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リスク総点検。貿易戦争への警戒強まる。押し目買いの機会を待つ

トウシル / 2018年6月19日 7時35分

リスク総点検。貿易戦争への警戒強まる。押し目買いの機会を待つ

リスク総点検。貿易戦争への警戒強まる。押し目買いの機会を待つ

気をつけて見ていかなければならない、8つのリスク

 日本株は長期投資で買い場と考えます。ただし、短期的な下値リスクは払拭できません。日本株について、当面、気をつけて見ていかなければならない8つのリスクは、以下の通りです。

1 貿易戦争の行方

米中対立激化。7月6日に対中制裁発動あるか? 中国は報復するか? 米国との貿易戦争は、EU(欧州連合)、カナダ、メキシコ、日本に広がるか? 世界景気に悪影響を及ぼすところまでエスカレートするか?

2 米利上げの副作用。新興国の通貨下落

米FRB(連邦準備制度理事会)が利上げ加速を示唆。ドル金利上昇でブラジル、トルコ、メキシコ、ベネズエラなど低信用国の通貨・債券が売られる展開。新興国危機の再燃ないか? 世界の株式市場は、米金利上昇にどこまで耐えられるか?

3 世界景気減速

足元の世界景気は好調だが、やや過熱のリスクが意識されている。米中貿易戦争がエスカレートし、世界景気に悪影響を及ぼすリスクにも注意。

4 東アジアの地政学リスク

朝鮮半島有事のリスクは低下。中国の海洋進出で、米中間の摩擦が高まるリスクには要注意。

5 円高リスク

米利上げが続き、日米金利差が開いたため、当面、円高が進むリスクは低下。ただ、世界景気が減速し、米利上げに打ち止め感が出る局面では、円高が進みやすい。

6 日米政治不安

森友問題の着地点が見えない。11月の米中間選挙でトランプ政権が敗北するリスクに注意。

7 欧州の政治不安

イタリアで反EUを旗印としてきたポピュリズム政権が成立。欧州で反EU勢力が拡大するリスクが続く。

8 中東の地政学リスク 

シリアからIS(イスラム国)勢力がほぼ一掃され、ISの脅威は低下。代わって、ロシア・イランが支持するアサド派と、米国、欧州が支持する反アサド派の対立が先鋭化。OPECでは、サウジとイランの対立が強まる。
 

 上記8つのリスクのうち、特に注意が必要なのは、赤で表記した1番と2番のリスク、つまり、貿易戦争と米金利上昇のリスクです。

 青で表記した3番から8番のリスクは、すぐに日本株が下落する材料となるわけではありませんが、潜在的リスクとして留意する必要があるものです。日本に直接関係ないリスクでも、世界的にリスク・オフ(株などのリスク資産を売る流れ)が広がると、円高が進み、日本株が売られる要因となるので、留意が必要です。

特に警戒が必要な「貿易戦争エスカレート」のリスク

 トランプ政権は15日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税の最終リストを発表しました。500億ドル(約5兆5千億円)に相当する中国からの輸入品1102品目に25%の関税を課す方針です。このうち340億ドル(約3兆7,400億円)に相当する818品目への関税は7月6日に発動するとしました。

 中国は、米国が仕掛ける貿易戦争に応戦する方針です。16日に同額・同規模の報復措置をとると表明。つまり、米国からの輸入500億ドルに報復関税をかける方針です。

 知的侵害に対する最初の制裁を発動するとしている7月6日まで、米中間でギリギリの交渉が続けられるでしょう。7月6日の制裁発動をなんとか回避するような合意ができる可能性もゼロではありません。

 ただし、米国が振り上げた拳を下ろせるような合意が短期的にできる可能性は、低いと言えます。米国が巨額の制裁関税を発動し、中国が同額の制裁関税を発動するリスクも出てきました。そうなると、世界経済に少なからず悪影響を及ぼすことになります。

 制裁関税も報復関税も、一方的に相手方を痛めつけるものではありません。相手方を痛めつけるとともに、自国経済にもダメージを及ぼします。中国からの輸入品への関税を大幅に増加させることは、米国の消費者にとって大きなコストアップ要因です。「輸入関税引き上げ」は、消費者から見れば、「消費税引き上げ」と同じようなものだからです。輸入品価格が上昇すると消費を萎縮させる可能性があります。

 中国も同じです。報復措置として米国から輸入している農産物の関税を引き上げると、中国国内の食料品価格が上昇します。そうなると、庶民の生活を直撃します。最悪の事態を回避できるか、7月6日まで、米中間の通商交渉から目が離せません。

下落局面は、長期投資で「買い場」と判断

 日経平均が大きく下がる局面があれば、長期投資で買い場と考えます。その根拠は以下、「もっと読む!著者おすすめのバックナンバー」をご参照ください。
 

 

▼著者おすすめのバックナンバー

5月23日:日本株が長期的な上昇トレンドに入ったと考える理由

 

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(窪田 真之)

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