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要注意!みんなが見落とすNISA株の売り時

トウシル / 2018年7月20日 7時0分

要注意!みんなが見落とすNISA株の売り時

要注意!みんなが見落とすNISA株の売り時

 投資してから5年間は売却益や配当金が非課税になる「NISA」。でも、税優遇を意識しすぎて投資戦略を変えてしまっていませんか?

最近は税優遇の制度が充実しつつある

 皆さんは、「NISA(ニーサ)」をご存知でしょうか。これは、年間120万円までの投資枠につき、その後5年間の売却益や配当金にかかる税金が非課税となる制度です。

 また今年からは、「つみたてNISA」が始まっていて、こちらは非課税枠こそ年間40万円ですが、最長20年間非課税となるので、最大で800万円まで税優遇の効果を享受することができます。
 さらに、昨年は個人型確定拠出年金の対象が拡大し、「iDeCo(イデコ)」という愛称とともに、一気に知名度や制度利用が進んでいます。

 このように、最近は、株式投資や資産運用について、税制面での優遇を受けることができる制度が充実してきています。

 本コラムをご覧いただいている方は、個別株への投資をされていることが多いと思います。「つみたてNISA」や「iDeCo」は個別株への投資はできませんので、今回のコラムでは「NISA」を前提にお話を進めていきます。

「NISA」でどのくらい税金がオトクになるのか?

たとえば、今年100万円で上場株式を買い、毎年2万円の配当金を受け取り、5年後に300万円で売却したとすると、NISAを使った場合と使わない場合とで税金に次のような差が生じます。
(配当金は株式数比例配分方式、かつ申告不要を選択することとします)

・NISAを使った場合の税金
 配当金:非課税
 売却益:非課税

・NISAを使わなかった場合の税金
 配当金:2万0,000円×20.315%×5回=2万315円
 売却益:300万円-100万円×20.315%=40万6,300円

 このように、NISAを使わなければ42万6,615円の税金を払わないといけないところ、NISAを使えばゼロになるのです。

メリットだけではない!NISAのデメリットとは

 これだけ見ると、「どう考えてもNISAを使うべき」と思われるはずです。でも、実はNISAにはデメリットもあるのです。それは「売却損が生じても損益通算ができず、切り捨てになってしまう」ということです。

100万円で買った株を50万円で売ったケースを考えてみましょう。
・NISA以外の口座で買った場合
他の銘柄で利益が出ていればそれと相殺ができますので、最大で100万円-50万円×20.315%=101,575円の税金減少効果があります。

・NISAで買った株を売って損失が生じた場合
NISA以外の銘柄の利益と相殺することができず、損失が切り捨てになってしまいます。

NISA口座で買ったがために売るべきタイミングで売れない?

 筆者は、NISAは「何年もの間、買った株をずっと持ち続ける」という前提、そして「何年もの間ずっと持ち続けていれば、買った値段より株価が上がる可能性が高いだろう」という前提のもと作られている制度だと思っています。
 でも実際には、何年持ち続けても株価が上昇するどころか大きく下落する銘柄も少なくありません。

 そして、「損失の状態で売っても他の株の利益と相殺できない」、「もし持ち続けて株価が上昇すれば、利益は非課税となる」という点を意識しすぎて適切なタイミングで売却・損切りしないことにより、損失がさらに膨らんでしまうというリスクをはらんでいるのです。

 たとえば、筆者が用いているルールである、「保有株の株価が25日移動平均線を割り込んだら売却する」という前提で考えてみましょう。
 普段はこのルール通りに売却できているとしても、NISA口座で買った株については、25日移動平均線を割り込んでも「そのまま持ち続けよう」という意識が働く恐れがあります。
 NISA口座で買った株を売却してしまえば税優遇のメリットがなくなってしまうからです。

 ここでよく考えていただきたいことがあります。
同じA社株式を、NISA口座以外で買ったならば25日移動平均線を割り込んだら売却できるが、NISA口座で買ったら税優遇のメリットを失うことを恐れて25日移動平均線を割り込んでも売却しない・・・
 この行動は、非常に矛盾していると思いませんか?

 同じA社株式を売買しているのだから、NISA口座で買おうが、NISA口座以外で買おうが、売却のタイミングは同じにならなければおかしいはずです。
 それなのに、NISAの持つ税優遇により、投資戦略がゆがめられてしまっているのです。これこそが、NISA口座で買った株について大いに気を付けるべき点だと筆者は思っています。

「長期的に保有できる銘柄へ投資しましょう」のアドバイスは正しいのか?

 FP(ファイナンシャルプランナー)の方や専門家・評論家の方は、「NISAは長期的に保有することができるような銘柄へ投資しましょう」とよく口にします。NISAは長期保有が前提なので、長期保有することで恩恵を受けられる銘柄を選ぶことが求められているからです。

 これを聞くと、一瞬「なるほど」と思ってしまうかもしれませんが、そもそも長期的に保有することができるような銘柄を、私たち個人投資家が正確に見分けることができるのでしょうか?

 一般的には、将来の高い成長が見込まれる好業績銘柄や、高配当を受け取れる銘柄ということになるかと思います。
 でも、実際は高成長を見込んでいたつもりが業績が伸び悩んで株価が急落したり、配当金が減額されて株価も大きく下がったり・・・ということがよく起こります。
 こうした銘柄を何年も保有し続けた結果、利益どころか多額の含み損を抱えてしまう、というケースも大いに想定しなければならないのです。

 では、筆者はNISAを活用していないのかといえば、そんなことはありません。毎年NISAの非課税枠いっぱいを使って個別銘柄やETF(上場投資信託)などに投資しています。
 ただ、筆者は投資する銘柄の選び方や、投資した後の対応にひと工夫しています。その内容については、次回のコラムにてお話します。

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