成長株が弱く大型株が強い。個人投資家はどう動けばいいの?
トウシル / 2018年5月10日 17時44分
成長株が弱く大型株が強い。個人投資家はどう動けばいいの?
最近の日経平均株価とマザーズ指数の動きは大きく異なっていることにお気づきでしょうか。これは言い換えれば大型株が強く中小型成長株が弱いということ。こうした状況でどのように対応すればよいか……具体的な方法を考えてみたいと思います。
最近の日経平均株価とマザーズ指数は連動していない
以前、日経平均株価とマザーズ指数は連動しないことが多いというコラムを書きました。その傾向はここ最近も生じていて、5月6日時点で日経平均株価は明確に25日移動平均線を超えて上昇中、一方のマザーズ指数は25日移動平均線を割り込んだ状態が続いています。
大ざっぱに考えると、日経平均株価≒大型株、マザーズ指数≒中小型株となります。さらに、中小型株でも内需系中小型成長株が、マザーズ指数に近い値動きとなっているのが実感です。
つまり、5月6日の時点では、東証1部の大型株が強く、内需系中小型成長株が弱いというのが現状です。この状況は、今年の4月以降続いています。
対処法1:日経平均株価を買う
では、このような状況において、具体的な対処法としてどのようなことが考えられるでしょうか?
まず1つ目は、「日経平均株価」を買うことです。日経平均株価が強い動きなのですから、それについていけばよいのです。
日経平均株価を買うには、1つには日経平均連動型のETF(上場投資信託)を買う方法があります。ただし、ETFは個別銘柄よりも値動きがかなり緩やかなため、それなりの利益を求めるためには個別銘柄に比べかなり多額の資金が必要となり、あまり効率的ではありません。
そこで筆者は、日経平均先物を買うようにしています。日経平均先物はレバレッジが30倍程度かかっているので、資金効率の面からも効果的です。もちろん、高いレバレッジがかかっているので、無理のない程度の額にとどめ、かつ損切りもしっかりと実行することが必要です。
対処法2:その時々の上昇トレンドの銘柄を買う
日経平均株価が上昇トレンドを続けているということは、日経平均株価に採用されている銘柄をはじめ、東証1部に上場している比較的規模の大きな銘柄に投資資金が流入していることを示します。
現に、4月以降、東証1部上場の大型株の多くは、25日移動平均線を明確に超えて上昇を続けています。
筆者は、日々400銘柄ほどの株価チャートをウォッチしていますが、そのウォッチ銘柄リストの中には内需系中小型成長株だけでなく、東証1部上場の大型株も数多く含まれています。
そのため、4月に入り内需系中小型成長株が軒並み25日移動平均線を割り込んで下降トレンドに転じたのとほぼ同じ時期に、東証1部上場の大型株が次々と25日移動平均線を超えて上昇トレンドに転じたことに気づきました。
あくまでも筆者の投資の中心は内需系中小型成長株ですが、それらの銘柄が下降トレンドであるならば投資できません。その一方で、上昇トレンドにある銘柄があるならば、そちらに資金を回すことで、効率的に利益をあげることを目指せます。
対処法3:成長株が買われる環境になるのを待つ
ただ、筆者のように日々400銘柄も株価チャートをウォッチし、成長株以外に大型株も含めてウォッチすることはさすがに大変です。
もし投資対象を成長株に絞るのであれば、成長株が売られて下降トレンドになっているときは、たとえ日経平均株価や東証1部の大型株の株価が上昇を続けていたとしてもそれらは無視して、成長株が再度上昇トレンドに転じるのを待つという戦略もあります。
この戦略は、日経平均株価が上昇しているにもかかわらず利益を得ることができなくなる場合がありますから、多少の忍耐力が必要です。でも、逆に日経平均株価が上昇しないのに成長株は上昇を続けるという時期もあります。いちいち相場環境に応じて成長株と大型株に資金をシフトさせるのは面倒だ、という方には一考です。
割安株と成長株、長期的に株価が大きく上昇するのはどちら?
日経平均株価に採用されているような東証1部の大型株の中には、毎期増収増益が続くような成長株はごくわずかです。もし大型株を買う根拠を求めるとすれば、PERが低いなどといった「割安株」としてです。
では、割安株と成長株を比べて、長期的にみて株価が大きく上昇する可能性が高いのはどちらだと思いますか?
過去の値動きを見る限り、株価が大きく上昇している銘柄の大部分は割安株ではなく成長株の方です。
もちろん、人それぞれ投資スタンスは違いますし、成長株ではなく割安株への投資で成功している投資家の方も数多くいらっしゃいます。
ただ、筆者のように成長株を中心に投資をしている個人投資家としては、成長株が売られる状況も多々起きること、その時期はじっと耐えるか他の買われている銘柄へ一時的にシフトする戦略が考えられること、そして長い目で見れば割安株よりも成長株の方が大きく上昇していること……これらを胸に秘めておきたいものです。
そして、日経平均株価は上昇しているのに、自分の保有株はあまり上昇しない……というシチュエーションが続いても、「なんとかしなければ」と焦らないようにしましょう。焦っていつもであれば取らない行動を取ってしまうことは、さらなる失敗につながる可能性が高いからです。
(足立 武志)
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