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6月の株主優待:人気トップ「すかいらーく」の魅力とリスクを解説

トウシル / 2018年6月6日 7時17分

6月の株主優待:人気トップ「すかいらーく」の魅力とリスクを解説

6月の株主優待:人気トップ「すかいらーく」の魅力とリスクを解説

 6月は、12月決算企業の「中間決算」です。中間期末(6月末)と本決算期末(12月末)に、個人投資家に人気の株主優待を提供する企業が多数あるので、注目です。
 今日は、6月末基準の優待銘柄で、人気ランキング上位5銘柄をご紹介します。人気トップのすかいらーく(3197)について、その魅力とリスクを、解説します。

 

楽天証券の「株主優待検索」を使って、6月の人気優待銘柄を検索

 以下より、楽天証券の株主優待検索が利用できます。

▲株主優待検索

 優待検索ページから、検索条件として、「6月」優待を指定すると、107銘柄が得られます。「並び替え」で、「人気順」を選ぶと、107銘柄が、以下の通り、人気順に並び替えられます。

6月の人気優待銘柄、検索結果:2018年6月5日時点

出所:楽天証券HP「株主優待検索」

 人気上位5銘柄は、以下の通りです。それぞれの優待内容は、青字の「優待内容」をクリックすると確認できます。

 ご参考までに、6月5日時点の予想配当利回り(会社予想ベースの年間1株当たり配当金を6月5日時点の株価で割ったもの)も付けています。配当金は、優待とは別に支払われるもので、予想配当利回りには、優待の価値は加えていません。

  • (第1位)すかいらーく(3197) 優待内容 予想配当利回り2.3%
  • (第2位)JT(2914) 優待内容 予想配当利回り5.1%
  • (第3位)日本マクドナルドHD(2702) 優待内容 予想配当利回り0.6%
  • (第4位)カゴメ(2811) 優待内容 予想配当利回り0.9%
  • (第5位)ホンダ(7267) 優待内容 予想配当利回り3.1%

 

人気トップのすかいらーく(3197)、その魅力

 最初に、魅力について、説明します。すかいらーくは、株主にとても魅力的な利益還元を行っています。2018年について言えば、100株保有する株主に、配当金を年間3,800円払い、株主優待「食事カード」を年間6,000円贈呈する予定です。

 すかいらーくの予想配当利回りは2.3%です。6月5日の終値(1,646円)で100株投資するには、16万4,600円必要です(売買コストを除く)が、16万4,600円投資して、1年間で配当金3,800円(税引前)がもらえる予定なので、配当利回りは2.3%となります(年間配当金3,800円を、投資額16万4,600円で割って計算)。

 ただし、株主が受け取れるのは、配当金だけではありません。100株の株主は、3,800円の配当金に加え、優待カード6,000円相当も得られるわけです。配当金と優待カードの価値を合わせると、かなり魅力的なリターンが得られることがわかります。

 すかいらーくが株主に贈る優待券の金額は、保有する株数によって異なります。具体的には、以下の通りとなっています。

すかいらーくが株主に贈呈する株主優待食事カード(2018年6月5日時点)

出所:同社ホームページ

 すかいらーくの優待食事カードは、カフェレストラン「ガスト」、中華レストラン「バーミヤン」のほか、「ジョナサン」「夢庵」「藍屋」「ステーキガスト」「グラッチェガーデンズ」「魚屋路」「とんから亭」など、幅広い店舗で利用できます。「500円単位」で、食事代金から割引されます。優待カードからお釣りは出ませんが、500円単位で使えるので、使いやすいといえます。

 1,000株保有していれば、2018年は1年間で6万9,000円もの優待カードが贈呈されます。

すかいらーくに株主優待狙いで投資するリスク

 気をつけなければならないのは、配当金や株主優待の内容は、突然変更されることもあることです。業績が悪化して配当金が減らされることも、株主優待が廃止されることもあります。そうなると、株価が下落するリスクも高まります。

 どんなに、株主優待が魅力的でも、最低限、業績動向は見ていなければなりません。

(1)営業利益は、2017年以降、伸び悩み

 すかいらーくは、2016年12月期に営業最高益(312億円)をあげましたが、2017月12月期の営業利益は、前期比10%減の281億円となりました。外食業すべての共通課題ですが、人手不足によって人件費が上昇していることが減益要因となっています。また、2017年12月期から、株主優待を突然3倍に増やしたことも、減益要因になっていると、会社側から説明がありました。

 今期(2018年12月期)の営業利益は、会社予想ベースですと、前期比2.1%増の287億円となります。売上高は前期比4%増の3,738億円と過去最高を更新する見込みですが、まだ利益の回復は鈍いままです。引き続き、人件費の上昇が圧迫要因になるほか、人手不足に対応した店舗運営効率化のためのシステム投資を増やすことが、コストアップ要因となります。

 外食業全般に、人手不足と人件費上昇の逆風が続きますが、すかいらーくグループは、バーミヤンなど特色ある店舗やコスト管理の徹底で、堅調な業績を維持していくと予想しています。

(2)株主優待の大盤振る舞いを、いつまで続けられるか?

 すかいらーくについて、もう1つ、重要なリスクを知っておく必要があります。株主優待の大盤振る舞いがいつまで続けられるか、現時点ではっきりしないことです。

 すかいらーくは、2017年2月9日に突然、株主優待を2017年から3倍に増やすと発表しました。100株保有する株主に、2016年までは年間2,000円の食事券を贈っていたのですが、それを、2017年から年間6,000円に変更したのです。

 優待券の大盤振る舞いを好感して、個人投資家の買いで株価は上昇しました。ところが、株価上昇後の3月、6月、11月と3回に分けて、筆頭株主のベインキャピタル【注】がすかいらーく株の売り出しを発表したのです。ベインは当時発行済み株式数の44%を保有していましたが、3回の売り出しですべて売り切りました。

【注】ベインキャピタルとすかいら-くの関係
すかいらーくは2011年にベインキャピタルの傘下に入り、経営再建し、2014年に東証一部に再上場しました。ベインは、上場直後に発行済み株式の70%を保有していましたが、2015年6月と2017年3月に売却し、保有比率を44%まで低下させていました。

 こうした経緯から、「大株主ベインにすかいらーく株を高値で売り抜けさせるため、優待の大盤振る舞いを発表したのではないか」と疑う声もあります。

 すかいらーくが、どういう意図で株主優待を3倍にしたか、確かなところはわかりません。株主に報いるとともに、株主にすかいらーく店舗のファンになってもらうことを、目的に現在の株主優待が長期的に維持されることを期待したいと思います。ただし、株主優待の内容は、いつでも変更される可能性があることは、頭に入れておく必要があります。

 なお、6月末日が中間決算をしめる日となるすかいらーくの6月末日基準の優待券・配当金を得るためには、6月26日(火)までに買う必要があります。6月26日に東京証券取引所で買い付けると、6月29日の株主名簿に登載されますので、6月末日の株主に贈られる株主優待と、配当金を得る権利が確定します。6月27日(水)は、「権利落ち日」といいます。27日に買っても、株主名簿に登載されるのは、7月2日(月)となりますので、6月末基準の株主優待を得ることはできません。

 

 

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(窪田 真之)

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