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7月はイベント続きのトランプ劇場相場。米系ファンドの資金は「里帰り」?

トウシル / 2018年7月5日 21時0分

7月はイベント続きのトランプ劇場相場。米系ファンドの資金は「里帰り」?

7月はイベント続きのトランプ劇場相場。米系ファンドの資金は「里帰り」?

7月はイベント続きのトランプ劇場相場

 シェールオイルで石油問題のなくなった米国は、サウジアラビアやイスラエルに対しても知らん顔をしており、まさに米国は世界から撤収していく鎖国的態度をとっている。こうしたなか、7月16日にトランプ米大統領とプーチン露大統領の米露首脳会談が行われる。これは旧体制が崩壊する号砲になるかもしれない。

 7月11~12日のNATO(北大西洋条約機構)サミットではトランプ大統領が先のG7同様に同盟国に喧嘩を売ることになるだろう。そして、先の北朝鮮に続いてロシアとも友好関係を築いていく。反軍産複合体・反エスタブのトランプ大統領はこれまでの米国の覇権を放棄し、軍産複合体が作ってきた旧体制を破壊していく。もう、G7もNATOも機能しなくなり、皆があぜんとしているのが現在の状況である。

 

ファンドマネーの縮小と賞味期限付きのドル高相場

 軍産複合体が作った冷戦構造や国際金融市場が崩壊していく中、ロンドンやシカゴのブローカーの話では「米系ファンドは世界に分散していた投資資金をとりあえず米国に引き揚げている」のだという。現在のドル高はショートカバーと米国への資金の里帰りだ。トランプ大統領の米国が国内問題最優先という孤立主義に向かうなか、ファンドの資金もまた米国に引き揚げていく。

ドル指数と当業者・投機家建玉(2008~18年) 現在はドルのリバウンド局面?

 2011 年以降、当業者が米ドルで最大の買い方であったのに対し、小口投資家が最大の売り方となっていたこと、そして2011年に底入れしてからのドル高に注目してほしい。

出所:The Gloom, Boom & Doom 「マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート」2018年5月号(国内レポート代理店パンロ―リンクの許可を取って掲載)

 

上海株安・人民元安

 筆者はレポートやラジオで6月・7月相場のボラティリティジャンプに警鐘を鳴らしておいたが、現在株式市場は軟調に推移している。

日経平均CFD(日足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル

上段:ボリンジャーバンド(21)±0.6シグマ
中段:ワイルダーADX(14)=黄・標準偏差ボラティリティ(26)=青
下段:赤色の期間=買いトレンド・黄色の期間=売りトレンド
出所:MT4 石原順DVD『石原順のボラティリティトレードシグナル』

 

 とりわけ上海株の下落に注目が集まっており、7月6日の米中の追加関税の発表に向けて上海株は売りトレンド相場を展開中だ。上海株と人民元が下げ止まるまでは、リスクオフ気味の相場が続くだろう。

上海総合指数(日足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル

上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ(緑)
出所:石原順

ドル/人民元(日足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル

上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)
出所:石原順

 

コモディティ安・オセアニア通貨売り

 貿易戦争が泥沼化すれば中国経済は大きな影響を受けることになる。そうした懸念から国際商品先物指数も下落基調となっており、通貨の市場ではオセアニア通貨が中国懸念で売られている。

CRB指数(日足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル 

 中国懸念で商品市場も下落

上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)
出所:石原順

豪ドル/ドル(日足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル

上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ
中段:ワイルダーADX(14)=黄・標準偏差ボラティリティ(26)=青
下段:赤色の期間=買いトレンド・黄色の期間=売りトレンド
出所:MT4 石原順DVD『石原順のボラティリティトレードシグナル』

NZドル/ドル(日足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル

上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ
中段:ワイルダーADX(14)=黄・標準偏差ボラティリティ(26)=青
下段:赤色の期間=買いトレンド・黄色の期間=売りトレンド
出所:MT4 石原順DVD『石原順のボラティリティトレードシグナル』

 

ユーロ/ドルは教科書通りの相場展開

 移民問題というのは国内の内戦だ。この問題は根が深いが、移民問題で屋台骨が揺らいでいた独メルケル政権もメルケル首相が譲歩する形で政権内の対立は一服している。

 現在のユーロ/ドル相場の日足にはまったくトレンド(方向性)がない。ADX(14)と標準偏差ボラティリティ(26)がピークをつけ下落していく過程の相場はランダム相場で、ジグザグの方向感のない動きになることが多い。

ユーロ/ドル(日足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル

上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ
中段:ワイルダーADX(14)=黄・標準偏差ボラティリティ(26)=青
下段:赤色の期間=買いトレンド・黄色の期間=売りトレンド
出所:MT4 石原順DVD『石原順のボラティリティトレードシグナル』

 

 日足のADXや標準偏差ボラティリティが下落過程で、かつ低い位置にあるときは、1時間足などのトレンドも長くは続かない。これは筆者のボラティリティトレードの企業秘密の一つである。

ユーロ/ドル(1時間足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル

上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ
中段:ワイルダーADX(14)=黄・標準偏差ボラティリティ(26)=青
下段:赤色の期間=買いトレンド・黄色の期間=売りトレンド
出所:MT4 石原順DVD『石原順のボラティリティトレードシグナル』

標準偏差ボラティリティとトレンドの判定:サンプル ドル/円(日足)

上段:13日標準偏差ボラティリティ(青)・26日標準偏差ボラティリティ(黄)
下段:日足
出所:石原順

 

大きなトレンドが発生しにくい通貨の逆張り・転換点売買

 ドル/円や日本株は国家によってマニピュレイト(操作)されている。それが機能しているうちは大きなトレンドが発生しないので、「逆張りの方が値幅を取りやすい」という運用者は多い。

 ATRチャネルトレードは、筆者が相場の天井と底の発見、すなわち、相場の転換点をとらえるのに用いている道具(ツール)である。ストップロス注文(トレール注文=トレーリングストップ注文)を置いて参入し、間違ったら直ちに撤退、トレール注文で利益の極大化を狙う売買手法である。

 逆張り取引で成功するには、

  • トレンドが発生しにくい銘柄(通貨ペア)を取引すること
  • 標準偏差ボラティリティやADXというテクニカル指標を使い、方法性のあるトレンド相場と方向性のないランダム相場を認識する
  • システマティックな損切り注文を置いておく

という3点が重要である。

ドル/円(週足) ATRチャネルトレードモデル

上段:ATRチャネルトレードモデルの売買シグナル
下段:ADX(14)=赤・標準偏差ボラティリティ(26)=青
出所:MT4 石原順DVD『石原順のボラティリティトレードシグナル』

ドル/円(日足) ATRチャネルトレードモデル

上段:ATRチャネルトレードモデルの売買シグナル
下段:ADX(14)=赤・標準偏差ボラティリティ(26)=青
出所:MT4 石原順DVD『石原順のボラティリティトレードシグナル』

 

 逆張りは相場の転換点を当てるゲームである。トレンドに逆らってカウンターで売買をおこなうので、損切り注文が必須の売買手法だ。相場で発生する大きな損は、相場で間違った後の処置をしなかったために発生する。相場は一に損切り、二に損切り…、ポジションに忠誠を尽くしてはいけない。

 いずれにせよ、相場で生き残るには損切り注文が必須である。相場に絶対の法則はないので失敗も多いが、トレーリングストップ注文をおけば収益が上がる可能性は高まるだろう。

(石原 順)

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