日経平均が「頭ひとつリード」の障害物競争。今後の国内株市場のレース展開は?
トウシル / 2018年4月23日 18時0分
日経平均が「頭ひとつリード」の障害物競争。今後の国内株市場のレース展開は?
先週末、4月20日(金)の日経平均終値は2万2,162円となり、ようやく節目の2万2,000円台に乗せることができました。週足ベースでも4週連続で上昇しています。下の図1を見ても、その上昇ピッチは、837円、113円、211円、384円と、今のところ順調な戻り基調を描いています。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2018年4月20日取引終了時点)
ちょうど、今週から3月期の企業決算発表が本格化しますが、果たしてこれを追い風にできるのか、まずは足元の状況から整理してみます。
■(図2)日経平均(日足)の動き その2(2018年4月20日取引終了時点)
日経平均は、5日続伸した後に反落という値動きを辿りましたが、ローソク足の並びを見ると、4月18日(水)の大きめの陽線が目立っていて、「様子見→上昇→様子見」という展開だったことが判ります。
この18日の陽線は、警戒されていた日米首脳会談がひとまず無難に通過したことや、北朝鮮情勢への懸念が後退したことによる安心感がもたらしたと思われます。少し過去に遡って、相場が底打ちし、大きく反発した場面(3月26日〜27)でも、不安視されていた米中の通商をめぐるやり取りが貿易戦争を避ける方向性で進み始めたとの報道がきっかけとなっていて、懸念材料が払拭されれば株価が上がりやすい地合いが続いていると言えます。
もちろん、次の注目材料は先ほども触れた企業決算発表と業績の見通しです。米国株市場でも一足先に決算シーズンを迎え、業績への注目が高まっていますが、先週末(4月20日)のNYダウが200ドルを超す下落を見せていて、日経平均の先物も下落しています(大証が2万2,050円、CMEが2万2,065円)。
その背景のひとつとされているのがハイテク株の軟調です。台湾の半導体メーカーであるTSMCが19日に売上高の見通しを下方修正したことで、半導体需要が減少するとの見方が浮上し、インテルやIBM、シスコシステムズなどのIT関連株が軒並み売られて相場を押し下げました。今週は、米国でアルファベット(グーグル)やアマゾン、フェイスブックなどの決算が予定されていますし、日本でも、日本電産や東京エレクトロン、ファナック、任天堂など決算発表が目白押しです。
週末の日経平均が75日移動平均線水準で様子見を見せたのも、決算待ちムードによるものと思われますが、先週の値動きで75日移動平均線と下落幅の「半値戻し」を達成する場面があったことはプラスの材料です。
■(図3)日経平均(日足)の動き その3(2018年4月20日取引終了時点)
上の図3は、前回も指摘した株価の下げ幅からの戻り目安を示したものです。
1月23日から3月26日の下げ幅に対する、(1)3分の1戻し、(2)38.2%戻し、(3)半値戻し、(4)61.8%戻し、(5)3分の2戻し、(6)76.4%戻しを示していますが、(1)〜(6)のうち、(3)までは一応回復したことになります。次の上値の目安は、(4)の2万2,684円、(5)の2万2,869円、(6)の2万3,236円です。
その中でも、(5)の2万2,869円が強く意識されそうです。というのも、図2の左側にもあるように、昨年11月〜12月の約2カ月間、2万3,000円を上値の抵抗としてもみ合い期間が続き、比較的売買の厚みがあった価格帯だからです。決算動向を株価上昇の追い風にできた場合、この価格帯での戻り待ち売りをこなせるかがポイントになります。
ただ、気を付けたいのは、日経平均が他の株価指標と比べて「頭ひとつリード」している点です。株価の戻りの状況を他の株価指標でも見てみます。
■(図4)TOPIX(日足)の動き(2018年4月20日取引終了時点)
TOPIXは日経平均と同様に、1月23日から始まった下落が3月26日で底を打ち、戻りを試している状況ですが、まだ(2)を達成したばかりです。
■(図5)日経JASDAQ平均(日足)の動き(2018年4月20日取引終了時点)
次に日経JASDAQ平均です。こちらは1月29日が天井、2月6日が底になっています。底打ち後はすぐに(5)の3分の2戻しを達成したものの、以降は上値と下値を切り下げる展開となっており、現在は(1)の3分の1戻しにも届いていません。
■(図6)マザーズ指数 (日足)の動き(2018年4月20日取引終了時点)
マザーズ指数の現在位置も日経JASDAQ平均と同じく、(1)に届いていません。しかも、先週は年初来安値を更新する場面もあり、まだ底を打ったとは言えない状況です。
したがって、「日経平均がこのまま先行し、他の国内株指標を引っ張っていく」、「日経平均がもたついている間に他の国内株指標が日経平均にキャッチアップしていく」、「日経平均が再び水準を切り下げ、他の国内株指標の水準まで後退する」というのが、今後のシナリオとして想定されます。今週は、決算による個別物色がどこまで広がりを見せるかがカギになりそうです。
最後に、おまけとしてNYダウも確認してみます。
■(図7)NYダウ(日足)の動き(2018年4月20日取引終了時点)
NYダウについては、1月下旬から2月あたまにかけて見せた急落の後、一気に(6)の水準まで株価を戻しましたが、以降は上げ下げを繰り返し、次第に上値が切り下がっていて、反発力が弱まっています。チャートの形ではまだ下方向への意識が強く、足元の戻り基調の強さが試されている印象ですので、少し注意が必要かもしれません。
(土信田 雅之)
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