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パウエルFRB議長の議会証言や多数の経済指標に注目― 北朝鮮リスクにも要注意 ―

トウシル / 2018年2月27日 19時0分

パウエルFRB議長の議会証言や多数の経済指標に注目― 北朝鮮リスクにも要注意 ―

パウエルFRB議長の議会証言や多数の経済指標に注目― 北朝鮮リスクにも要注意 ―

週始め2万2,000円台回復するも、すぐに反落。もみあいへ

先週の予測

 日経平均株価の上値は重く、基本的には米国株式(特にNYダウ)の動きと為替の動きをみて、どこまで上昇が継続するか見極める必要があるとしました。日本の輸出企業のドル/円為替レートが1ドル=110円水準であることを考えると、110円を下放れしているため日経平均の戻りには限界があるといえるし、基本、当面は2万1,000~2万2,000円のレンジの中での動きを想定しました。もし超えても2月7日の長い上ヒゲとなっている2万2,353円を埋めるぐらいとしました。

結果

 週始めは米国がプレジデントデーで休日のため、国内市場での外国人の売りが減少。この間を狙って日経先物が大きく買われ2万2,152円まで上昇し、+428円の2万2,149円で引けました。しかし、その後は2日連続の大幅安となって2万1,626円まで下げ、週末は2万1,892円で引けました。週始め2万2,000円台を回復するものの、その後は想定した2万1,000~2万2,000円のレンジの中での動きで引けました。

 19日(月)は、前週の米国市場でNYダウが6日続伸したことを好感。+183円の2万1,903円で寄り付き、ほぼ全面高となって2万2,000円台を回復しました。後場になると、この日の米国市場は休場のため、外国人の売り注文少なく、この中で日経平均先物にまとまった買いが入って、さらに一段高となり、+428円の2万2,149円で引けました。

 今回の下げは1月23日の2万4,129円から2月14日の安値2万950円までであり、この下げ幅の3分の1戻りが2万2,010円ですので、これを達成したことになります。 

 20日(火)は、欧州株安や日経平均が3日間で合計995円の大幅上昇ということもあって、その反動から利益確定売りで大幅安。一時▲317円の2万1,831円をつけ、終値は▲224円の2万1,925円となり、2万2,000円台回復は1日で終わりました。 

 21日(水)は、連休明けの米国市場では、利益確定売りで3指標そろって下落しましたが、円安を支えに小反発となり、+45円の2万1,970円でした。しかし、22日(木)は前日の米国市場が長期金利の上昇を嫌気し続落したことで、日経平均は大幅反落。一時▲343円の2万1,626円まで下げて終値は▲234円の2万1,736円で引けました。 週末の23日(金)は前日のNYダウの3日ぶりの反発を受け、日経平均も+156円の2万1,892円と反発して引けました。

 23日(金)の米国市場は、長期金利が低下したことで、3指標そろって上昇し、NYダウは+347ドルの2万5,309ドルで引けました。為替は1ドル=106.85円で引け、シカゴ日経先物は+115円の2万2,025円となっていました。

 

パウエル議長の議会証言や経済指標の発表に注目

今週の予測

 週初めは先週末のNYダウが高く、シカゴ日経先物も2万2,000円台に乗せているので、買い先行となりそうです。しかし、2万2,000円台では上値圧力強く、NYダウの上昇が続かなければ2万1,000~2万2,000円の中でのもみあいが続くことになりそうです。

 今週は、多くの経済指標の発表を控え、27日にはパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の下院金融委員会での半年に1回の証言も控えており、結果によっては長期金利が再び上昇して株価に影響を与える場合も考えられます。 

 国内株式は円高水準ということや外国人投資家の売り越し基調もあって、出来高が増加せず、薄商いの中を先物主導によるインデックス買いに振らされている状況です。チャート的には19日(月)に2万2,149円で買い転換となったものの、出来高からみると、ダマシの可能性があります。2月7日のように2万2,353円を上にぬけていくようなら、戻りは続くことになりそうですが、逆に引線の終値で2万1,362円を切るようだと、再び2万1,000円を試す売りの形ができてきます。この形ができる場合の原因は円高進行ですが、きっかけは北朝鮮問題になるかもしれません。

 先週始めに、米朝秘密会談が予定されていたようですが、21日に北朝鮮側から会談中止の連絡が入りました。この秘密会談は「北朝鮮が核放棄しないと、リスクがそこまできている」ことを言うための会談とわかって中止してきたとの見方がでていました。しかし、ここにきて北朝鮮側の代表は米国と話し合う準備はできていると言い出しました。米国と北朝鮮は、結果的には話し合うというのが大方の見方のようですが、ある専門家は戦争の確率70%という人もいます。

 平昌五輪も閉会しましたので、北朝鮮問題はこれからの大きな地政学的リスクとして考えておいたほうがいいかもしれません。(日本人は万が一の場合ということを考える習慣のない国民ですが、東日本大震災では万が一のことが起こりました)

 26日(月)は、先週末の米国株高とシカゴ日経先物の2万2,000円台乗せを好感し、+241円の2万2,134円で寄り付き、日経先物にまとまった買いが入って、一時+333円の2万2,226円まで上昇し、前引けは+179円の2万2,072円でした。後場は持ち直しの動きとなり、海外勢の225先物のヘッジ売りを買い戻す動きから前場の高値近辺まで戻しましたが、さらに上昇するには商いが低調で出来高の増加が必要といえます。

(指標)日経平均

先週の予測

 NYダウがもみあい、為替が円高水準のままであれば、日経平均は上値の重たい展開となって2万1,000~2万2,000円のレンジの中でのもみあいになるとしました。しかし、19日(月)は米国市場が休場のため外国人の売り注文が減少した中で、株価先物主導で+428円の2万2,149円となりました。しかし、翌日は大幅反落となり▲224円の2万1,925円とすぐに2万2,000円を割り込み、その後は2万1,626円まで下がり、結果、週の終値は2万1,892円で引けました。

今週の予測

 FRBのパウエル議長の議会証言が注目となります。経済指標の発表もあり結果によっては、長期金利が大きく上昇し株価下落要因、日経平均も連動することになります。海外投資家の売り越しがどこで止まるのか見極める必要があり、出来高増に転換しないと戻りを試すのは厳しい状況となります。

 

(指標)NYダウ

先週の予測

 長期金利の上昇からのVIXショックとなって株価が乱高下しましたが、いったん落ち着いてきています。しかし、警戒心はまだ残っており、トランプ政権のロシア疑惑があることから、相場の方向性は定まらず、もみあいになるとしました。

結果

 連休明けの2月20日(火)は、ウォルマートの決算を嫌気し、利益確定売り優勢に。一時▲335ドルの2万4,884ドルまで下落、▲254ドルの2万4,964ドルと3指標そろって下落しました。
翌日の2月21日(水)もFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録公表を受け、長期金利が一時2.96%となったことで、公表までは+303ドルまで上昇していたNYダウは、一転。▲166ドルの2万4,797ドルで引けました。2月22日(木)は、経済指標が予想を上回ったことでNYダウは+164ドルの2万4,962ドルと3日ぶりに反発しました。

今週の予測

 経済指標の発表の結果により長期金利が上下動し、株価も連動することになります。ただし、今のところVIX指数が落ち着いているので、それほど大きな上下動はないかもしれません。

 この状況で、今週は小売り各社の11~1月の決算が多数予定されており、年末商戦が活発で、さらに減税効果を受けるので追い風になると思われます。小売株が上昇しても長期金利が上昇するようだと全体の株価にとっては上値の重い展開となります。もし下落する場合、引線の終値で2万4,777ドル以下で引けると再び売り転換の形となります。

 

(指標)ドル/円

先週の予測

 円安材料としては、3月利上げ観測が高まれば日米金利差からの円安、一方でユーロが買われるとドル安を受けて円高となり、強弱感が対立1ドル=105.5~107.5円の中でのもみあいとしました。

結果

 前週末に105.55円までの円高となりましたが、先週はドルの安値は106.10円、高値は107.78円で週の終値は106.85円でした。方向感のない展開が続いています。
 今週は、2月27日のパウエル議長の議会証言が注目となります。トランプ政権の税制改革を受けて景気が拡大しているような内容となれば、年3回の利上げが年4回以上を見込む動きとなり、長期金利は上昇が続くことになります。長期金利が上昇してもトランプ政権による貿易是正問題があり、円安のトレンドにはならない状況といえます。106~108円が基本レンジ。

 

(出島 昇)

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