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株価10倍「テンバガー株」の魅力とリスクとは?

トウシル / 2018年4月26日 8時0分

株価10倍「テンバガー株」の魅力とリスクとは?

株価10倍「テンバガー株」の魅力とリスクとは?

 大きな株価上昇が期待できるのが醍醐味の成長株投資。中には株価が10倍以上に上昇する「テンバガー株」も珍しくありません。その一方、株価が急落することも。果たしてどんな点に注意すればよいでしょうか?

 

株式投資の醍醐味と言えばやっぱり・・・

 株式投資の醍醐味と言えば、投資した銘柄の株価が大きく値上がりすること。株価が10倍に上昇した銘柄のことを「テンバガー」と呼びますが、特にアベノミクス相場が始まった2012年末以降は、多くの銘柄が達成しています。

 テンバガー銘柄を見つけて投資することは、投資家の夢でもあります。アベノミクス相場のおかげで、多くの個人投資家がテンバガー銘柄の恩恵を受けることができました。
 筆者自身も、投資した銘柄がテンバガーになったものは1つや2つではありません。

 アベノミクス相場によりテンバガーを達成した銘柄には、次のようなものがあります。
日本M&Aセンター(2127)
アウトソーシング(2427)
セリア(2782)
ジェイエイシーリクルートメント(2124)
ペッパーフードサービス(3053)

 アベノミクス相場で株価が5倍以上になったものであれば、それこそゴロゴロしているといった状況です。

 どのような銘柄の株価が大きく上昇しやすいかと言えばやはり「成長株」です。
成長株とは、売上や利益が毎年増加していて今後も増加する見込みが高い銘柄のことを言います。株式投資で資産を大きく増やそうとしているのなら、成長株への投資は外せません。

 

成長株は「ゲタ」を履いている?

 でも、成長株への投資は注意すべき点もあります。その中でも特に重要なのが「値上がりするときも大きいが、値下がりするときも大きい」ということです。

 ヨシムラ・フード・ホールディングス(2884)は将来の成長期待の高まりから、今年1月23日には2418円の高値(分割換算後)をつけました。
 しかし、その後株価は下落に転じ4月17日には828円まで値下がりしました。2,418円の高値からは、66%の下落です。たった3カ月足らずで株価が3分の1にまで落ち込んでしまったのです。

 なぜ株価が短期間に大きく下落してしまったのでしょうか?その最大の理由が「成長性の鈍化」です。会社から出された業績予想の修正発表や決算発表の数字をみて、思ったほど業績が伸びないと失望した投資家から次々と売りが出され、株価が大きく下落したのです。

 成長株は「将来の業績の大きな伸びが見込める」という評価を投資家から受けています。そのため株価はその将来性を織り込んだ、割高な水準になりがちです。
つまり、株価が「ゲタ」を履いている状況なのです。

 株価が大きく上昇している成長株の中には、PER(株価収益率)が50倍、100倍にも達しているものが数多くあります。一般的に、PERの適正水準は15倍~20倍といわれていますから、かなり割高にみえます。

 投資家の期待通り業績が伸びていれば、多少PERが高くても問題にはならないことが多いです。でも、ひとたび業績が伸び悩み利益が減少してしまうと、割高な株価という形で反映されていた投資家の期待がいっきに剥がれ落ちます。
その結果、株価が大きく下落してしまうのです。

 

成長株の株価が下落したときにやってはいけないことは?

 成長株の株価が大きく下落したときにやってはいけないのが、「そのうち株価も元に戻るだろう」と安易に考えて株を持ち続けることや、「割安になった」と考えて株価が下降トレンドの中、株を買ってしまうことです。

 確かに業績の悪化が一過性であり、長い目でみればまだまだ業績が伸びるということであれば、再び株価は上昇していくでしょう。
でも、業績がピークアウトしてしまったのであれば、株価は大きく値下がりした後も低迷したままになってしまいます。

 それにより、大きな含み損を抱え、塩漬け株を発生させてしまうのです。
たとえば、クックパッド(2193)は、高成長が期待されて株価が上昇を続けていましたが、成長性の鈍化が嫌気され、株価は高値から80%も値下がり、その後も株価は低迷しています。

 

損失の拡大を防ぐために筆者が行っていることとは?

 では一体、大きな損失を回避するにはどうすればよいのでしょうか?筆者であれば、どんなに将来の成長期待が高い銘柄であっても、25日移動平均線を割り込んだら保有株はいったん売却します。

 好調だった株価が下落に転じているということは、プロ投資家や外国人投資家がその株を売っている可能性が高いからです。

 たとえば、ヨシムラ・フード・ホールディングスの場合、25日移動平均線を割り込んだら売却とした場合、1,700円前後で売却することができました。高値からはかなり値下がりした水準にありますが、短期間に急上昇した後の急速な下落なのでこれは致し方ありません。

 それでも、この株の成長性を信じて(というよりは、売るに売れなくなって)保有を続けていたら、そこからさらに株価は半分になりました。結局は、決算発表にて成長性の鈍化が明確となり、株価はストップ安を交えて大きく下落してしまったのです。

 

成長性の鈍化が目に見える形になったときには遅い

 専門家の中には、成長株を「成長性の鈍化が明確になったら売るべし」という人もいます。個人投資家が企業の成長性の鈍化に気づくときといえば、企業側からの発表で業績予想の下方修正や、減益などが明らかになった時点です。

 しかし実際問題として、それでは売り時として遅すぎるのです。ヨシムラ・フード・ホールディングスの場合、個人投資家が会社の業績が伸び悩むことを知ることができたときには、25日移動平均線を割り込んだ株価水準から、さらに30%も下回った水準でした。

 こうした事実から、25日移動平均線を割り込んだのを確認できた段階のほうが、企業業績の鈍化を確認できた段階よりも、かなり高い株価で売却できることが多いということが言えます。

 業績の鈍化が確認できる前に売ってしまって、もし株価が上昇したらどうするのか、と考える方もいらっしゃると思います。でも筆者は、それについて心配する必要はないと思っています。もし25日移動平均線を割り込んだところで売却しても、再度株価が上昇に転じるのであれば必ず25日移動平均線を再び上回ってきます。それを確認できてから買い直せばよいのです。

 成長株として評価されていたものが成長株でなくなったとき、株価は大きく下がります。そしてその後高値を更新することは至難の業となります。
今後景気悪化の局面を迎えると、成長株の中にも、業績の鈍化や悪化が明らかとなるものが出てくるでしょう。そうした株を持ち続けていると大きな損失や含み損を抱えてしまう可能性が高いです。

 筆者は25日移動平均線を割り込んだらとりあえず売るというルールを設けていることで、成長株の大きな下落が生じても最小限の損失で乗り越えてきました。

 成長株に投資したつもりだったのに、気づいてみれば大きな損失が生じてしまった……と悩んでいる方は、試してみてはいかがでしょうか。

(足立 武志)

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