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焦りは禁物。長期で勝つための攻守の切り替え

トウシル / 2018年5月7日 6時0分

焦りは禁物。長期で勝つための攻守の切り替え

焦りは禁物。長期で勝つための攻守の切り替え

 2018年も4カ月が過ぎました。昨年後半とはうって変わって、今年は利益を上げるのが難しい環境です。そんな中、なんとか利益を出したいと焦っている方へ、長年の投資経験からのアドバイスをしたいと思います。

 

今年の日本株は厳しい状況

 2018年の日本株は、1月下旬までは株価が順調に上昇し、利益を伸ばすことができました。しかし、2月上旬の急落を境に相場環境は一変、利益をあげるどころか損失をいかに膨らませないようにするかを考えなければならない事態になっています。

 特に、筆者が手掛けているような好業績の内需系中小型成長株は、2月上旬の急落以降株価が値下がりを続けているものが多く、順調に反発している日経平均株価をよそに、防戦を強いられています。

 どのような銘柄に投資しているかによっても異なりますが、今年、特に2月以降今に至るまでの日本株は、なかなか利益を上げづらい状況です。

 

毎年確実に利益をあげたいなら・・・

 筆者は、数多くの個人投資家とお会いして実際にお話をする機会があります。その中で多くの方が口にするのが「毎年〇%は確実に利益をあげたい」という希望です。

 しかし、短期売買ではなく中長期投資をするのであれば、その考えは捨て去らなければなりません。
 中長期投資の場合は、ある程度の期間株式を保有し続けますから、今年2月はじめの急落のようにマーケット全体が値下がりすれば保有株も値下がりします。どうしてもマーケット全体の動きに投資成果が左右されてしまうのです。

 マーケット全体の環境が良くても悪くても確実に利益を上げるためには、デイトレードなどの短期売買をするしかないと筆者は思っています。

 

コンスタントに利益を上げ続けるのは極めて困難

 ただ筆者もそうですし、多くの個人投資家の方は昼間仕事をしていますから、短期売買をすることはできません。
 そうすると、マーケット全体の環境次第で、投資成果はかなり左右されてしまうのは避けようがありません。そんな中、「必ず毎年15%の利益を株式投資であげる!」といった目標を立てるのは非常に危険です。

 10年、20年といった長期間の投資成果を1年あたりと考えて、毎年10~15%程度の平均利益を上げることは可能と筆者は思っています。
 しかし、毎年コンスタントに10%~15%の利益を上げ続けることは非常に困難です。

 実際、リーマンショックが起きた2008年は、15%の利益を上げるどころか数10%の損失を被った投資家が続出したのです。信用取引をしていた個人投資家の中には、株価急落で全財産を失ってしまった方もいました。
 こんな状況で無理して利益を狙いに行っても、返り討ちにあってさらに損失が膨らんでしまいます。

 

「焦る」のではなく次の上昇局面まで「守る」ことが重要

 正しいことをしているはずなのに利益が出せず、逆に損失が生じてしまう……株式投資をしているとよくある話です。
 そんなときは、マーケットの環境が良くないので、無理して挽回しようとしても損失が増える一方なのです。マーケットの環境が良くなるまで資金をできるだけ減らさずに守ることが必要です。

 何をしてもうまく行かないときというのは、大抵は株価が下落している局面、もしくは株価が横ばいに動いている局面です。
 そんな中、「今年はなんとしてでも利益をあげる!」と意気込み、「はやく損失を取り戻さなければ」と無理をしてしまうと、損失がさらに膨らんでしまうでしょう。

 

株価のトレンドに応じて「攻め」と「守り」を使い分ける

 株価の上昇局面では、株を持ち続ければ利益を伸ばすことができます。逆に株価の下落局面で株を持ち続ければ損失が膨らんでしまいます。
 これは当たり前の話ですが、それでも多くの個人投資家は、株価の下落局面で損失を被ると、まだ下落局面が続いているにもかかわらず「損失をはやく取り返そう」と焦ってしまうのです。

 株価が下落するときに多少の損失が生じるのは避けられません。重要なのはその後の行動です。
 筆者であれば損失を最小限に抑えるために下降トレンドに転じた保有株は売却し、上昇トレンドに復帰するまでは手を出さないようにします。
また、下降トレンドの銘柄が多いような状況では、投資可能資金の全てを株式に投じるのではなく、キャッシュ比率を高めて無理のない運用をします。
 そして、多くの銘柄が上昇トレンドにあるような、利益を得やすい相場環境になったら、株式への投資割合を増やし、できるだけ多くの利益をあげるようにします。

 

上手な投資家は「攻守の切り替え」がうまい

 筆者の周りの上手な個人投資家はみな、攻守の切り替えをしっかりと行っています。切り替えのタイミングは人それぞれですが、キャッシュポジション(投資可能資金に占めるキャッシュの比率)を調整することにより、攻めるべきときは攻め、守るべき時は守るということを徹底しています。

 切り替えのタイミングが分からないという場合は、例えば日経平均株価のトレンドで判断してもよいと思います。
 今年の1月までは日経平均株価が上昇トレンドで個別銘柄の多くも上昇トレンドでしたから、キャッシュポジションを少なめにして株に多めに投資し、利益をできるだけ増やす戦略をとります。

 逆に、2月に入り日経平均株価や個別銘柄が下降トレンドに転換したら、いままでの「利益をできるだけ増やす」という頭は忘れ、気持ちを一気に切り替えます。守りを徹底し、今度は「損失をできるだけ小さく乗り切る」ように行動します。

 この気持ちの切り替えができないと、下降トレンドに転じた銘柄をそのまま持ち続けて損失が膨らみ、損失を一刻も早く取り返そうと無理をして余計な売買をしてしまいます。

 重要なのは利益をあげようと焦るのではなく、攻めと守りの切り替えをしっかりと行うことです。守りの局面ではそもそも利益を追求するのではなく損失を膨らませないことを念頭に行動するようにしてください。

 株式投資では焦りは禁物です。焦りに基づいた行動は大きな失敗の原因になりかねませんので、十分注意しましょう。

(足立 武志)

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