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成功と失敗、もう1つ投資初心者が経験すべきは?

トウシル / 2018年3月8日 7時40分

成功と失敗、もう1つ投資初心者が経験すべきは?

成功と失敗、もう1つ投資初心者が経験すべきは?

 株価が急上昇ののち、急落しており、投資初心者ほど焦っているかもしれません。実は今、投資初心者が成長するために欠かせない「3つの試練」に直面しているのかもしれません。

 

投資初心者にはじめての試練が今訪れている

 投資初心者にとって、日経平均株価でいえば1,000円以上の下落が起きるということはちょっとした試練です。焦って狼狽(ろうばい)売りをしてしまったり、そこからの再投資にためらいが生じてしまいます。

 少し下がれば恐怖でためらいが生じますし、少し上がればここが買うべきタイミングかどうか躊躇するようになります。今までであればとりあえず買ってみることができたのに、なぜか勢いで買えなくなっている自分に気がつきます。

 ビギナーズラックの運用パフォーマンスが、初心者ゆえの勢いによってもたらされたものだとしたら、市場の下げを知ったうえでつきあっていくことが脱初心者として必要なステップということになります。実は「初めての下げ相場」は投資初心者が投資を続けていくことができるか、試されるステップでもあるわけです。

 投資初心者が今学ぶべき3つの試練を考えてみます。

 

試練1 小さく成功する(儲ける)こと

 投資初心者にとって、絶対に欠かせないのは「うまく儲ける成功体験」です。これはやはり投資を続けていくモチベーションになりますから、どうしても欲しいものです。少額でいいので何回か購入をし、利益確定をすることが大きな財産になります。

 この一年間に関しては「早く売りすぎた」という後悔はあったかもしれませんが、利益を得ることをほとんどの個人投資家は成功しているのではないでしょうか。その意味では「試練1」についてはクリア済み、という方が多いかもしれません。

 しかしもし、あなたがこのコラムを市場が冷え込んでいるときに読んだとしたら、ぜひ数百円でもいいので、利益確定する経験を得てください。それがきっと、あなたのこれから数十年に及び投資家期間の一歩になるからです。

 

試練2 小さく失敗する(損)こと

 次の試練は「損失経験」です。投資家として成長していくにあたって、損失経験ゼロということはまずありません。むしろ失敗した投資経験のほうが投資家を大きく成長させてくれます。

 もちろん、大きな損失を被り、借金を抱え込むような経験をしろといっているわけではありません。5~10%程度のマイナスでも経験としては十分です。

 一度、マイナスになった投資について売却をしてみましょう。そして、損失が生じた理由を考えてみましょう。利益が出たとき、私たちはその理由を冷静に分析することができません。なんでも自分の手柄と考えてしまうからです。

 失敗したときも全部他人のせいにするのではなく、自分の判断ミスはなかったか、欲にそそのかれて手を出してしまってないか、自分のトレードを振り返ることで投資家として一歩成長することになるのです。

 もちろん、市場が下がっているから、としか理由を求められないこともあるでしょう。しかし、そうした判断に至る検証の過程が重要です(そして市場全体が下がっているときは、企業業績が良かろうと株価が下がることはある)。

 むしろ損失経験があるまではどんなに儲けたとしてもあなたはまだ初心者だと考えてみてください。本当の相場の怖さを知らないということだからです。

 

試練3 損をして売らずに乗り切ること

 最後の試練は少し時間を必要とします。それは「含み損を一度抱えたが、株価や基準価額の回復を待ち、含み損を解消する」という試練です。

 売らないでいれば、どんな損失も損失としては「確定」していません。だからこそマイナスで売却することを損失確定というわけですが、その下落が短期的なものであり、本質的に考えて経済の成長がもう一度その下落を上回ると思えるのであれば、そのまま売却せずに保有し回復を待つことも投資の選択肢です。

 あなたがもし、以下の条件に当てはまらないのであれば、3つ目の試練を乗り越えてみてはどうでしょうか。

【3つ目の試練を受けてはいけない人】

  • 投資を瞬間でのみ考えている人
  • 個別銘柄のみで投資をしている人
  • 保有資金に占める投資割合が高すぎる人
  • レバレッジをかけている人(信用取引)
  • もう年金生活者の人

 こうした人は、市場の回復を待つ「時間の余裕」を持たない人ですから、損失確定してしまうことも考えられます。しかし以下の条件に当てはまるひとはぜひ「第3の試練」をクリアしてみてほしいと思います。

【3つめの試練を達成してほしい人】

  • 投資経験がまだ数年の人
  • 積立投資を行っている人
  • まだ若い人(といってもアラフィフまではセーフ)
  • 投資信託やETFをベースに投資をしている人
  • NISAやつみたてNISA、iDeCoを活用している人
  • 仕事が忙しい人(投資が専業ではない人)

 こうした人は「時間を味方にする投資」を行うべきであり、短期的な損失確定を回避することのほうがメリットがあるはずです。そして第3の試練をクリアすると、おそらくレベルアップの音が鳴り響き、投資家としてレベルがひとつ上のステージにたどりつけるはずです。

 

人はむしろ成功より失敗から成長できる

 一般論として、成功から得られるのは達成感にともなうモチベーションでしかありませんが、失敗から得られるもののほうが大きいと思います。それは「経験値」です。失敗の経験があることで同じ失敗を繰り返さないための方法を知ることができますし、失敗をはねのけた経験をすることでさらに強くなれます。

 子どもは転んだ経験があるから、繰り返し自転車で転んで痛い思いをしないように努力します。痛い経験をしたくないと思っている限り、経験はゼロのままになってしまいます。またビギナーズラックだけで勝ち進んでいけるほど世の中は甘くありません。

 今のようにマーケットが短期的に下落し、しかもそれがまだ現状の程度であるなら、これは経験を得るよいチャンスだと考えてみてください。

「3つの試練」は、きっとあなたを投資家として次のステージへ導いてくれることでしょう。

(山崎 俊輔)

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