小口投機家のポジションは逆張り指標!?「COTレポート」で相場先読み
トウシル / 2018年7月13日 6時0分
小口投機家のポジションは逆張り指標!?「COTレポート」で相場先読み
米中貿易戦争はトランプ大統領の勝ち!?
米中貿易戦争は「トランプ大統領の勝ち」という報道が増えている。米国は鎖国しても食える国なので、そもそも外交や交渉事は強い。今の米国経済は景気がよく、中国経済は疲弊している。中国は大人の対応というより、「困ったなあ…」という感じなのだろう。トランプ大統領の貿易戦争は、結局、貿易黒字国が譲歩するしかない。NATO(北大西洋条約機構)サミットもトランプ大統領の脅しに対して、軍事費の負担でドイツなどが譲る姿勢を見せている。
トランプ大統領は貿易戦争というブラフをかけながら、最終的に2国間交渉に持っていく。まだ先の話だが、それでも貿易赤字が減らなければ、通貨戦争に打って出るだろう。第二のプラザ合意的なドルの切り下げである。米国の赤字を半分に減らすには、ドルの価値を半分にすればいい。
米国の公的債務総額
レーガノミクスの時代の米国の負債は1兆ドル(110兆円)だった。それがトランプノミクスの今は20兆ドル(2,200兆円)に達している。
COTレポートで為替相場を読む
先週のレポートで取り上げたが、米系ファンドの資金は米国に里帰りし、グローバルな企業の資金も本国投資法による税制優遇で米国に回帰している。また貿易戦争が現実化する中で、中国などからのドル買いも出ているようだ。
著名ファンドマネージャーのマーク・ファーバーは、「The Gloom, Boom & Doom Report 2018年5月号」で、現在のドル高を予見していた。
【貿易戦争の脅威から恩恵を「一時的に」受ける可能性が高い資産クラスもある。米ドルだ。もっとも、貿易戦争で貿易赤字を是正しようという米国のような国にとってドル高は、まさに逆効果といえる。米国の愚かな経済政策による、もうひとつの意図せぬ結果だ。レポートでも指摘してきたように米ドルの反発は想定内であった。世界的に流動性が縮小していたからだ。それでも、突発的なドル反発は大口・小口投機家が望んでいたことではないだろう。そして、そのきっかけとなったのが貿易戦争の議論であったかもしれない。 なお、貿易戦争ほどの被害を与えていないものの、現在(今まで以上に?)明らかに適切ではないのが米政府の赤字拡大である。ほぼフル操業状態の経済に恩恵をもたらしそうにない。財政赤字の拡大によって、万一縮小した場合よりも金利は高い水準にとどまると考えられる。そして、先ほど説明したように、金利上昇は十中八九、悪影響をもたらすだろう。膨張した資産市場にとっては、なおさらである。下げ始めたとたん、経済に大混乱をもたらしそうだ。
ドルインデックスと当事者・投機家建玉
なお、図12 では、2011 年以降、当業者が米ドルで最大の買い方であったのに対し、小口投資家が最大の売り方となっていたこと、そして2011年に底入れしてからのドル高に注目してほしい】(マーク・ファーバー)
図12のPeter RehmerによるCOTレポートおよびエリオット波動分析では、ドルの上昇がしばらく続いた後、今度は揺り戻しのドル安が到来するフォーキャスト(将来予測)となっている。
COTレポートの読み方に関して最重要ポイントを挙げておくと、「小口投機家(投機筋)が逆指標になっている」ということである。付和雷同の小口投機家のポジションが積みあがっても回転が効いているうちは問題ないが、相場が逆方向に動くとポジションの投げが出て相場が大きく動く。
COTレポートチャート ドルインデックス
小口投機家のポジションが積みあがっても回転が効いているうちは問題ないが、相場が逆方向に動くとポジションの投げが出て相場が大きく動く。
COTレポートチャート 日本円
小口投機家のポジションが積みあがっても回転が効いているうちは問題ないが、相場が逆方向に動くとポジションの投げが出て相場が大きく動く。
現在のドル高相場の中で、注意すべきは米10年国債の金利の動きである。現在、大口投機筋のポジションは過去最大級の売りポジションが溜まっている。一方で小口投機筋は買い戻しに追いやられている。小口投資家の買戻しが続く中、売り建玉が大量にたまっている大口投資家も買い戻しを迫られると、米国の金利は低下してしまう。投機筋のポジションが積みあがっても回転が効いているうちは問題ないが、相場が逆方向に動くとポジションの投げで大きな変動が起きかねない。投機筋が一斉に出口に殺到した場合、ドル高相場は水を差されるだろう。
COTレポートチャート 米10年国債
小口投機家のポジションが積みあがっても回転が効いているうちは問題ないが、相場が逆方向に動くとポジションの投げが出て相場が大きく動く。
いつ米国の景気は終わりを迎えるのか?
いつ米国の景気は終わりを迎えるのか? ラリー・ウィリアムズの米国株の長期予測によると、そう遠くない将来に米国株の買い場が来る。有料レポートなので詳細は述べられないが、大変興味深い内容である。
いつ米国の景気拡大は終わりを迎えるのか…?2020年が59%で最多となっている
不動産投資サイト「realforecasts.com」を主宰するジェフリー・J・パシュートの研究結果では、2019年の3月辺りから不景気になってくるのではないかという分析になっている。
米TMS(真の通貨供給量、1978ー2017)と景気後退期
筆者の周辺のファンド筋は2018年7月~2019年の3月あたりまでに一度大きな下げ(ボラティリティ・ジャンプ)が起きるのではないかと観ている。予測はあくまで予測である。だが、貿易戦争という縮小均衡経済が現実段階に入って入り、一応、注意はしておきたい。
*7月14日(土)、大阪国際会議場(グランキューブ大阪)で行われる「楽天証券19周年記念セミナー」にて、「2018年から2019年にかけての市場見通し」をテーマにセミナーをおこないます。大阪ブースエリアセミナーでの石原順講演時間ですが、当初のプログラムでは11:10-12:00となっておりました。その後、諸事情により12:10-13:00に変更されています。石原順の講演時間は12:10-13:00ですので、お間違えの無いよう、ご来場ください。よろしくお願いします。
(石原 順)
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