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日経平均2万3,000円回復の鍵を握る貿易摩擦とOPEC

トウシル / 2018年6月19日 15時16分

日経平均2万3,000円回復の鍵を握る貿易摩擦とOPEC

日経平均2万3,000円回復の鍵を握る貿易摩擦とOPEC

先週は、週始め2万3,000円回復するも、その後は上値の重い展開

 12日(火)の日経平均株価は、米朝首脳会談の期待もあってザラ場では2万3,011円と2万3,000円台を回復しましたが、終値は+74円の2万2,878円となりました。その後はFOMC(米連邦公開市場委員会)での年3回の利上げ予定が年4回(あと2回)の利上げへと上方修正されたことや、米中貿易摩擦が高まってきたことで、米国株式の上値重く、それに連動した形で日経平均の上値も重くなり、2万2,700~2万3,000円の狭いレンジでのもみあいとなり、週末の15日(金)は2万2,851円で引けました。

 11日(月)は、先週末の米国株式の上昇と、この日の4月機械受注が予想を大きく上回ったこと、さらに後場には円安基調となったことで、一時+161円の2万2,856円まで上昇。終値は+109円の2万2,804円で引けました。

 12日(火)は、この日、行われる米朝首脳会談への期待から、一時+207円の2万3,011円と2万3,000円台を回復しましたが、会談の中身を見極めたいとしてマイナスになる場面もあり、結果、2万2,878円となりました。

 13日(水)は、米朝首脳会談は予想内だったため株価には影響せず、FOMCの結果待ちに。一部では利上げペースが早まるとの見方から円安歩調となったことで+88円の2万2,966円で引けました。

 14日(木)になると、前日の米国市場でFOMCが年内あと2回の利上げを示したことで金利先高感から、NYダウが▲119ドルの2万5,201ドルと下落。これを受けて日経平均は▲123円の2万2,842円で寄り付きました。後場には米中貿易摩擦の高まりへの懸念も加わって▲227円の2万2,738円の安値引けに。

 週末の15日(金)は、前日のECB(欧州中央銀行)理事会で利上げは来年度以降としたことを受け欧州債利回り低下、欧州株高となりました。そのため、日経平均は2万2,885円を高値に上値は重くなり、2万2,770円まで上げ幅を縮小しましたが、円の弱含みから大引けにかけて盛り返し+113円の2万2,851円で引けました。売買代金は久しぶりに3兆円を突破。押し目買い意欲強く、上値を試すタイミングを探すところに入ってきている感じです。

 15日(金)の米国市場は、トランプ政権が中国からの500億ドルの輸入品に対して25%の制裁関税を課すとしたことで米中貿易戦争が高まることが懸念されNYダウは一時▲280ドルの2万4,894ドルまで下げましたが、下げ幅を縮小。▲84ドルの2万5,090ドルで引けました。シカゴの日経先物は▲65円の2万2,765でした。

 

今週は、米中貿易摩擦とOPEC会議の行方に要注意

 先週は、米朝首脳会談や日米欧の金融政策のイベントは想定内で通過したものの、今後の企業のファンダメンタルズに影響を与える米中貿易摩擦が再燃していることで手控えムードとなりました。

 2万3,000円の上値は重く、先週と同じように2万2,500~2万3,000円のレンジ内のもみあいが想定されます。

 米中の交渉によって一時的に落ち着くことはあるかもしれませんが、11月の中間選挙までは実績を出したいトランプ政権としては、中国に対してより強い対応に出そうです。中国経済は米国に対する輸出に依存しており、2017年度の中国製品の世界に対する全輸出の88%が米国向けで約40兆ドル以上の貿易黒字をなっています。その黒字を使って軍事面も強化され、米国に対抗するところまできているため、トランプ政権としては許せないというところまできているようです。

 G7でも米国は孤立してもかまわないスタンスをとっており、米国の保護貿易が一層高まれば世界の貿易摩擦となりそうです。今週は22日開催のOPECで減産合意が解消されるかどうかという懸念とともに、大きなマイナス要因となりそうです。これらが落ち着いていれば2万3,000円台を目指すものの、悪化すれば一時的に2万2,500円を下に切ってくることも考えられます。

 18日(月)は、午前8時頃に大阪北部地震があったことで、先週末の米中貿易戦争懸念から米国株式が下がっていたことも加わり、▲45円の2万2,806円と売り先行で始まりました。米中貿易戦争は不透明なことから後場には一時▲250円の2万2,601円まで下げましたがETF(上場投資信託)買い観測に支えられ下げ渋り、▲171円の2万2,680円となんとか25日移動平均線(18時点2万2,646円)を維持して引けました。25日移動平均線は上昇から横向きになっていますので、25日移動平均線を切ってくると再び2万2,000~2万3,000円の前半でのもみあいになる可能性があります。

 

(指標)日経平均

 再び2万3,000円台を回復できるかどうかは、米中貿易戦争の程度によります。激化すれば米国の保護貿易が世界経済にマイナスの影響を与える懸念から株価は下落する懸念があります。一方で米中の交渉が前向きに進めば米株高、長期金利の上昇からの円安進行となって日経平均は戻りを試すことになるでしょう。

 

(指標)NYダウ

 先週のFOMCの結果は、米国経済や雇用情勢は堅調さが続くという自信から利上げ回数は年3回から年4回(あと2回)に上方修正しました。しかし、今週はトランプ政権が中国に対する課税で貿易戦争激化の可能性があり、交渉がスムーズに進まないようだと株価にはマイナス要因となります。また、22日開催のOPEC(石油輸出国機構)で減産合意が解消となれば、原油価格が下落し景気の下ブレ懸念がでてくることになります。米中貿易の交渉が進み原油減産合意が継続するようだと株価は2万5,800ドルを目指すことになります。

 

(指標)ドル/円

 今週は、基本的には日米金利差拡大もあってドルが買われる流れにありますが、米中貿易戦争の激化への警戒感があり、ドルの上値は限定的と思われます。ドルは戻りを試しながらももみあうという展開が想定されます。1ドル=109.5~111.5円のレンジを想定。

(出島 昇)

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