日本株を売りまくる「外国人」、買い向かう国内投資家。勝つのはどっち?
トウシル / 2018年3月28日 7時19分
日本株を売りまくる「外国人」、買い向かう国内投資家。勝つのはどっち?
日本株を売りまくる外国人投資家
2018年に入ってから、日本株に、外国人投資家の大量売りが続いています。現物・先物合わせて、3月16日までに、4兆8,728億円も売り越しています。
外国人投資家の日本株(現物)および日経平均先物の売り越し額:2018年1月4日-3月16日
買っているのは、個人投資家・日本銀行・事業法人(自社株買い)など、国内投資家です。勝敗の行方はどうなるでしょうか?
外国人が買えば上がり、売れば下がる日本株
外国人は、買う時は上値を追って買い、売る時は下値を叩いて売る傾向があるので、短期的な日経平均の動きはほとんど外国人によって決まります。
以下のグラフを見れば明らかですが、外国人の売買に立ち向かう国内投資家は、短期的にはすべて失敗しています。2018年も、国内投資家がいくら買っても、外国人の強引な売りの前になすすべもなく、日経平均は急落しています。
日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2016年1月4日-2018年3月27日(外国人売買動向は3月16日まで)
2016年は年初から外国人の売りが増えて日経平均は急落しましたが、11月から外国人の買いが増えると日経平均は急騰しました。
2017年は、3月に外国人の売りで日経平均は下がりましたが、9月後半から、外国人が大量に買い越すと、日経平均は一気に高値を更新しました。ところが、2018年に入って、外国人が大量に売り越すと、日経平均は急落しました。
このように、市場を動かしている外国人に立ち向かう国内投資家は、短期的には常に負けています。ただし、より長期では、勝敗が逆転することもあります。外国人が安値を売ったところを国内投資家が買い、外国人が高値を買うところを国内投資家が売っていることも、あります。たとえば、2016年1-3月、日経平均が1万5,000円割れまで下がる局面で売ったのは外国人です。外国人の売りに立ち向かった国内投資家は、短期的には失敗しても、長期的にいいところで買ったことになっています。
それでは、2018年1-3月に日本株を売った外国人と、買った日本人の勝敗はどうなるでしょう?短期的には外国人の勝ちです。ただし、私は、長期投資の視点では、勝敗が逆転すると予想しています。長期投資の視点では、日本株は買い場と考えています。
ただし、悪材料が山積しており、簡単には、日経平均反転は見込めません。短期的には、もう一度、下値トライするリスクも残っていると思います。
外国人が「買い越し」に転じるときに、相場の流れが変わる
それでは、相場はいつ反転するでしょうか?いつか当てるのは至難のわざですが、需給で言うなら簡単なことです。外国人の売りが止まり、買い越しに転じるときに、相場は反転し、上昇に転じるでしょう。
外国人の売買動向をしっかり見ている必要があります。なかでも、動きの速いヘッジファンドの先物売買をしっかり見る必要があります。
私がファンドマネージャー時代に、日経平均先物のトレーディングをする上で、重視していた需給指標に、「裁定買い残(さいていかいざん)」があります。詳しい説明は割愛しますが、裁定買い残の変化に、外国人による投機的な先物買いの変化が表れます。
外国人が先物を買うと、日経平均が上昇し、裁定買い残が増加します。外国人が先物を売ると、日経平均が下落し、裁定買い残が減少します。
近年の日経平均および裁定買い残は、以下のように推移しています。
日経平均と裁定買い残高の推移:2007年1月4日-2018年3月27日(裁定買い残は3月16日まで)
裁定買い残は、アベノミクス開始後の2013-15年は3.5-4兆円まで増加すると、減少に転じていました。日経平均は、裁定買い残が増加している間、つまり外国人が先物を買っている間は上昇します。ところが、裁定残が減少に転じる、つまり外国人が先物売りに転じると、下落に転じます。
2013-15年は、裁定買い残が、3.5-4兆円まで増加したところで、日経平均先物を売れば、タイミングよく日経平均が下げに転じ、利益を得られる可能性が高かったと言えます。
2013-15年の部分を拡大したのが、以下の図です。
日経平均と裁定買い残高の推移:2013年1月4日-2016年1月8日
2018年1月に入ってすぐ裁定買い残は3兆4,266億円まで増えましたが、その後、減少に転じています。外国人の先物が売り越しに転じたからです。裁定買い残は3月12日には約1兆5,000億円まで減りました。
裁定買い残は、約1.5兆円まで減少。徐々に売り圧力は減ってくると予想
3月12日時点で、裁定買い残は、1兆5,340億円まで減少しています。裁定買い残が、かなり減ったので、ここからは、先物の売り圧力は徐々に減ってくると予想します。ただし、裁定買い残がどこまで減れば、ボトムアウトするかは、過去の経験則ではわかりません。わかることは、潜在的な売り圧力が減ってきていることだけです。
裁定買い残高がいくらまで膨らんだら、日経平均が天井をつけるかも、その時々によって変わります。過去には、裁定買い残高が6兆円まで膨らんだこともあります。裁定買い残高だけで相場の転換点を知ることはできません。裁定買い残高と、マーケットに出ている外国人の動きに関するさまざまな情報を合わせて、判断していく必要があります。
▼もっと読む!著者おすすめのバックナンバー
2018年2月14日:誰が買い、誰が売っているのか?日本株の需給分析
2016年4月13日:外国人の売買動向を知る方法
▼今日のマーケット・キーワード:再編が続く『造船業界』
(窪田 真之)
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