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日本株は我慢の正念場。「山場の米中通商交渉」の向こう側は視界良好?

トウシル / 2018年7月2日 13時28分

日本株は我慢の正念場。「山場の米中通商交渉」の向こう側は視界良好?

日本株は我慢の正念場。「山場の米中通商交渉」の向こう側は視界良好?

 先週の国内株市場ですが、週末29日(金)の日経平均終値は2万2,304円でした。前週末終値比では212円安、週足ベースでは2週連続での下落となりました。

 また、週間の値幅(高値と安値の差)は518円で、具体的には、高値が2万2,556円、安値が2万2,038円だったのですが、前週の値幅(639円)と比べるとやや小さく、値動きは微妙ながらも落ち着いていたと言えます。もちろん、米国の通商政策への警戒感が相場のムードを澱ませているため、「ただ単に動きづらいだけではないか?」と見ることもできます。

 とはいえ、「もみ合いの展開へと持ち込んでM字型のシナリオを回避できるかが焦点になる」と前回指摘した通り、先週の安値は節目の2万2,000円に迫る水準まで下落しつつも、直近安値である5月30日の2万1,931円を下回ることはなく、今のところM字型の実現を回避できている格好です。しかも、足元のチャートを見ると、上方向への意識は相変わらず高まらない一方で、下方向には意外(?)にも底堅いサインが表れたりしています。

 詳しくは下の図1の日足チャートで確認してみます。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2018年6月29日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 

 まずは、週間の相場展開を振り返ります。先週の日経平均は週初の25日(月)に大きく下落し、株価水準を一段切り下げる格好でスタートしました。その後は方向感に乏しいまま週末を迎えています。

 次に、ローソク足の並びと形状に注目すると、25日(月)の陰線と26日(火)の陽線は終値が重なる「出会い線」と呼ばれる形になっています。出会い線は相場の流れが転換する時に表れることが多いとされています。

 その理由として、株価が下落した翌日の取引が「窓」空けの続落スタートになったものの、終わってみれば前日終値水準まで値を戻したことになりますから、下値の堅さと買い戻しの強さへの意識が強まっているのではないかと判断できるためです。

 さすがに、今回出現した出会い線については、米国の通商政策への警戒感が株式市場の重しとなっていることもあって、その後の株価が大きく上昇したわけではありませんが、少なくとも下げの加速を抑制させる機能は果たしたと考えていいと思います。

 というのも、26日(火)の陽線は出会い線を形成しただけでなく、75日移動平均線が下値のサポートにもなっていたことがポイントです。実際に、週末2日間のローソク足は両日ともに75日移動平均線を下回ったところで買い戻される動きが目立ち、下ヒゲの長い形になっています。

 というわけで、今週もこの冴えないムードの中で見せる底堅さを継続できるかがポイントになり、繰り返しになりますが、「もみ合いの展開へと持ち込んでM字型シナリオを回避できるかが焦点」という見方は継続しています。

 また、下の図2は、お馴染みの平均足とMACDの組み合わせです。

■(図2)日経平均の平均足とMACD(2018年6月29日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 

 前回も紹介した通り、平均足とMACDの組み合わせでは日経平均は短期的な下落トレンド入りとなっていますが、先週末時点で平均足は微妙に陽転となりました。

 次にMACDが上向きになって、シグナルを上抜くクロスを見せることができれば上昇トレンドに転換するのですが、その肝心のMACDは下向きが継続し、0円ラインも下回ってしまいました。

 そもそも、MACDを簡単に言ってしまえば、期間の異なる移動平均線の差額の推移を表したものです。相場にトレンドが発生した場合、短期の移動平均線が先に反応し、遅れて中長期の移動平均線が反応します。

 つまり、上昇トレンドが発生していればプラス方向へMACDが上昇し、下落トレンドであればマイナス方向にMACDは動きます。そして0円は、移動平均線同士の価格差がない状態、つまり、ゴールデンクロスやデッドクロスになります。そのため、MACDの0円ライン割れは短期と中長期の移動平均線のデッドクロスを意味します。

 ですので、短期的なトレンド面で見た日経平均は下方向に進行しやすい状況と言えますが、先ほども説明したように、直近安値を下回らない株価水準を維持しながらもみ合いを続けることで時間稼ぎができれば、MACDの状況が改善して次の展開への足掛かりにすることができます。

 今週から7月相場入りとなりますが、国内では日銀短観をはじめ、国内小売企業の決算がいくつか予定されているほか、海外では月初恒例の米雇用統計が控えています。

 さらに、米国の通商政策面では、対中国への制裁関税(500億ドル)がこのまま行くと発動されることになるため、米中のやりとりが山場を迎えます。日本株はココが我慢の正念場なのかもしれません。ただ、反対に山場の向こう側の視界が良好となれば、我慢した分だけ株価が意外高を演じるシナリオが浮上してきます。

 そこで、最後に中国株市場の状況も確認してみます。下の図3は上海総合指数の動きです。

■(図3)上海総合指数(日足)の動き その2(2018年6月29日取引終了時点)

出所:MARKETSPEED for Macを元に筆者作成

 

 やはり米中の通商交渉に対する警戒を受けてか、上海総合指数は下落基調を辿っています。足元では節目の3,000ポイントを下回っています。この水準は単なる節目ではなく、いわゆる「チャイナ・ショック」時にココを下抜けると当局が対策を打ち出してくる防衛ラインでもあり、大きな意味を持っています。

 実際に、足元でも3,000ポイントを割れたタイミングで、「中国の株式市場は割安」とか、「中国株は将来有望」などの記事や報道が増えたり、自社株買いを実施する企業が出始めたりしたほか、預金準備率の引き下げや、企業債務の証券化を進める旨を強調したりといった動きが活発化しています。

 本来であれば、米中の交渉が前向きに進展することが相場にとって好材料になるのですが、これらの中国側の動きは、交渉の難航や長期化してしまった際に懸念される影響に備えてのものと捉えることもできます。前回も指摘しましたが、足元で「ダメかもしれない」に傾いたリスク要因ムードを再び「大丈夫だろう」に戻すことができるか、今週は中国市場の動向も含めて注視する必要があります。

(土信田 雅之)

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