今週は、米中貿易摩擦がさらに強まれば、日経平均は2万円の攻防も
トウシル / 2018年3月27日 15時0分
今週は、米中貿易摩擦がさらに強まれば、日経平均は2万円の攻防も
米中貿易摩擦の懸念が高まり、週末は今年2番目の下げで▲974円の2万617円
先週の予測
引き続き日本と米国の政治的混乱がマイナス材料となり、不安定な相場展開を想定しました。特に日本では森友学園問題、米国ではティラーソン国務長官やマクマスター大統領補佐官の後任に保守強硬派の人物が選任され、米国第一主義をもとに、貿易摩擦懸念や北朝鮮の地政学的リスクの懸念もでてきました。
結果
FOMC(米連邦公開市場委員会)は想定通りの利上げと年3回の利上げ見通しは変わらなかったものの、トランプ大統領が大統領令で中国製品への関税を指示し、これに対して中国も報復関税への対応をしたことで貿易摩擦懸念が深まり、米国株式が大幅安となり世界的株安の動きとなりました。1ドル=104円台への円高もあり、日経平均株価は、週末の23日(金)は一時▲1,032円の2万559円まで下げて、終値は▲974円の2万617円と今年2番目の下げ幅となりました。
3月19日(月)は、森友学園問題で安倍内閣の支持率が各メディアの世論調査で明らかとなり、支持率31%(共同通信)は安倍政権の先行き不透明感から、一時▲309円の2万1,366円まで下落し、終値は▲195円の2万1,480円となりました。売買代金は今年最低を記録しています。支持率は大きく下げたものの野党が支持率を上げているわけでもなく影響は限定的といえます。 20日(火)は、前日の米国市場でフェイスブックから約5,000万人分の個人データ流出に絡んで、フェイスブックが大幅安となりました。
さらに、貿易摩擦懸念もあり米国株式は大幅安に。これを受けて日経平均もハイテク株中心に売られ、一時▲256円の2万1,223円まで下げて、大引けは▲99円の2万1,380円で引けました。 21日(水)は文化の日で休場でした。 22日(木)は、売り先行で始まるものの先物に買い戻しとみられる買いが入ったのをきっかけにプラスに転換。後場はETF(上場投資信託)買い観測もあって+211円の2万1,591円で引けました。
この日の引け後の米国市場では、トランプ大統領が知的財産侵害権で中国に600億ドルの報復関税を課す大統領令に署名したことで、中国との貿易摩擦懸念が高まり、NYダウは▲724ドルの2万3,957ドルと2月8日以来の大幅安となり、為替も1ドル=105円台前半の円高進行となりました。
これを受けて23日(金)の日経平均は、▲403円の2万1,188円で寄り付いたあと、下げ幅を拡大し、後場には為替が一時104円60銭台の円高となったこともあり、▲1,032円の2万559円まで下落しました。その後は戻り弱く大引けにかけても安値圏で推移し、終値は▲974円の2万617円と昨年の10月3日(2万614円)以来の2万1,000円割れとなりました。
23日(金)の米国市場は、前日のトランプ大統領の600億ドルの制裁関税に対して、中国は米国豚肉やワインに報復関税を課すと公表したことで、米中貿易摩擦は深まりNYダウは▲424ドルの2万3,533ドルと大幅反落。2日間で1,149ドルの下落となりました。 シカゴ日経平均先物は▲180円の2万170円となって2万円の大台をうかがう展開となってきました。
今週は、米中貿易摩擦がさらに強まれば、日経平均2万円の攻防も
今週の予測
前週に引き続き米中貿易摩擦の激化の懸念と米国の保護主義への傾斜からのドル売りによる円高の流れと国内では27日の佐川前国税庁長官の証人喚問などがあり、2万円台を維持できるかどうか注目といえます。米中の通商政策が焦点となり、中国が対抗処置を一段と強め、米中双方の緊張が高まれば貿易摩擦を警戒して世界的な株安が継続することになります。
チャートをみると、2月7日の2万2,353円を戻り高値に、2月14日の2万950円、3月5日の2万937円とダブル底のような2点底となっており、ここを先週の23日(金)に▲974円の2万617円と一気に切って下放れとなりました。 早急に戻らなければ2万1,000円は当面の上値のフシとなってしまします。また、日足でみると、2万2,353円をピークとする右肩下がりの直角三角形を形成中で、23日(金)の急落がなければ来週ぐらいに直角三角形の下放れの可能性が高いとこでした。この状況であれば悪材料の程度によりますが、いったん2万円を切って下値を試したあと、2万0,000円~2万1,000円のボックスとなるのか、それともこのまま2万0,000~2万1,000円のボックスに入るのか見極めるところとなります。
ただし、2万円を切ると買い場と考えますが、切らない場合を考えて2万円接近のところでは買っていくところです。年数回の大きな調整を待って買うことが、著者の投資スタンスでしたが、久しぶりにそのような状況になってきています。
3月26日は、前場は先週末の米株安、円高を受けて売り先行となり、一時、先物の売りを交えて▲270円の2万347円まで下落し、その後は下げ渋って前引けは▲81円の2万536円でした。後場になると円高一服や時間外での米株価先物が堅調だったのに加え、日銀のETF買い観測も支えとなり、持ち直し大引けにかけて次第高となり、+148円の2万766円の高値引けとなりました。別に新しい材料が出たわけでもなく、日本株だけが突出して下げていたので、その反動と思われます。米中貿易摩擦は不透明のままですので戻りは限定的となります。
(指標)日経平均株価
今週の予測
森友学園が相場を不安定にさせる可能性高く、海外の投資家も売り越しが続いており上値は期待できず、2万1,000~2万2,000円のレンジ内での動きが続くと想定しました。
結果
3月21日(水)の春分の日を挟んで日経平均は2万1,223~2万1,592円と2万1,000~2万2,000円の半値以下のもみあいとなりました。しかし、週末の23日(金)は、前日の米国株式が米中貿易摩擦の懸念から大幅安に。為替も一時1ドル=104円台の円高となり、日経平均は一時▲1,032円の2万559円、終値では▲974円の2万617円と今年2番目の下げ幅となりました。チャートでは、ザラ場で2月14日の2万950円、3月5日の2万937円とダブル底のような形となって、そこを切ったので下放れとなりました。
今週の予測
先週に引き続き米中貿易摩擦の激化への懸念と為替の円高の動きがどこまであるのか、さぐる展開から2万円台を維持できるかどうか注目となります。国内の政治混乱は、27日の佐川前国税庁長官の証人喚問に一段落つけば相場は3月期末をむかえ需給面からは一服すると考えています。
(指標)NYダウ
先週の予測
経済指標は良好なもののトランプ政権の保護主義への方向が強いため、中国やEU(欧州連合)との貿易摩擦が深まっていく懸念があるとしました。当面は2万4,600~2万5,700ドルのレンジを中心とした動きを想定しました。
結果
想定通り、米中貿易摩擦が深まり、週半ばまでは2万4,453ドルを安値に2万4,977ドルのもみあいとなりましたが、3月22日(木)は中国の報復懸念で▲724ドルの2万3,957ドルと全面安、さらに3月23日(金)、中国は米国豚肉やワインに追加関税を課したことで▲424ドルの2万3,533ドルと2日間で1,149ドルの下落となりました。
今週の予測
トランプ政権の通商政策とそれを受けた各国の反応を注視しながらの相場の動きとなります。特に中国との貿易摩擦が深まりをみせています。また、トランプ政権の閣僚メンバーに保守強硬派が任命されており、米朝首脳会談がスムーズにいかなければ地政学的リスクが高まり、先行き不透明となってきます。目先は下値をさぐる展開が想定されます。
(指標)ドル/円
先週の予測
トランプ政権は、11月中間選挙に向けて保護主義を強調していることで、中国やEUから関税政策に対する批判や報復措置がでてくれば、ドル売り材料になるとしました。20~21日のFOMCで3月利上げは確定的なものの、その後の利上げの回数によってはドル買い要因になるとしました。
結果
FOMCでは政策金利は予想通りの0.25%の引き上げで、一時ドルは1ドル=106.64円まで買われるが、利上げ回数は年3回と変わらないことがわかると105円台前半まで売られました。23日、米中貿易摩擦の激化懸念で104.64円までドルが売られ、引けは104.80円でした。
今週の予測
米中の貿易摩擦の激化懸念からドル売りの流れへ。米国の鉄鋼、アルミへの追加関税はEUや韓国は対象からは外れたが、中国や日本には適用される。これはドル売り、円買い材料。トランプ政権の閣僚に保守強硬派が任命されており、北朝鮮問題も首脳会談がうまく行かなければ地政学的リスクへ。チャートの形としては当面は1ドル=100円を目指す動きへ。
(出島 昇)
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