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横山光昭さん:100円ではじめる投資信託の長期投資はつまらない。でも、5年後にその継続力は自信になる

トウシル / 2018年7月6日 9時17分

横山光昭さん:100円ではじめる投資信託の長期投資はつまらない。でも、5年後にその継続力は自信になる

横山光昭さん:100円ではじめる投資信託の長期投資はつまらない。でも、5年後にその継続力は自信になる

≫≫前編【横山光昭さん:ボーナスが元手でも、投資デビューは「3,000円がいい」理由】​

 投資の勉強は夏休みの宿題と同じ。「あとでやろう」と先送りしてしまうと、気がついたときには「あと」がなくなっていて、あわててやって失敗しがち。投資に詳しいFPの横山光昭さんは、「少額資金でもいいので、早いうちから少しずつ投資の勉強を始めてください」とアドバイスしています。ただし、「家計に順番があるように、投資にも順番があります」とも。その順番とは?

おトクなiDeCoやNISAを使う前に、することがある?

 最初に前編のおさらいをしておきましょう。 

 横山さんによると、必ず守るべき「家計」の順番とは、

家計を管理して支出を抑える → お金の余裕をつくる → 貯金をする → 投資について学ぶ → 投資をする

 家計の管理も余裕のお金の準備も投資の勉強もしていないうちから、仮想通貨が盛り上がっているからボーナスでビットコインを買ってみようとか、為替が円高になったと聞いたからFX(外国為替証拠金取引)を始めてみようというという順番飛ばしはナシです。

 

 いきなり仮想通貨やFXを始めるケースは極端だとしても、「国の制度であるNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)を使うと税金の優遇を受けられるので、さっそくやってみたくなりますが、それもまだ待ってください。NISAやiDeCoという制度はいいと思いますが、まずは家計の管理をして、支出を抑えることから始めてください」

 家計の管理とは消費、浪費、投資のバランスを見直すこと。ここでいう投資とは、仕事のスキルを上げたり教養を身に付けたりするための自分への投資、万が一に備えた貯金なども含まれます。月収の中から投資のお金に回す割合は前編で詳しく解説していますが、ひと言でいえば「月々の収入から生活費や貯金にまわす分を除いた残りの『余裕のお金』が投資のお金」です。

100円投資で「習うより慣れろ」

 次はいよいよ、投資の順番です。横山さんは、投資に不安を感じている人は、「余裕のお金で少しだけ投資をしてみること」をすすめています。投資商品は運用をファンドマネージャーと呼ばれる専門家に任せられる「投資信託」がよいと言います。

「投資を始める前に、投資関連の本や雑誌、証券会社のホームページなどで勉強することは大事ですが、やり過ぎは禁物。初心者の方は投資についてのメリットはもちろん、注意点についてもしっかり頭に入れるべきです。ただ、どうしてもいままで経験がないジャンルに触れようとするときは、ネガティブな情報ばかりが目に付いて怖くなったりしがち。また、情報が多くなりすぎてどうしたらいいのかわからなくなることもあります。そこで、必要なのが『習うより慣れろ』です。投資信託なら証券会社によっては100円から買えます。日本株、外国株というように、いろいろな投資対象の投信を10本買っても1,000円です。もし、買った投資信託が値下がりしても、マイナスは最大でゼロ。『慣れろ』にはちょうどいいのではないでしょうか」

 とはいえ、少額投資ではお金はあまり増えませんよね。なぜ少額投資がいいのでしょう? 

 横山さんは、「投資金額が小さければ何が起こっても慌てないで済む」ことを挙げています。

「いきなり大きなお金を投資すると、値段の上がり下がりに一喜一憂し、慌てたり焦ったりして、たいてい判断を誤るものです。少額投資であれば冷静に、なぜ上がったのか、なぜ下がったのかと焦らずに考えることができてそれが知識になるし、少しずつ投資商品の値動きになれることができます。さらに自分は大胆な性格だと思っていたけれど投資に関しては慎重な性格だったというような新たな自分を発見することもあります」

 そうやって少し慣れてきたあたりの油断が危険。「理解した範ちゅうで投資をする」ことに徹しましょう。

「最初は理解しやすい日本株のインデックスファンドから始める人が多いのですが、しばらくすると投資のすべてがわかったつもりになってしまう。投資の効果が実感できるほどの時間がたっていないのに、もっと手早くお金を増やしたくなって、他人からもうかると聞いた株式投資、FXなど知識のない投資商品にお金をつぎ込んでしまう」

 ありがちな失敗のパターンです。 

お試し投資で、何で資産を増やすかを決めたらNISA、iDeCo

「『自分が何を目指しているのか』という投資の軸を決めておかないと、投資商品の選択を誤ってしまいます。例えば定年退職を迎える60歳、65歳を見据えたお金を投資信託の積み立てでつくると決めたのなら、投資を貯金の延長線上と捉えて積み立てに徹して、あれこれと手を出すようなムダな動きをしないこと。それができる人が結局は勝つのです」

 軸が決まり、どんな投資商品で資産を増やしていくのが決まったら、次にNISAやつみたてNISA、iDeCoの利用を検討します。日本株のインデックスファンドを積み立てると決めたのならつみたてNISA。年金の上乗せ分をつくりたいのならiDeCo。もちろん両方を枠の特徴を理解した上で並行して続けていくのもアリです。その場合も、自分が家計から投資に回すことができる、余裕額から絶対にはみださない、無理をしないこと。

 一方で、それでは「投資をしていても面白くない」という人もいるはずです。

「そのときは、『すみ分けること』を考えてください。老後資金のような長期投資のお金には面白さを求めない。地道にこつこつと続けていく。一方で、知識を増やすための投資、面白さを求める投資をしたいのなら別口で、余裕のお金を使って、投資の知識を増やすための投資を楽しめばいいのです」

 例えば株式投資の場合、売買単位(単元株)は100株に統一されつつあり(2018年10月からすべて100株単位になる)、数万円で買える銘柄もたくさんあります。小遣いの範囲でできそうですね。

長期投資は面白くない。でも、5年後に自信になる

「毎月の収入と支出を把握して強い家計を作る作業も同じですが、こつこつ続けることは基本、面白くありません。でも、5年、10年といった長期で見ると家計のムダがなくなったね、長期投資の残高がこんなに増えたね、とうれしくなってくる瞬間がやってきます。これは、一時的な勝負で勝って得たものではなく、長い地道な努力で得た成果なので、自信が持てるようになります。その自信こそが何物にも代えがたいものなのです」

 家計を鍛えて、長期投資のスタンスで投資信託の積み立てをして資産形成をめざす。もし不安なら100円、1,000円の予算で投資信託を買って値動きになれる。本格的に積み立て投資を始めた後、もっと知識の幅を広げたくなったら余裕のお金で、別口の投資を楽しむ。そんな横山さんのアドバイスに従えば、不安なく投資が始められそうです。

≫≫前編【横山光昭さん:ボーナスが元手でも、投資デビューは「3,000円がいい」理由】​

[教えてくれたのは]
マイエフピー代表 横山光昭さん

日本でもトップクラスの人気を誇るファイナンシャルプランナー。マイナス家計を健全な家計に変える「家計再生」のプロフェッショナルとして、これまでの相談件数は2.3万件を突破。著書は、シリーズ累計85万部超の最新作『貯金感覚でできる3000円投資生活デラックス』、『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は144冊、累計335万部となる大人気著者でもある。

(トウシル編集チーム)

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