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米中摩擦だけではない、複合ショックが招いた株安「第3波」。次の一手は?

トウシル / 2018年3月26日 7時36分

米中摩擦だけではない、複合ショックが招いた株安「第3波」。次の一手は?

米中摩擦だけではない、複合ショックが招いた株安「第3波」。次の一手は?

下落「第3波」に飲み込まれた日経平均

 先週は、世界的な株安「第3波」に見舞われ、日経平均株価も急落しました。1週間で1,058円(4.9%)下がり、2万617円となりました。2月の株安「第1波」、3月初頭の「第2波」で、下値のメドとして意識されていた2万1,000円を、あっさり割り込みました。

<日経平均日足:2017年11月1日~2018年3月23日>

 

<参考>下落「第1波」「第2波」「第3波」

 下落第1波は、2月2日発表の1月の米雇用統計がきっかけとなりました。平均賃金上昇率が高く、米利上げが加速する懸念が生じ、NYダウや日経平均の急落を引き起こしました。下落第2波は、3月1日に、トランプ米大統領が、鉄鋼とアルミニウムに輸入関税を課す方針を表明したことから、起こりました。米中貿易摩擦が起こる懸念を生じ、NYダウ・日経平均が再び急落しました。第3波は、3月22日、トランプ大統領が、600億ドル(約6兆3,000億円)相当の中国製品に高関税を課す対中制裁を決定し、米中貿易摩擦が激化する懸念から、NYダウ・日経平均が急落したものです。

 

NYダウ急落、堅調だったナスダックも崩れる

 NYダウも、米中貿易戦争の懸念で急落しました。「三角もちあい」を下に放れ、テクニカル分析で、弱い形です。

<NYダウ日足:2017年11月1日~2018年3月23日>

 

 下落第1波、第2波のあと、戻りがはやく、3月中旬に一時、高値を更新していた米ナスダック株価指数も、崩れました。

<米ナスダック株価指数日足:2017年11月1日~2018年3月23日>

 

 米ナスダックの戻りがはやかったのは、フェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、アルファベット(グーグルの持株会社)など、世界を支配するIT大手企業の構成比が高いからです。

 下落「第1波」「第2波」の後、米国株の戻りを牽引したのは、これらIT大手でした。金利上昇、貿易摩擦などの影響を受けずに、高収益を稼ぎ続けると見られIT大手は買いが集まって上昇が続き、米ナスダック指数が一時高値を更新する原動力となりました。

 ところが、先週、フェイスブック・ショック【注】が起こり、フェイスブック株が、13%も、下がりました。フェイスブック・ショックのあおりを受けて、米IT大手各社の下落率が高くなり、ナスダックの下げも大きくなりました。

 

【注】フェイスブック・ショック

 3月16日、「フェイスブックの利用者5,000万人のデータを、英コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカが不正に取得し、2016年の米大統領選でトランプ陣営に有利に働くように活用した」と報道があってから、米国でフェイスブックへの批判が高まっています。CEOのザッカーバーグ氏は、当初、フェイスブックに責任はないとの立場をとっていました。ところが、利用者に「フェイスブックのアプリを消そう」という運動が拡大し、フェイスブックへの広告出稿を見合わせる企業が増えると、21日にはようやく謝罪を表明しました。

 かねてより米国や英国の議会では、フェイスブックやグ-グルなど、大量の個人データを活用して高収益をあげているIT企業の、情報管理の甘さに、強い批判がありました。今回の問題を受けて、批判が先鋭化しました。

 

さまざまな悪材料が重なり、「複合ショック」に

 日経平均急落「第3波」の、直接のきっかけとなったのは、トランプ大統領が中国製品に高関税を課す制裁を決定したことです。ただし、それだけが原因ではありません。他にも、さまざまな悪材料が重なった「複合ショック」となりました。

 特に影響が大きかったのは、以下の5つと考えています。

  1. トランプ大統領が中国製品600億ドルに高関税を課すことを決定、中国も報復措置を検討と表明
  2. フェイスブック・ショック、米IT大手にも逆風
  3. 円高(1ドル105円だと、日本の来期(2019年3月期)企業業績に急ブレーキ)
  4. 米利上げが続くことへの不安(3月21日に利上げ、さらに年内2回の利上げが予想されている)
  5. 日米の政治不安

 先週は、米中の株価指数よりも、日経平均の下落率(4.9%)の方が高くなりました。円高が止まらないことが、日経平均の下げを大きくしています。

 トランプ大統領は、安倍首相も名指しした上で、「各国の首脳は米国をいいように利用してきたが、それはもう終わりだ」と述べました。トランプ政権の批判対象に日本も加えられたことで円高が進み、日経平均がさらに売られる材料となりました。

 3月23日に、米国は、鉄鋼・アルミニウムの輸入制限を発動しました。カナダ・メキシコ・EU(欧州連合)・韓国などが、当面適用除外となったのに対し、中国と日本には適用されました。

 

短期的にはさらなる下値も。ただし、長期投資で買い場と考える

 今週の日経平均は、下値模索が続く見込みです。短期的な下値リスクは簡単には払拭されませんが、この下落局面は、長期投資の観点から「買い場」になると考えています。余裕資金がある方は、積極的に買ってよいと考えています。

 世界景気や円高の影響を受けにくい、内需ディフェンシブ株から買い始めたらよいと思います。

 

 

▼著者おすすめのバックナンバー

2018年3月19日:下落「第3波」ある?日米政治不安と円高を警戒
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(窪田 真之)

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