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東証より「高く売り、安く買う」機会を逃さない。「PTS取引」の有利な使い方

トウシル / 2018年6月5日 7時34分

東証より「高く売り、安く買う」機会を逃さない。「PTS取引」の有利な使い方

東証より「高く売り、安く買う」機会を逃さない。「PTS取引」の有利な使い方

 今日は、読者から質問の多い「PTS取引」の使い方について、解説します。もっとも有利な価格で約定できる場所を自動選択する機能、「SOR有効」をうまく活用しましょう。

株式取引をできるのは、証券取引所だけでない。「PTS」(私設取引システム)でも可能

PTS」という言葉を聞いたことがありますか?「PTS」は、「Proprietary Trading System」(私設取引システム)の略称です。今、株式の取引は、東京証券取引所や名古屋証券取引所のような取引所だけでなく、PTSでもできるようになりました。
日本で運営されているPTSは、以下の2つだけです。

◆チャイエックスPTS(Chi-X) チャイエックス・ジャパン株式会社が運営
◆ジャパンネクストPTS(JNX) ジャパンネクスト証券株式会社が運営

 楽天証券で取り扱っているのは、PTSのデイタイム(午前8時-午後4時まで)取引です。上記2つのPTSどちらにも、取引を取り次ぐことができます。チャイエックスPTSとジャパンネクストPTSの両方に注文できるのは、現時点では楽天証券だけです。

PTS取引、2つのメリット

 デイタイム(午前8時-午後4時)に、東証で取引せず、PTSで取引するのに、以下の2つのメリットがあります。

(1) 取引時間が東証よりも長い

◆チャイエックスPTSのデイタイム取引時間 午前8時―午後4時(昼休み休憩なし)
◆ジャパンネクストPTSのデイタイム取引時間 午前8時20分―午後4時(昼休み休憩なし)
◆東証の取引時間 前場(午前9時―11時30分)、後場(午後12時30分―3時)

 PTSを使うと、東証が開く前(チャイエックスならば午前8時―8時59分)、昼休み休憩中(午前11時31分―午後12時29分)、東証が引けた後(午後3時1分―4時)にも、取引を行うことができます。

(2)東証より有利な価格で取引する(より高く売り、より安く買う)機会が得られる

 PTS取引では、東証よりも、呼び値の刻みが細かくなっている銘柄があります。そういう銘柄では、東証がオープンしている間、東証よりも有利な価格で取引できる可能性があります。

 たとえば、A社株が、東証では1円刻み、PTSでは0.1円刻みで売買されるとします。そこでA社の板(売買注文の入り方)を見ると、以下のように、売り指値・買い指値が入っていたとします。

A社の板状況

注:東証では、101円に2,000株の売り指値があり、100円に1,500株の買い指値があります。呼び値の刻みが1円なので、東証ではそれより細かい指値は入れることができません。PTSでは0.1円刻みの売買ができるので、100.6円まで売り指値が、100.5円まで買い指値が入っています。

 ここで、A社に100株の成行(なりゆき)買い注文(価格を指定せず、すぐに約定させる注文)を出したとします。板状況が変わらなければ、東証だけの取引では101円で買うことになりますが、PTSならば、100.6円で買えます。つまり、PTSの方が、0.4円(約0.4%)安く買うことができます。

 ここで、A社に100株の成行売り注文を出すと、東証では100円で売れますが、PTSでは、100.5円で売れます。PTSの方が0.5円(0.5%)高く売ることができます。このように、売買の刻みが細かい場合は、PTSの方が有利な価格で取引できることがあります。

東証とチャイエックスとジャパンネクスト、どこで取引したら、有利?もっとも有利な取引を自動選択するには「SOR」を使う

 B社の場中(東証があいている時間)の板が、以下のようになっていたとします。
どこで、売買するのが、もっとも有利でしょう?

 表中で、CHXは、Chi-Xをさらに短縮した略称です。

B社の板状況

注:東証のもっとも低い売り指値は17,690円です。東証のもっとも高い買い指値は17,680円です。その間に、PTSで指値が入っています。17,689円には、CHXとJNXに合計で2,100株の売り指値があります。17,688円には、CHXだけで100株の売り指値があります。17,682円にはJNXだけで200株の買い指値があります。17,681円にはCHXとJNXの合計で1,500株の買い指値があります。

 100株買いたいならば、CHXに100株の成行買いを入れれば、板が変わらなければ、もっとも有利な価格(17,688円)で買うことができます。

 100株売りたいならば、JNXに、100株の成行売りを入れれば、板が変わらなければ、もっとも有利な価格(17,682円)で売ることができます。

 株式売買注文を出すとき、どこで売買するか、指定することができます。
(1)取引市場を「東証」と指定すると、東証で売買される
(2)取引市場を「Chi-X」と指定すると、チャイエックスPTSで売買される
(3)取引市場を「JNX」と指定すると、ジャパンネクストPTSで売買される

 ただし、めまぐるしく変わる「板」を見ながら、どこで取引したらもっとも有利か、つど判断するのは、至難の業です。こんな時に使うと便利なのが、SOR(スマート・オーダー・ルーティングの略称)です。

 取引市場を「東証」とし、「SOR有効」を選択しておけば、東証があいていて、東証で株価がついている時間帯は、東証、CHX、JNXのうち、もっとも有利な取引のできる場所をシステムが自動選択して、取引が執行されます。

 B社の場合、「SOR有効」で100株成行買いを入れれば、もっとも有利な価格で買えるCHXが自動的に選択されます。「SOR有効」で100株成行売りを入れれば、もっとも有利な価格で売れるJNXが自動的に選択されます。

「SOR有効」の注文を出せるのは東証があいている時間だけ。現物取引のみ可能で、信用取引では使えない

「SOR有効」で注文が出せるのは、東証の取引時間中で、東証で初値がついた後だけです。東証があく前、東証の昼休み、大引け後には、「SOR有効」の注文は出せません。

 また、現時点では、現物売買でしか、「SOR有効」は使えません。信用取引では使うことができません。

 

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