日本株の未来に「強気」下がれば「買い場」と判断
トウシル / 2018年7月9日 7時45分
日本株の未来に「強気」下がれば「買い場」と判断
日本株は乱高下しながら上昇トレンドをたどると予想
トランプ米政権がしかける貿易戦争が激化し、世界景気が腰折れするリスクが出ています。日本株は当面、下値リスクを意識せざるを得ない状況です。
ただし、今述べたのは、短期的な見通しです。長期では、私は日本株に強気です。過去30年の構造改革を経て、日本企業は財務内容、収益力、ビジネスモデルで見て、高く評価できるようになったと考えています。日経平均株価は、短期的に下落しても、長期的には上昇トレンドが続き、早ければ2年後、遅ければ4年後に3万円に達すると予想しています。
1987年から2013年まで、私は日本株のファンドマネージャーとして、投資信託や年金の運用を担当していましたが、2002年まで日本株は「常に割高」と感じていました。短期的に上昇しても、長期的には下がると考えていました。
私は今、日本株にまったく逆のイメージを持っています。短期的に下落しても、長期的には上昇が続くと考えています。日本株の投資魅力が、当時よりはるかに高くなったからです。日経平均インデックスファンドに積み立てでコツコツと投資を継続していくことが、長期的な資産形成に貢献すると考えています。
日本株の未来に「強気」6つの理由
日経平均株価は今、約26年ぶりの高値にあります。日経平均の水準は同じでも、以下6つの点で、26年前より投資魅力は格段に高くなっています。
1.PER・配当利回りなどの株価指標で見て割安に
PER(株価収益率)で見ると、バブル期(1980~90年代)の日本株は50~60倍台と、きわめて割高でした。今東証一部の平均PERは、14倍台まで低下し、割安と判断しています。世界的に見ると、株価指数の平均PERは、12~20倍に分布しています。日本株は国際比較でも割安と言えます。
東証一部の平均PER(年代別ざっくり)
日本株は、配当利回りで見ても魅力的です。26年前長期金利(10年国債利回り)が5%の時、東証一部の平均配当利回りは1%もありませんでした。当時長期国債が割安で、日本株は割高でした。現在長期金利はゼロになりましたが、東証一部の平均配当利回りは、2.1%まで上昇しています。今長期国債に投資価値はありませんが、日本株は割安です。
東証一部の平均配当利回りと長期金利(新発10年国債利回り)推移:1993年5月~2018年7月6日
2.財務内容が格段に改善、株主還元が充実
26年前、日本企業は、多額の借金を抱えていました。不動産バブル崩壊の影響で、金融業、不動産業、建設業には、巨額の不良資産がありました。その後、日本企業は生き残りをかけて必死に借金返済に努め、不良資産の処理も進みました。
現在、日本の上場企業の財務内容は格段に改善しました。財務余力が増したことで、株主への利益配分(増配や自社株買い)を積極化しつつあります。日本株の配当利回りは魅力的ですが、今後さらなる増配が期待されます。
3.内需産業が、海外で成長する時代に
26年前、内需株に投資魅力はほとんど感じられませんでした。人口が減少していく日本の内需産業に未来はないと感じていたからです。今はまったく逆の気持ちを持っています。
小売り、サービス、食品、化粧品、陸運、金融など、かつての純粋な内需産業で、海外収益を拡大する企業が増え、「元」内需株に、投資したい銘柄が増えています。世界一厳しいと言われる日本の消費者に鍛えられた日本の消費関連企業は、品質やサービスで、アジアで高い競争力を有しています。
4.AI、IoT、ロボットなどの分野で成長企業が増加
年々、ITを活用して、新たなサービスを創造し、成長する企業が増えています。AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット化)、ロボットなどの分野でも、成長が期待できる企業が増えています。
5.海外生産が定着、円高抵抗力高まる
26年前の輸出企業は、日本の工場で生産して輸出するのが中心でした。今は、海外生産・海外販売が普通になりました。1ドル100円でも利益を出していける力があります。
6.業界再編が進展
バブル期の日本は、同じ産業に多数のプレイヤーがひしめき、慢性的な過当競争状態でした。1998~2005年に、過当競争が慢性化している産業で、業界再編が進みました。戦前から競合してきた名門企業が、生き残りをかけて次々と合併しました。
▼著者おすすめのバックナンバー
7月5日:半導体スーパーサイクルの勝ち組と負け組。関連株と投資判断
6月28日:7月の人気優待銘柄:「株主優待検索」でカンタン検索
6月21日:アナリスト式・株主優待テク。配当利回り×優待内容でセレクト!
▼他の新着オススメ連載
今日のマーケット・キーワード:EUでくすぶり続ける『難民』問題
(窪田 真之)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
9月優待ランキング:年初来高値更新後の暴落でも株価再浮上が期待できる&優待充実の一石二鳥系優待株!
トウシル / 2024年9月10日 7時30分
-
株主優待に心を奪われてはいけない…配当金年240万の"億り人"個人投資家「直近10年でベストな日本株10選」
プレジデントオンライン / 2024年9月6日 10時15分
-
教えて!桐谷さん「定年前後はどんな投資が適している?」
オールアバウト / 2024年8月30日 11時30分
-
高配当利回り株の選び方、減配リスクを見分けるための5条件(窪田真之)
トウシル / 2024年8月22日 8時0分
-
波乱の日本株!バリュー株・高配当株への投資チャンス到来か?
トウシル / 2024年8月22日 7時30分
ランキング
-
1あの「ポーター」が人気商品を大胆に変えた裏側 価格2倍にしても素材変えた吉田カバンの挑戦
東洋経済オンライン / 2024年9月20日 13時0分
-
2「令和のコメ騒動」不足解消でも楽観できない事情 人口減少社会で「農地改革」が進まない本当の理由
東洋経済オンライン / 2024年9月20日 8時0分
-
36時間睡眠を続けた人の脳は「ワインを2~3杯飲んだ状態」と同じ…「昼休みも仕事する人は危険」といえる理由
プレジデントオンライン / 2024年9月20日 10時15分
-
4バフェットの次を行く投資術 長年の積み重ねで業態転換成功の「富士フイルムHD」急速な時代の変化への対応は「お手本」 かつて「世界の巨人」コダックは破綻も
zakzak by夕刊フジ / 2024年9月20日 11時0分
-
5東京メトロは「郵政IPOの悲劇」二の舞を防げるか? 求められる戦略は
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月20日 14時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください