日本株の上昇を阻んだのはやっぱり「あの人」。警戒モードは続くも相場は意外と頑張れる?
トウシル / 2018年5月28日 19時0分
日本株の上昇を阻んだのはやっぱり「あの人」。警戒モードは続くも相場は意外と頑張れる?
先週末5月25日(金)の日経平均は2万2,450円で取引を終え、前週末終値(5月18日の2万2,758円)からは308円の下落となりました。
これにより、週足ベースでの連騰記録は8週でストップしてしまい、残念ながら昨年9〜11月の9週連続記録に並ぶことはできませんでしたが、記録を阻んだのはやっぱり「あの人」がきっかけでした。何はともあれ、下の図1で足元の状況から整理してみます。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2018年5月25日取引終了時点)
まずは先週の日経平均の振り返りです。週初21日(月)の取引は、これまでの株価の戻り基調を引き継ぎ、昨年末終値(2万2,764円)をクリアしたほか、ついに節目の2万3,000円台乗せを達成するなど、幸先の良いスタートを見せましたが、その後は一転して軟調な値動きをたどる展開となりました。その中でも23日(水)と24日(木)の長めの陰線が印象的です。
そして、株価の下げを加速させたのは「あの人」こと、トランプ米大統領でした。先週は米朝首脳会談の中止を表明したり、自動車の輸入関税の引き上げ検討を指示するなど、相場にインパクト与えるには十分な話題を立て続けに振りまいてくれました。さらに、これまでの株価の戻り基調が目立った調整がないままに継続してきたことも売りに拍車をかけたのかもしれません。
また、移動平均線との絡みでは、株価が25日移動平均線を下抜けてしまいましたが、週末25日(金)取引では、何とかこの移動平均線水準から引き離されないようにしようとする動きも見られます。今週の焦点は、前回レポートのタイトル通り、足元の株価下落が押し目買いのタイミングとして吉なのか凶なのかになります。
短期的なトレンドをチェックすると、先週の株価下落によって、戻り基調が一服しているサインが見られます。例えば、前回紹介したボリンジャーバンドでは、トレンドの継続を示すとされる「バンドウォーク」が崩れ、平均足とMACDの組み合わせを見ても、平均足が陰転し、MACDもシグナルを下抜けするクロスとなっていて、トレンド転換を匂わせる状況となりました(下の図2と図3)。
■(図2)日経平均(日足)のボリンジャーバンド(2018年5月25日取引終了時点)
■(図3)日経平均の平均足とMACD(2018年5月25日取引終了時点)
そのため、今週の相場は悪材料に反応しやすい地合いで迎えることになります。
とはいえ、米朝問題については、その後の展開によって、何だかんだで首脳会談が開催される可能性が残されているほか、自動車輸入関税引き上げについても、米国国内から反発の声が上がっていることや、税率25%というハードルの高さによって実現性が薄いとの見方も多く、株価材料の視点で見ると、必ずしも悲観的なムード一色というわけではありません。
したがって、不安が後退することで株価が持ち直すシナリオも十分に考えられるのですが、不透明感が強い相場環境では、ある程度株価は戻せても直近高値を超えて上値を追う展開まで期待するのは難しいと考えられます。「目先の押し目を意識しつつ、株価が戻った場合には早めに手仕舞う」という短期投資スタンスが基本になりそうです。
その押し目ですが、下の図4にもあるように、戻り基調時(3月26日〜5月21日)の上げ幅の「3分の1押し」である2万2,149円や、38.2%押し(2万2,017円)、75日移動平均線などが目安として挙げられます。
■(図4)日経平均(日足)の動き その2(2018年5月25日取引終了時点)
また、冒頭でも触れましたが、先週の下落によって週足ベースでの連騰記録が8週で途切れてしまいました。そこで、前回の記録が途切れた後の日経平均がどうなったか確認してみますと、下の図5にもあるように、2万3,000円を上値のメドとして、2カ月近くのもみ合いが続きました。歴史は繰り返すとは限りませんが、しばらくは保ち合いに入る展開も想定しておく必要があるかもしれません。
■(図5)日経平均(日足)の動き その3(2018年5月25日取引終了時点)
(土信田 雅之)
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