ドル/円、焦点は貿易戦争と米長期金利の3%超え
トウシル / 2018年3月22日 17時0分
ドル/円、焦点は貿易戦争と米長期金利の3%超え
FOMCは消化不良、焦点は長期金利の3%超え
FOMC(米公開市場委員会)は0.25%の利上げを発表した。これは織り込み済みである。注目されたドット・プロットの2018年の金利見通しは、年内の利上げ回数については3回(あと2回)との従来予想を据え置いた。ただし、2019年と2020年の金利見通しは上方修正している。
トランプの貿易問題や減税政策から、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の会見がタカ派になるのではないかとの見方があったが、「貿易問題が見通しにリスクを与えている。減税が経済に与える影響は極めて不確実」という発言から、マーケットはドル売りの反応を見せた。
ドル/円(5分足) FOMC後の動き
ユーロ/ドル(5分足) FOMC後の動き
NYダウ(5分足) FOMC後の動き
FOMCは消化不良ながら、とりあえずイベントを通過したという感じだ。問題はトランプである。トランプが米国の景気拡大というサイクルの末期になって、減税やインフラ投資などの財政政策によって景気を過熱させているため、FRBとしても景気過熱を抑えるために利上げのペースを速めざるをえなくなるのは必然だろう。
パウエルFRB議長は3年分の利上げの遅れをキャッチアップするために着々と利上げを進めるだろう。今のバブル末期的なゴルディロックス環境では、FRBの利上げ後ずれを市場は歓迎するかもしれない。だが、FRBが利上げを見送れば景気後退への先行き不安が増幅し、ドルも売られることになる。そして、ドル安はコモディティ高をうながし、インフレ懸念を増幅しかねない。今年、利上げの後ずれでバブルが延命した場合は、来年の相場が地獄になるだろう。
この過剰流動性相場の終わりのシグナルはインフレだ。政策金利が上がるだけでは、株価は暴落しない。株価が暴落するのはインフレになったときである。インフレになれば、中央銀行は利下げも追加緩和もできないからだ。
運用者が現在の相場で最も注目しているのは米国の長期金利(10年国債金利)で、大雑把に言えば株価も金利次第だろう。金利上昇とドル安という「危険なカクテル」について投資家は判断を誤るべきではないと警告しているジェフリー・ガンドラックは、「10年国債金利の3%超えや超長期金利(30年国債金利)の3.2%超えが次の株式市場の波乱局面になる」とみているようだ。逆に言えば、現状の長期金利が横ばいで推移している状況では、株式市場の波乱も限定的だろう。
米10年国債金利(日足)
米30年国債金利(日足)
ドルインデックス先物(日足) ドル安はインフレ要因
トランプは22日に中国からの輸入品に対する関税措置を発表する予定となっている。「中国による米国技術の窃盗を阻止することが狙い」とホワイトハウスからコメントが出ているが、中国も黙っていないだろう。ここからのマーケットテーマは、「貿易戦争」に移りそうだ。
標準偏差ボラティリティトレードモデルを大幅に改良しバージョンアップ
今週、筆者はMT4用に作成した標準偏差ボラティリティトレードモデルを、大幅に改良しバージョンアップした。いままでのモデルは、強いトレンドが発生したときだけシグナルを点灯させていたが、改良モデルでは、売買ポイントに傾斜したシグナルを発生させている。
<旧バージョン>
豪ドル/ドル(日足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル
<新バージョン>
豪ドル/ドル(日足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル
<旧バージョン>
ドル/円(日足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル
<新バージョン>
ドル/円(日足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル
新しい標準偏差ボラティリティトレードモデルには、売買シグナルが搭載されており、5分足でも30分足でも1時間足でも4時間足でも日足でもチャートを立ち上げておけば、売買シグナル(アラート:画面表示と音)が出るようになっている。具体的には、サブウインドウの赤(買いトレンド)および黄(売りトレンド)のシグナルが点灯したら、Trade Zoneというアラートを、トレンドが消滅したら、No Trade Zoneというアラートを表示させている。これによって、どの通貨ペアでトレンドが発生したか、あるいは消滅したかがチャートを見ていなくてもこのアラート機能でわかるという便利な機能である。
トレンドの発生と消滅を知らせてくれるMT4のポップアップウィンドウ
「相場をどう認識するか?」という手段の1つとして、現在ではテクニカル分析の手法を理解することは不可欠だろう。標準偏差ボラティリティトレードは、すべての市場と時間枠(タイムフレーム)に拡張が可能である。また、日足と週足の標準偏差ボラティリティのピークアウトときは、オプション(ボラティリティ)の売りにも威力を発揮する。
筆者は30年近く相場の世界に身を置いているが、システマティックなアプローチと損切りを使わないと、相場で長期的に利益を上げることは難しいと思っている。1980年代後半以降、アルゴリズムトレードの進化をずっと見てきた。ARIMA予測モデル、遺伝的アルゴリズム、人工知能運用など、CPUの進化でアルゴリズムトレードは2000年以降爆発的な進化を遂げきた。今や、トレードの世界は物理学者や数学者が主導するアルゴリズム売買が主流である。
この世に絶対に儲かるシステムなど存在しない。しかし、標準偏差ボラティリティトレードは、相場で保合(もちあい)ゾーンとトレンドゾーンを識別するツールにはなるだろう。今のところ標準偏差ボラティリティトレードは、市場や取引タイムフレームの選択を考えると、筆者の<自由裁量>でトレードしているほうが、自動発注モデルよりパフォーマンスが優れている。筆者に残された課題は、この標準偏差ボラティリティトレードを、コンピューターによる完全な自動発注モデルにすることである。
ユーロ/ドル(日足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル
ポンド/ドル(日足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル
NY原油CFD(日足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル
NYダウCFD(日足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル
日経平均CFD(日足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル
(石原 順)
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