「リップル」が経済インフラを根底からくつがえす?
トウシル / 2018年3月1日 15時42分
「リップル」が経済インフラを根底からくつがえす?
銀行や通貨システムの効率化のため生み出された仮想通貨
リップルは米国の「Ripple(リップル)」という会社が発行している仮想通貨です。2018年2月現在、ビットコイン、イーサリアムに次ぐ第3位の4兆を超える時価総額を誇ります(※データはCoinmarketcapより)。
リップルは、「グローバルな経済ネットワークを構築し確実且つ速やかに低コストで国際送金を行う」という明確な目的のために開発されました。また、このシステムそのものを「リップル」と言い、このリップルの送金システムの中で利用される「XRP」が、リップルの通貨単位です。
特徴は「中央集権型」の仮想通貨であること
リップルは1,000億XRPという発行上限があり、この全量をすでに発行しています。発行はリップル社が行っており、管理もすべてリップル社が行っています。
また、リップルが決済処理認証に採用しているのが「プルーフ・オブ・コンセンサス(Proof of Consensus)」と呼ばれる方法です。ビットコインのプルーフ・オブ・ワークは、不特定多数の参加者で行われていますが、リップルの処理の検証・認証は、リップル社が選んだ「バリデーター」と呼ばれる企業や団体や人々が行っています。
システムそのものは分散型台帳を利用していますが、その管理はリップル社のみが行っているため、リップルは「中央集権型仮想通貨」と呼ぶ人もいます。
驚くべき送金・処理スピード
リップルの特徴であり最大の魅力がそのスピードです。他の通貨と比べてみると、リップルでの送金は4秒で完了しますが、イーサリアムは2分超、ビットコインは現時点では10分超かかります。また、1秒当たりの処理件数は、リップルが約1,500件、イーサリアムが約15件、ビットコインは約5件前後です。
コストの安さも特筆すべきことのひとつで、たとえば海外送金を例にとると、銀行などでは数千円かかりますが、リップルだと500円程度で送金可能です。金額によっては数十円、数円で済む場合もあります。
仲介通貨としてブリッジの役割を果たしている
リップルは「仲介通貨」として通貨と通貨の橋渡しの役割も果たしています。たとえば、日本から米国へ送金を行う際、リップルを利用すると……
円→リップル→米ドル
円→リップル→ビットコイン
など、送金者は送金先の通貨にとらわれなくてもよく、受領者は都合のよい通貨で受け取ることができます。
また、リップルのシステム内では、XRPを円、米ドル、ユーロといった法定通貨に換えることも、ビットコインやイーサリアムなどの他の仮想通貨への交換も可能です。
今後の展望
リップルを一躍有名にしたのがGoogle社の資本出資のニュースでした。これは象徴的な出来事で、その後も世界中の企業がリップルと提携を始めています。
2017年10月にはマイクロソフト会長ビル・ゲイツの慈善基金団体が、リップルの技術を利用し開発された、発展途上国の貧しい人々でも使用できる決済プラットフォームを公開、11月には米国の大手クレジットカード会社アメリカンエキスプレスがリップルの送金システム「RippleNet」に参加しました。
日本では、三菱UFJ銀行が2018年から「RippleNet」を利用した国際送金を開始すると発表し、メガバンクや地方銀行など併せて56の銀行が参加する「内外為替一元化コンソーシアム(リップルを使った送金サービスを検討する会議)」の立ち上げも行われるなど、リップルに対する追い風が吹いているようです。
今後もリップルと銀行や企業との間で行われる送金システム開発が順調に進んでいけば、リップルは経済インフラを支える重要な存在としてその主役に躍り出る可能性もあり、価値の高まりに期待が集まっています。
(フィスコ)
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