週末の上昇で救われた日経平均。戻りの強さが試されるのはこれから
トウシル / 2018年5月14日 19時0分
週末の上昇で救われた日経平均。戻りの強さが試されるのはこれから
連休明けとなった先週の国内株市場ですが、週末5月11日(金)の日経平均終値は2万2,758円でした。週足ベースでは7週連続の上昇となり、前週末(5月2日)からの上げ幅は286円です。
大型連休を挟んで相場のムードがガラリと変わってしまうことはよくあるのですが、今回については連休前の戻り基調が継続する格好となりました。その戻り基調は3月26日を起点に始まっていますが、あらためてそのピッチを振り返ってみますと、837円、113円、211円、384円、305円、5円、286円で、合計すると2,141円になります。
それでは早速、いつもの通り足元の状況から確認してみます。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2018年5月11日取引終了時点)
終わってみれば上昇だった先週の日経平均ですが、一週間の値動きをローソク足で辿ってみると、2万2,500円台に乗せきれない場面が目立っていて、むしろ上値の重たさが意識されやすい展開が続いていました。そして、週末11日(金)に出現した大きい陽線によって、戻り基調を維持することができました。
こう書くと、「週末にたまたま上昇しただけ」という印象を持たれてしまうかもしれませんが、実は、この11日(金)の陽線の出現はいくつかの大きな意味を持っています。
節目の2万2,500円を上放れできただけでなく、2月5〜6日にかけて空けた大きな「窓」を埋めることができました。また、移動平均線に注目しても、25日移動平均線が75日移動平均線を上抜けるゴールデンクロスを達成しています。
そして、株価水準では、下の図2にもある通り、「61.8%戻し(2万2,684円)」をクリアしました。次は、「3分の2戻し(2万2,869円)」や「76.4%戻し(2万3,236円)」が目標として意識されそうです。
■(図2)日経平均(日足)の動き その2(2018年5月11日取引終了時点)
もっとも、76.4%戻しをクリアするには節目の2万3,000円を超えなければなりません。チャートで過去に遡ると、昨年11月から年末にかけての約2カ月間、この2万3,000円を上値にしたもみ合いが続いていましたので、戻り待ち売りをこなせる買いの勢いがポイントになります。戻りの強さが試されるのはこれからと言えますが、いずれにせよ、3分の2戻しの水準は十分に射程圏内に捉えています。
また、トレンド的には11日(金)の上昇で救われた面があります。下の図3は、日経平均の平均足とMACDの組み合わせです。
■(図3)日経平均の平均足とMACD(2018年5月11日取引終了時点)
これまでに何度も紹介していますが、平均足とMACDの組み合わせはトレンドの転換を探るものとしてよく使われます。具体的には、平均足の色が変化(陽線から陰線、もしくは陰線から陽線)した後にMACDとシグナルのクロスが出現するかどうかをチェックしていくのですが、先週の10日(木)までは、MACDがシグナルを下抜けクロスしそうな動きを見せていました。11日(金)に株価が大きく上昇したことで、結果的にクロスは回避されて、戻り基調の上昇トレンドを維持できたことになります。
以上のように、日経平均は引き続き戻り基調が継続する中で、基本的には上方向を目指していると言えそうですが、今週は国内企業の決算発表がおおむね一巡し、相場の材料がひとつ減ることになり、米国市場の影響を受ける場面が増えそうです。
そもそも11日(金)の日経平均が上昇したのは、米国株の上昇が牽引した面があります。その米国株市場では、発表されたCPI(消費者物価指数)が予想を下回ったことで、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げペース加速への不安が後退したことが好感されています。米国では今週も消費や住宅関連などの経済指標の発表が予定されていますが、足元の米国市場は金利の動向や見通しに敏感になっている印象のため、指標結果によっては相場のムードが左右されそうです。こうしたムードの変化は、これまで順調に株価が戻してきただけに、「忘れた頃のセル・イン・メイ」につながる可能性があるため、警戒しておく必要はありそうです。
(土信田 雅之)
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