貿易戦争の不安で「自動車・半導体・中国関連」下落。下値リスク要警戒
トウシル / 2018年6月25日 7時35分
貿易戦争の不安で「自動車・半導体・中国関連」下落。下値リスク要警戒
貿易戦争・ドル金利上昇の不安高まる。中国景気が減速する懸念も
先週の日経平均株価は、1週間で335円下落し、2万2,516円となりました。貿易戦争激化と、米金利上昇の不安が、株安の要因となりました。
日経平均日足:2018年1月22日~6月22日
今年の日経平均は、2月に、米長期金利上昇(3%に接近)を嫌気して急落。3月には、米中貿易戦争激化の不安からさらに下落。ただし4~5月に急反発しました。「米長期金利3%でも問題ない」「貿易戦争は、落としどころを見つけて収束」といった楽観論が広がったことが背景です。
ところが、日経平均は「2万3,000円の壁」で打ち返されて、再び短期的な下値リスクが出ています。
トランプ米政権がしかける貿易戦争が、世界的に株が売られる要因となりつつあります。米中貿易戦争がエスカレートする不安が高まったこと、貿易戦争が米国とEU(欧州連合)・カナダなどに広がりつつあることが嫌気されました。
また、米FRB(連邦準備制度理事会)が6月13日に今年2回目の利上げを実施した後、さらに利上げを加速させる姿勢を見せていることも、かく乱要因となっています。米国の長期金利が3%前後に高止まっていることから、世界の投資マネーが新興国から流出し、米国回帰を始めています。その結果トルコ、ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラなど過重債務国の通貨・国債が売られています。米FRBがさらに利上げを続けると、新興国危機が再燃するリスクもあります。
貿易戦争と、米金利上昇の不安を受けて、世界景気が減速する懸念が出始めています。足元の世界景気はまだ好調ですが、米中貿易戦争の影響を受けて、中国の景気にやや減速感が出ています。
「自動車関連」「中国関連」「半導体関連」など景気敏感株が安い
今年に入って、日本株の物色動向に、二極化が見られます。業績好調でも景気敏感株が売られる一方、ディフェンシブ株(世界景気の影響を受けにくい株)の上昇が目立ちます。具体的に言うと、自動車関連、中国関連(設備投資関連)、半導体関連株の下げが続く中、食品、医薬品、電鉄、情報通信などの、ディフェンシブ株の上昇が目立ちます。
貿易戦争がエスカレートして、世界景気に悪影響を及ぼすリスクを、株式市場が織り込み始めていると見ることもできます。実際、中国の景気にはやや減速色が出ています。
米国株にもやや調整圧力。NYダウ上値重い、ナスダックは好調
NYダウも、貿易戦争がエスカレートする懸念から、反落。貿易戦争が、「米国対中国」から「米国対世界」に様相が変わり、米国にもダメージが大きくなる懸念が出始めています。NYダウはその懸念を織り込んで下げてきています。
ただし、IT大手(フェイスブック、アマゾン、グーグル、ネットフリックス、マイクロソフト、アップルなど)の比率が高いナスダック株価指数は、業績好調を背景に、3月に続き6月にも史上最高値を更新しました。今も最高値近くで堅調な動きが続いています。
NYダウ日足:2018年1月31日~6月22日
米ナスダック株価指数日足:2018年1月31日~6月22日
ナスダック株価指数は、3月に、大きく下がっています。フェイスブックの情報漏洩事件を受けて、バッシングが強まると、米IT大手の株価は軒並み急落しました。「フェイスブック・ショック」と言われる急落です。
ところが、4月以降、米IT大手の業績が非常に好調であることがわかると、見直し買いが増えました。「米IT大手への反感は強く、バッシングは簡単には収まらないが、それでも米IT大手が情報を支配して稼ぐ構造は変わらない」と、考える投資家が増え、買い出動しているようです。貿易戦争や米金利上昇の不安で、景気敏感株が売られると、投資資金が世界景気の影響を受けにくく、成長が続く米IT大手にさらに集まりました。
日本株は長期的に買い場と考えるが、短期的には下値リスクを要警戒
米中貿易戦争と、米金利上昇の不安から、目先、世界的に株が下がるリスクがあります。短期的には、警戒が必要です。ただし、日本株は割安と判断しており、長期的には買いスタンス継続でいいと考えています。下がったところで買っていくので良いと思います。
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(窪田 真之)
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