米中貿易問題、北朝鮮問題が落ち着けば底堅い動きに
トウシル / 2018年4月3日 14時35分
米中貿易問題、北朝鮮問題が落ち着けば底堅い動きに
先週は、米中貿易摩擦懸念の後退と金委員長の中国電撃訪問受け、買い戻し先行
先週の予測
米中貿易摩擦懸念がさらに深まり、米国の保護主義への傾斜からのドル売り・円買いの流れとなれば、日経平均株価の2万円攻防も想定されるとしました。
結果
米中貿易摩擦の激化懸念の後退、為替が円高一服から円安の動きとなり、さらに北朝鮮の金委員長の中国訪問で北朝鮮リスクも後退し、日経平均は目先反発となりました。週末には為替は1ドル=107円へ接近し、日経平均は+295円の2万1,454円となってチャートでは短期の買い転換のサインがでています。ただし、上値は限定的と思われます。
26日(月)は、前場は前週末の米中貿易摩擦の激化懸念から米国株式が大きく下落した流れを受け▲194円の2万423円で寄り付き▲270円の2万347円まで下落しました。後場になると、時間外での米株式先物が大きく上昇。為替も円高一服となり、さらに日銀のETF(上場投資信託)買い観測も支えとなり反発。+148円の2万766円と高値引けとなりました。
27日(火)は、前日の米国市場で中国が米国製半導体の輸入を増やす提案をしてきたことで、貿易摩擦懸念が後退。NYダウは+669ドルの2万4,202ドルの大幅反発となっていたことや日経平均は佐川前国税庁長官の証人喚問で政府の関与が否定されたことで一段落となり、+551円の2万1,317円の大幅続伸となりました。
28日(水)は、前日の米国市場でIT関連の主力株が軒並み下落。NYダウは▲344ドルとなり、これを受けて日経平均もIT関連株中心に売られ、一時▲590円下げ、終値は▲286円の2万1,031円と3日ぶりに反落しました。29日(木)は、北朝鮮の金委員長の電撃的な中国訪問を受け北朝鮮リスクが後退。
前場は200日移動平均線(27日時点で2万1,316円)に接近したあと、売り物に押されて前引けは+122円の2万1,153円に。後場になると一時▲35円とマイナスに転じましたが、下値では買いが入って切り返し+127円の2万1,159円と反発して引けました。
週末30日(金)は、前日の米国株式のハイテク株が軒並み高となってNYダウは+254ドルの2万4,103ドルと反発、さらに為替が1円以上の円安(1ドル106円台後半)になって戻ってきたことで、+233円の2万1,392円で寄り付き。その後は下値堅く、3日ぶり200日移動平均線を上回って+295円の2万1,454円で引けました。引け後の米国市場が休場のため外国人参加者少なく出来高、売買代金ともに今年最低水準でした。 30日(金)の米国市場は休場。
今週は、米中貿易問題、北朝鮮問題が落ち着けば底堅い動きに
今週の予測
先週の米中の過度な貿易摩擦懸念が後退し、北朝鮮の金委員長の中国訪問で北朝鮮リスクも後退。為替も円安にふれ日経平均は戻りを試す動きとなってチャートにも短期の買い転換が出ました。底堅い動きが想定されるところです。
ただし、米中貿易問題は、11月の中間選挙に向けて再び摩擦が高まる可能性があり、北朝鮮問題も今のところは様子見というところ。金委員長とトランプ大統領の認識のズレはありそうなので、注意が必要です。さらに、大きな戻りを試すためには、外国人買いが買い越しに転じてくる必要があります。先週まで11週連続の売り越しとなっていますが、売り越しは減少してきています。減少していた裁定買いも先月の23日にボトムをつけ、増加に転じてきています。4月は機関投資家の新規の資金が期待できますので、需給関係は改善されてくることになりますが、上値を試すには、新しい材料がほしいところです。直近は2万1,000~2万2,000円のボックス圏の中の動きとなりそうです。
4月2日は、前場は▲12円の2万1,441円と売り先行で始まるものの、日銀短観で国内の18年度設備投資が予想を上回ったことを好感しプラスに転じ、後場すぐには+143円の2万1,597円まで上昇しました。しかし、買い一巡後は先物売りに押され、再びマイナス圏入りとなり▲65円の2万1,388円で引けました。特別、何も材料がないところから先物主導の動きとなりました。
(指標)日経平均
先週の予測
引き続き米中貿易摩擦の激化懸念と為替の円高の動きをさぐる展開から2万円台を維持できるかどうかとする一方、国内政治の方は27日の佐川前長官の証人喚問に一段落つけば、相場は3月期末を迎え需給面からは一服するところとしました。
結果
米中貿易摩擦の激化懸念が後退し、円高も一服。さらに北朝鮮の金委員長の予想外の電撃的中国訪問から北朝鮮リスクの後退もあり、週末は為替の急激な円安を受けて+295円の2万1,454円となりました。これは短期の買い転換を示しています。ただし、2017年11月9日の1万6,111円のトランプ相場スタートからの上昇トレンド(A)の下値ラインにアタマを押さえられている形となっています。ここを抜けると再び2万1,000~2万2,000円のボックスに戻ることになります。
今週の予測
米国の中国への知的財産権の侵害を理由とした制裁発動が延期され、貿易摩擦が目先後退しており、北朝鮮を巡る動向と為替の動きが注目されます。特に週末の3月雇用統計が予想を上回れば年内あと2回の追加利上げのシナリオが変わる可能性があり、その場合は米国株価に悪影響を与え、日本株式も連動することになります。それがなければ25日移動平均線(4月2日時点2万1,492円)を上回って引けると2万2,000円への戻りの展開となりそうです。
(指標)NYダウ
先週の予測
トランプ政権の保守強硬派の任命により、保護主義的方向に傾き、中国との貿易摩擦の激化懸念から通商政策が注目になるとし、目先は下値をさぐる展開を想定しました。
結果
中国が米国製半導体の輸入を増やす提案をし、米中の貿易摩擦の激化懸念が後退したことで、週初め大幅反発。その後はハイテク株が売られて下げる場面あるものの戻りを試す動きとなって連休前の3月29日(木)は+254ドルの2万4,103ドルで引けました。
チャートでみると2017年11月9日の1万7,889ドルを安値とするトランプ相場の上昇トレンド(B)にサポートされて、3月22日の2万3,509ドルを安値に反発した形となっています。目先は2万4,600ドル水準を突破できるかどうかとなります。
今週の予測
月初めで多くの経済指標が発表されます。注目は3月雇用統計ですが、予想を上回れば金利が上昇してドルが買われ株価にとってはマイナスとなります。米中貿易摩擦の激化の後退と、北朝鮮の地政学的リスクの後退で政治面からの懸念は緩和。さらに3月半ばからのハイテク株の急落も一段落しており、季節的に需給が良好であることを考えると堅調な動きが想定されます。ただし、目先は2万4,600ドル水準から上値が重くなるところです。
(指標)ドル/円
先週の予測
米中の貿易摩擦の激化懸念や北朝鮮情勢の地政学的リスクからドル売り・円買いの流れを想定しました。
結果
目先は逆の動きとなりました。中国は貿易摩擦緩和のために米国製半導体の輸入を増やす提案をしたことで過激な貿易摩擦懸念は後退し、北朝鮮の金委員長が電撃的な中国訪問をしたことで、地政学的リスクが後退し、ドルは3月26日(月)の1ドル=104.56円から3月28日(木)には107.01円までドル買い・円売りとなりました。週の終値では106円台前半で引けました。
今週の予測
多くの経済指標の発表があり、特に雇用統計の経済指標が注目となります。6日(金)の3月雇用統計が予想を上回れば年間の追加利上げの見通しに影響を与え、ドル買い・円売りとなってきます。106~108円のレンジを想定。
(出島 昇)
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