術を基盤とする分散型アプリケーションを作成するためのプラットフォーム(システムを動かすための環境・土台)です。
イーサリアム(ETH)はその内部通貨として決済手段にも活用できますが、さらにプラットフォームを利用してさまざまなプロジェクトが作成できることから、その将来性に期待が集まる仮想通貨です。
イーサリアムには「スマートコントラクト」「プルーフ・オブ・ステークへ将来的に移行」「発行上限がない」という3つの特徴があります。特に「スマートコントラクト」は世界を変える可能性を秘めた仕組みであり、そのことがイーサリアムへの期待を高める要因にもなっています。
特徴1 世の中の契約を簡単にする「スマートコントラクト」
「スマートコントラクト」とはビットコインのように取引記録だけなくその契約内容もプログラムとしてブロックチェーン上に書き込み、条件が満たされたら自動的に契約が履行されるという仕組みのことです。
これまでの契約では、仲介者を置いて、ときには高額な費用をかけて相手の信頼性を担保する場面が多くありました。しかし、スマートコントラクトは、契約記録の条件を満たせば自動で契約が履行されるので、相手への信頼は必要なく仲介者も必要ありませんし、コストカットも可能です。
また、ブロックチェーン技術によって過去の契約の実行履歴もそのすべてが記録・公開されるので透明性も保たれ詐欺行為の余地もほとんどないことがメリットとされます。
加えて、このスマートコントラクトは仮想通貨以外に、株式、債券、金、不動産、保険など、さまざまな契約に応用することが可能です。
特徴2 マイニングメリットが拡がる「プルーフ・オブ・ステーク」
「プルーフ・オブ・ステーク」とは、簡単に言うと「ブロックチェーンにおけるブロック作成の権利を、仮想通貨の保有量に応じて与える」というルールのことです。つまり、プルーフ・オブ・ステークを採用している仮想通貨をより多く保有しているほど、ブロック生成の承認者になりやすく報酬を得やすくなります。
ビットコインが採用しているプルーフ・オブ・ワークという仕組みでは、多大な電力消費と一部のマイナーによるマイニングの寡占という問題点がありますが、それらの解決が期待されている仕組みです。
イーサリアムは現在プルーフ・オブ・ワークからプルーフ・オブ・ステークへの移行準備中の段階にあります。
特徴3「発行上限がない」
イーサリアムは誕生時に7,200万枚が発行され、その後現在まで2,000万枚超が追加発行されています。発行上限が定められていませんので、際限のない発行が続くと稀少性が損なわれてしまう恐れもあります。そのためか、現在発行数を絞るという話も上がっており、今後の方針が注目されます。
今後の展望は?
2017年2月に、スマートコントラクトの仕組みをビジネスで活用することを目的に、総参加数180社以上、マイクロソフト、JPモルガン、トヨタ自動車、三菱UFJなどの国際的な大企業も名を連ねる「イーサリアム企業連合(EEA)」が誕生しました。
今後、EEAの中で生み出されるサービスにおいてイーサリアムの需要は高まると考えられます。また、信頼性の高い企業がその有用性を認めたイーサリアムは市場での需要の高まりも期待できるため、2018年は大きな飛躍を遂げるかもしれません。
(フィスコ)
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