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アンチトランプ!?「シニア関連株」に注目!

トウシル / 2018年7月27日 7時41分

アンチトランプ!?「シニア関連株」に注目!

アンチトランプ!?「シニア関連株」に注目!

TOPIXの堅調は業績見通しの改善が支え

 今週の株式市場では、TOPIX(東証株価指数)の堅調が目立っています。外部環境の改善と国内長期金利の上昇が自動車株や銀行株の反発に繋がっていることが背景です。図表1は、TOPIXベースの12カ月先予想EPS(1株当り利益)と12カ月実績EPSの推移を示したグラフです。12カ月先予想EPS(業績見通し)は着実に上方修正されており、予想EPSの前年比増益率は+6.3%が見込まれています。

 なお、米国では「トランプ大統領の仕事ぶり」に対する支持率が勢いを失っています。米NBC(米国の3大テレビネットワークの1社)によると、同大統領の支持基盤とされている中西部(ミシガン、ミネソタ、ウィスコンシンの3州)の平均支持率は40%を割り込みました(25日報道)。同大統領が打ち出す輸入関税には米国の各業界から反対姿勢が相次いでおり、国民が大統領のパフォーマンスを冷静に評価し始めた可能性もあります。

 こうしたなか、トランプ大統領とユンケル欧州委員会委員長は25日、EU(欧州連合)が米国産LNG(液化天然ガス)や大豆の輸入を拡大する一方、工業品の関税引き下げで基本合意。市場は、懸念された欧米間の緊張緩和を好感しました。米中貿易摩擦の行方は楽観視できませんが、底堅い業績見通しは株価の下支え要因と考えられます。

図表1:TOPIXの業績見通しは上向いている

注:上記はTOPIXベースの「12カ月先予想EPS」(市場予想平均)と「12カ月実績EPS」を示したものです。
出所Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2018年7月26日)

 

「超高齢社会」で存在感を高めるシニア層

 トランプ大統領の独断専行から引き起こされる貿易摩擦から距離をとりたい「アンチトランプ」とも言えるテーマのひとつが「シニア関連」です。図表2が示すとおり、日本の総人口に占める「高齢者(65歳以上)」の比率は上昇し続けており、2018年7月には過去最高の28%に達しています(総務省調査)。日本は世界でも稀にみる「高齢化」進行国です。

 WHO(世界保健機構)の定義では、高齢者比率が7%を超えた社会を「高齢化社会」、14%を超えた社会を「高齢社会」、21%を超えた社会を「超高齢社会」とされています。「人生100年時代」とされ、昔に比べ「高齢者は元気」とも言われます。日本老年学会は高齢者の定義を「65歳以上」から「75歳以上」に変更すべきと提言しているほどです。

 とは言っても、高齢者の個人差は大きく、健康の悪化や認知機能の衰えで介護が必要となるシニア層の絶対数は増加しています。「団塊の世代」(1947年~1949年ごろに生まれた世代)が後期高齢者(75歳以上)入りする「2025年問題」が不安視されています。

 一方、「高齢化による持続的な需要拡大」が事業機会として期待されています。今回は、「日本最大の成長産業」とも呼ばれる「シニア(高齢者)向けサービス・商品」を戦略事業として取り組んでいる企業を投資対象として検討したいと思います。

図表2:国内で存在を高めるシニア(高齢者)層

注:日本の総人口に占める高齢者(65歳以上の男女合計)の比率
出所:総務省のデータより楽天証券経済研究所作成(2018年7月時点)

 

「アンチトランプ」としてのシニア関連株に注目

 高齢化需要をビジネスに取り入れている企業は数多くあります。それらのなかで、時価総額が比較的大きく、中期市場実績(5年総収益(年平均))が比較的堅調な銘柄を中心に7銘柄のみを下記しました(図表3)。ウエルシア(3141)は、地域密着型ドラッグストアとして高齢者需要の取り込みにも注力しています。エーザイ(4523)は、米大手バイオテクノロジー企業と共同でアルツハイマー病治療薬を開発しており注目されています。テルモ(4543)は、高齢者を支援する医療サービスや医療・治療機器を提供。

 ユニチャーム(8113)は高齢者向けおむつを国内・海外(アジア)で販売を増やしています。セコム(9735)は、「一人暮らし高齢者見守りセンサー」を含むセキュリティーサービスに注力しています。パラマウントベッド(7817)は、医療・介護用ベッドで定評があり、最近は高齢者施設や在宅介護分野に事業領域を広げています。ニチイ学館(9792)は、介護付有料老人ホームの「ニチイホーム」や「アイリスガーデン」で長い実績があり、高齢化が急速に進むとされる中国でも高齢者向け事業を積極展開する方針です。これら7銘柄の5年総収益(年平均)の算術平均は+17.2%とTOPIX(市場平均=+10.1%)を大きく上回ってきました。シニア向け事業には地味なイメージがありますが、着実に拡大する需要を取り込む「安定成長型」であり、トランプリスクなど外部要因に影響されにくい「内需型」の特徴にも注目したいと思います。

図表3:シニア関連株の参考例

シニア関連株(参考情報)  ▼
# コード 銘柄名 株価 1年
前比 騰落率
:%
5年
総収益 年平均
:%
注目
ポイント
1 3141 ウエルシアHD 5,890.0 40.9 35.0 高齢者需要獲得に注力し「アクティブシニア」の活躍を応援
2 4523 エーザイ 9,989.0 66.9 23.9 米バイオジェンとアルツハイマー病治療薬の共同開発で注目
3 4543 テルモ 6,200.0 46.2 19.5 シニアサポート・介護支援・高度医療機器に注力している
4 8113 ユニ・チャーム 3,462.0 22.9 13.8 大人用おむつ・介護用品の最大手でアジア向けに売上拡大
5 9735 セコム 8,599.0 3.5 10.3 一人暮らし高齢者見守りセンサーなどセキュリティー最大手
6 7817 パラマウントベッド 4,890.0 -3.9 9.2 医療・介護用ベッドの最大手で安全性と信頼性に定評あり
7 9792 ニチイ学館 1,239.0 10.6 8.6 サービス付き高齢者向け有料住宅や介護サービスに注力
7銘柄の算術平均   26.7 17.2  
TOPIX(市場平均) 1,764.71 8.9 10.1  
*上記は参考情報であり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。
*シニア関連銘柄について「5年総収益(年平均)」の降順に一覧したものです。
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2018年7月26日)

 

 

 

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