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本当にあるのか「パウエル・プット」?期待で米国株は元気回復!日本株はどうなる?

トウシル / 2018年2月26日 7時37分

本当にあるのか「パウエル・プット」?期待で米国株は元気回復!日本株はどうなる?

本当にあるのか「パウエル・プット」?期待で米国株は元気回復!日本株はどうなる?

あるか?パウエル・プット。FRB新議長のパウエル氏に期待集まる

 先週は、パウエル・プットへの期待【注】が高まり、米国株は元気を取り戻しました。

【注】パウエル・プットへの期待

 株が急落したとき、「米国の中央銀行であるFRBが、金融緩和など株安歯止め策を発動してくれるはず」という期待。実際、FRBは過去、株安局面で金融緩和や資産買い取りなど発動してきた。

 「プット」は金融派生商品の一種で、下落局面で下げのダメージを緩和する保険の役割を果たす。「FRB議長がプットのような役割を果たす」という期待を込めて、その時々のFRB議長の名前をつけて、「グリーンスパン・プット」「イエレン・プット」などの呼び名が使われてきた。

 2月3日にイエレン氏の後を継いでFRB議長に就任したパウエル氏の手法には未知の部分が多いが、最近「株安局面では金融緩和に動く」と期待が高まり、「パウエル・プット」という言葉が生まれた。

 パウエル議長は、就任時に、金融政策の方針として、2つのメッセージを発信しました。「利上げを続ける」ことと、「金融市場に波乱があるときは、それに配慮する」ことです。市場は、どちらを重視するか知りたかったのですが、パウエル氏は、言質を与えるような発言はせず、ただ2つの可能性を当たりさわりなく述べただけでした。

 パウエル議長の政策にいろいろな思惑が広がる中、金融市場を安心させるニュースが1つ出ました。NYダウが急落した直後の週に、FRB(連邦準備制度理事会)がMBS(住宅ローン担保証券)の大量購入を行ったことがわかったことです。1週間で110億ドル(約1兆1,700億円)買い付けていました。

 FRBは、イエレン前議長のもとで、昨年9月に保有資産(米国債や住宅ローン担保証券)の縮小(量的な金融引き締め)を、少しずつ進める方針を決めています。今回の買い付けは、それに逆行する動きです。NYダウの急落を目の当たりにして、緊急で資金供給(保有資産の拡大)を実施したことがわかりました。

 この事実が伝わると、「パウエル議長は、株価が急落したら金融緩和してくれる」という、いわゆる「パウエル・プット」の期待が一気に高まりました。

 パウエル・プットの期待が高まると、VIX指数(恐怖指数)は急低下し、NYダウは急反発しました。

<NYダウ日足:2017年10月2日~2018年2月23日>

 

 ただ、パウエル・プットの期待には、副作用もありました。ドル安(円高)です。パウエル議長は表向き利上げ積極派だが、株安局面では金融緩和を復活させるくらいハト派の顔もあると市場が思い込んだことから、ドルの先高感が低下しドル安が進みました。

<ドル/円為替レート推移:2017年10月2日~2018年2月23日>

 

日経平均も反発しているが、上値重い

 先週の日経平均株価は1週間で172円上昇し、2万1,892円となりました。NYダウの反発を好感しました。しかし、円高進行があったので、反発は鈍く、日経平均の上値は重いままです。

<日経平均日足:2017年10月2日~2018年2月23日>

 

今週の日経平均は上値の重い展開か?パウエル議長の議会証言が鍵

 今週の日経平均ですが、NYダウの反発が一巡すれば、円高を嫌気して改めて売られる可能性もあると考えています。鍵を握るのが、パウエル議長の議会証言です。

 今、パウエル・プットへの期待が一人歩きしている状況ですが、今週はパウエルFRB議長の議会証言が重大イベントとなります。下院で2月27日(火)、上院で3月1日(木)に証言を行います。そこで、強いタカ派色(金融引き締めに積極的)あるいは強いハト派色(金融緩和に前向き)を出すと、為替、金利、株に大きく影響します。

 おそらくタカ派色もハト派色も、いずれも明確にはせずに無難な発言に終始すると思います。ただ、無難な発言の中から本音が見えてくることもあるので、議会証言をきっかけに、パウエル・プットの期待が高まる、あるいは低下する可能性に注意が必要です。

  • パウエル・プット期待が低下→為替は円安、NYダウは下落する可能性も
  • パウエル・プット期待が高まる→為替は円高、NYダウはさらに上昇する可能性も

 さらに、先にはもっと大きなイベントがあります。3月20~3月21日に予定されている、米国の金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)です。そこで、0.25%の利上げが行われることが、確実視されています。その後、年内利上げに打ち止め感が出るか、あるいは、3~4回の利上げが続く見込みか、それにより米国の金利、為替、株が大きく動く可能性があり、注意が必要です。

 

▼著者お勧めのバックナンバー

2月22日:パウエル・プットが炸裂、今、米国市場で何が起こっているのか?
2月19日:リバウンドした日経平均に試練:止まらぬ円高と米金利上昇
 

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今日のマーケット・キーワード:『FOMC議事要旨』、緩やかな利上げを継続へ

 

(窪田 真之)

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