貿易戦争の不安緩和:日米で景気敏感株が反発。ナスダックは史上最高値
トウシル / 2018年7月17日 7時46分
貿易戦争の不安緩和:日米で景気敏感株が反発。ナスダックは史上最高値
貿易戦争の不安緩和と円安を好感し、先週の日経平均は大幅高
先週の日経平均は1週間で809円上昇し、2万2,597円となりました。米中貿易戦争の不安がやや緩和したこと、一時1ドル112.52円まで円安が進んだことが好感されました。
日経平均週足:2017年7月3日~2018年7月13日
目先、売られ過ぎの景気敏感株の反発が続くことが予想されます。日経平均はこれまで上値抵抗線として意識されてきた2万3,000円が、次の節目として意識されます。今後、米中貿易戦争が話し合いによって収束に向かうならば、節目を超えていく可能性も出てきますが、あっさり貿易戦争が収束に向かうとはまだ考えられません。貿易戦争の不安が解消しない限り、日経平均の上値は、2万3,000円前後になると考えられます。
先週は、週前半に貿易戦争エスカレートの不安が高まり、週後半に不安が緩和
先々週の金曜日、7月6日に、米国が360億ドル(約4兆円)相当の中国からの輸入品に制裁関税を課すと、中国も同額の米国からの輸入品に報復関税を発動しました。事前に予告されていた通りの内容でしたが、発動を回避できなかったことに失望が広がりました。
先週の火曜日、7月10日に、トランプ政権はさらに2,000億ドルの中国からの輸入品に制裁関税を課す方針を表明し、その品目を公表しました。これを受けて11日朝の日経平均は一時、大きく下がりました。そこが、米中貿易戦争エスカレートの不安が最も高まった瞬間でした。
11日に、中国高官が米中通商交渉の再開に意欲を示したと伝わると、そこから、貿易戦争の不安が緩和しました。米中双方とも傷つく制裁・報復合戦は回避され、何らかの「落としどころ」に向けて、話し合いが再開される期待が広がりました。
先週後半は、貿易戦争の不安で売り込まれていた景気敏感株が、日米で買い戻されました。米ナスダック総合指数は、13日に史上最高値を更新。日経平均は13日に外国人投資家とみられる先物買いによって、前日比409円高と久々に大きく上昇しました。
NYダウは堅調、ナスダックは最高値
貿易戦争の懸念で下落していたNYダウも反発。「中国関連株」として貿易戦争の不安で売り込まれていた米航空大手ボーイングや建設機械大手キャタピラーが急反発しました。
NYダウ週足:2017年7月3日~2018年7月13日
IT大手(フェイスブック、アマゾン、グーグル、ネットフリックス、マイクロソフト、アップルなど)の比率が高いナスダッック株価指数は、業績好調を背景に3月、6月に続き、7月13日に史上最高値をさらに更新しました。
米ナスダック株価指数週足:2017年7月3日―2018年7月13日
ナスダック株価指数は、3月に大きく下がっています。フェイスブックの情報漏洩事件を受けてバッシングが強まると、米IT大手の株価は軒並み下落。「フェイスブック・ショック」と言われる急落です。
ところが4月以降、米IT大手の業績が非常に好調であることがわかると、見直し買いが増えました。「米IT大手への反感は強く、バッシングは簡単には収まらないが、それでも米IT大手が情報を支配して稼ぐ構造は変わらない」と、考える投資家が増え、買いが増えています。
貿易戦争の不安が高まると、貿易戦争の影響を受けにくいIT大手に資金を集中させる動きも見られました。
上値の重い中国株
貿易戦争の不安があっても、日米の景気と企業業績は、今のところ堅調です。貿易戦争の不安が緩和する局面で、NYダウ、日経平均が上昇するのは、企業業績に対する信頼が崩れていないことによります。
これに対し、上海総合株価指数は貿易戦争の不安で売られ、上値が重いままです。貿易戦争の影響は、中国景気の方に、より大きくあらわれると考えられます。中国景気にやや減速感が出ていることを受けて、上海総合株価指数は年初来大きく下がり、上値は重いままです。
上海総合株価指数の週次推移:2017年7月3日~2018年7月15日
日本の中国関連株(中国での売上が大きい会社)の中では、産業用ロボットなど設備投資関連株に、その影響があらわれる懸念があります。
中国関連株で、かつ設備投資関連株の代表とも言える、安川電機(6506)が、12日に、2019年2月期の第1四半期(3-5月期)決算を発表しました。好調な決算であったにもかかわらず、決算発表後の13日に安川電機は、前日比▲4%の下落。受注にやや減速感が出ていることが嫌気されました。
日本株は長期的に買い場と考えるが、短期的には下値リスクを要警戒
米中貿易戦争と米金利上昇の不安から、目先、世界的に株が下がるリスクがあります。短期的には警戒が必要です。ただし、日本株は割安と判断しており、長期的には買いスタンス継続でいいと考えています。下がったところで買っていくスタンスで良いと思います。
▼著者おすすめのバックナンバー
7月10日:世界景気に対する悲観は行き過ぎ?景気敏感株は売られ過ぎ?
7月9日:日本株の未来に「強気」下がれば「買い場」と判断
▼他の新着オススメ連載
今日のマーケット・キーワード:インドの『モンスーン』、足元の降雨量はやや下振れ
(窪田 真之)
この記事に関連するニュース
ランキング
-
1ドンキの新作弁当 ご飯に盛り付けた“まさか”の具材とは? 開発担当者が「あえて“本物”よりおいしくしなかった」と語る背景
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月27日 16時14分
-
2エンジン不正の日野自動車、工場敷地の5割売却へ…財務基盤の立て直し図る
読売新聞 / 2024年11月27日 15時31分
-
3アイリスオーヤマ、子ども用おむつ事業参入…王子ネピアと「Genki!」ブランド契約
読売新聞 / 2024年11月27日 19時49分
-
4何副首相、邦人安全「必ず守る」 関西財界、万博で中国と連携確認
共同通信 / 2024年11月27日 19時13分
-
5富裕層が日本株を「今、面白い」と注目している訳 個人投資家は中小型株投資ではプロよりも有利
東洋経済オンライン / 2024年11月27日 8時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください