何に投資する?「リスク性資産」と「安全資産」1
トウシル / 2018年6月6日 9時21分
何に投資する?「リスク性資産」と「安全資産」1
何に投資する?
「何に投資するか」で、まず思いつくのが、トヨタやNTTなど日本を代表する会社の株だと思いますが、投資対象は、株だけではありません。
他にも、債券、不動産、商品、為替があります。さらには、ワインに投資する金融商品や、空港や高速道路、映画やミュージシャンに投資するものもあります。しかし、特殊なものは、仕組みを理解するのが難しいため、今回は一般的な投資対象についてお伝えします。
「リスク性資産」と「安全資産」
まず投資対象は「リスク性資産」と「安全資産」という二つに大別できます。「リスク性資産」は、読んで字のごとく、リスクが高そう、何だか危なそう、「安全資産」は、そのまま安全なものかなぁと漠然と思うのではないでしょうか? 実際のところ、その感覚通りで、おおむね正しいです。ちなみに、「リスク性資産」の代表格は“株式”、「安全資産」の代表格は“債券”です。
よく投資の世界では、「ハイリスク・ハイリターン」、「ローリスク・ローリターン」という言葉が使われます。「ハイリスク・ハイリターン」は、高いリターンが欲しければ、高いリスクを取らなければならない、「ローリスク・ローリターン」は、低いリスクしか取ることができなければ、高いリターンは望めず低いリターンで我慢するしかない、ということです。これを専門用語で「リスクとリターンのトレードオフ」と言います。
この「リスクとリターンのトレードオフ」に基づくと、「リスク性資産」=「ハイリスク・ハイリターン」、「安全資産」=「ローリスク・ローリターン」ということになります。
ご注意いただきたいのですが、「安全資産」の「ローリスク・ローリターン」は元本保証を意味しません。「安全資産」の“安全”は、「リスク性資産」に対して相対的に“安全”ということを意味するだけで、元本割れとなるリスクは常にあります。
「リスク性資産」と「安全資産」の特徴1
「リスク性資産」と「安全資産」の特徴を詳しく見ていきましょう。
リスクとリターン
投資の世界では、リターンという言葉があります。日本語に訳すと、収益率です。株式で言えば、以下の式で計算されます。
今日の株価 ÷ 昨日の株価 -1 = リターン(収益率)
このリターンは毎日変わりますが、一定期間、計測すると、投資するものによって、リターンの出方に傾向が出てきます。株式であれば、リターンが激しく変動する一方、債券であれば、株式と比べ、リターンの変動が小さい、ということが観察できます。
リターンの変動が激しいということは、「大きく儲かるかもしれないが、大きく損をするかもしれない=ハイリスク」、リターンの変動が小さいということは、「大きな損はしなさそうだが、大きく儲かることもなさそう=ローリスク」です。ハイリスク=リスク性資産、ローリスク=安全資産ですから、以下のことが言えます。
- 「リスク性資産」はリターンの変動が激しい(価格変動が大きい)
- 「安全資産」はリターンの変動が小さい(価格変動が小さい)
さらに、前述のとおり、ハイリスク=ハイリターン=リスク性資産、ローリスク=ローリターン=安全資産ですから、以下のことも言えます。
- 「リスク性資産」は高いリターンを追求する
- 「安全資産」は低くても安定したリターンを追求する
「リスク性資産」と「安全資産」の特徴2
景気がよいときは、企業に利益が生まれ、個人の収入も増えます。つまり、お金に余裕が生まれ、リスクを取りやすくなります。つまり、ハイリスク・ハイリターンを狙った投資が人気となります。
株価は企業の利益を反映する傾向があるため、景気がよい時は、株価が上がりやすくなります。この環境は、「リスク性資産」にお金が流れ、価格が上がりやすくなります。
景気が悪いときは、企業も個人も資金が少なく、リスクを取る余裕はありません。つまり、高いリターンの獲得を目指すよりも、できるだけ損をしないローリスク・ローリターンを優先するようになります。
また企業の業績悪化を反映し、株価は下落しやすくなります。こうなると、投資家は「リスク性資産」に投資していたお金を「安全資産」に移すので、「リスク性資産」の価格は下がり、「安全資産」の価格が上がりやすくなります。
これらをまとめると、次のようになります。
- 「リスク性資産」は、景気がよいときやリスクをとりやすいときに、価格が上がりやすい
- 「安全資産」は、景気が悪いときやリスクをとりにくいときに、価格が上がりやすい
投資対象は、基本的に、この二つのタイプに分類することができます。投資を検討するときには、まずはどちらのタイプで運用するのか、「ハイリスク・ハイリターン」がいいのか、「ローリスク・ローリターン」がいいのか、決める必要があります。次回は、「リスク性資産」と「安全資産」の投資対象について、より具体的に書きたいと思います。
(大澤 健吾)
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